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【AISTS #22】 17週目 スポーツにおける階層化と就職活動のはじまり (2020/2/10-16)

今週から、スポーツと社会学(Sociology)の講義が始まりました。
やや掴みどころのない講義ではありましたが、考えさせられるテーマも多かったです。
3月にかけて断続的に続くので、自分なりに問題意識を持って取り組んでいこうと思います。

また、徐々に動き始めた就職を見据えた活動についても簡単に紹介します。

スポーツと社会学の講義

社会学の講義は、3月にかけて1週間のセッションが3回あります。
今週はその1週目で、テーマは Sport and Stratification(階層化)でした。

階層化する要素として取り上げられたのは以下の3つ。

- Social Class
- Gender
- Race / Ethnicity

中でも、Social Class と Gender の内容が中心でした。

Social Class は日本語では社会階級と訳されますが、職業、収入、学歴、カーストなど、様々な切り口があります。
保有する資産 Capital によって規定され、Economic / Cultural / Symbolic の3つで構成されます(Pierre Bourdieu)。

Symbolic というのが分かりにくいかもしれませんが、名誉や名声といった類いのものですね。
ヨットクラブやポロクラブを例に説明されましたが、日本では名門ゴルフコースの会員権が近いでしょうか。
お金を持っているだけでも、競技がうまいだけでも十分ではなく、社会的評価がなければ入れないコミュニティで、その会員であることがステータスとなり社会階級を作っています。

社会階級による機会の不均等が良い悪いというよりは、スポーツへの関わり方にも社会階級は影響していていることを理解しましょう、といった内容と受け取りました。


クラスの中では、身近な話題であり、より自分ごととして考えやすい Gender の議論が活発でした。

特に、オリンピックをはじめとするスポーツ大会における性別の定義は非常に難しい課題を抱えています。
日本でも、南アフリカの陸上選手 キャスター・セメンヤを取り巻く議論は話題となりました。
2018年に国際陸連が、「テストステロン値が高い女性の出場資格を制限する」という内容の新規定を導入を発表し、セメンヤらはこれを無効とする訴えを起こすも、スポーツ仲裁裁判所(CAS)によって棄却されました

オリンピックの大きな魅力である競技性を担保するためには、何かしらの線引きをすることは避けられません。
これはドーピングや障害者の義足なども同様で、その基準が妥当かどうかという議論は終わることはないと思います。

関連するIOCの取り組みは以下の通り。

1966年 英連邦大会で女子選手に性別検査。
    陸上欧州選手権で「女性確認検査」を導入。
    検査の拒否や引退表明した選手も
 68年 グルノーブル冬季五輪で性別確認のための染色体検査を導入
 99年 IOCが性別確認検査の廃止を決定
2004年 IOCが性別変更選手の五輪参加を承認
 15年 IOCが性別変更選手の五輪参加条件を緩和。
    性別適合手術を条件から除外
朝日新聞サイトより抜粋)

東京オリンピックは、トランスジェンダーの選手が金メダルを手にする初めての大会になるかもしれません。


社会学のグループワーク

今週も軽めのグループワークがありました。
水曜日と木曜日の講義後に準備して、金曜日の朝にプレゼンという流れでした。
スポーツとトピック(社会階級、ジェンダー、人種)を選んで、どのような障壁があり、社会にどのような影響を与えているかを整理して発表しました。

うちのグループが選んだのは、米国におけるソフトボールとジェンダー
NCAA(全米大学体育協会)をはじめ、女子チームしかないリーグが多い現状(男子から見るジェンダーの壁)があるものの、そもそもが野球におけるジェンダーの壁がこの状況を作っていると言えます。
そういった背景を踏まえると、ソフトボールという競技の中でのジェンダーのバランスを取ることは本当に必要なのか、という問題提起をしましたが、うまく伝えきれませんでした。

時間がなかったのでパートごとに分担して進めたのですが、あまり一貫性のないプレゼンになってしまいました。
今回のプレゼンは成績には反映されないということで、チームの中にはそれなりの形になればいいかな、という空気が流れていました。意外とみんな成績を気にしているんですね。
少し間を空けて、1ヶ月後くらいにまた社会学でのグループワーク(今度は成績評価あり)があるので、今回の反省を活かしてまた頑張ります。


就職活動

少し気が早いですが、徐々に就職を見据えた活動がクラスの中で目に付くようになってきました。
AISTSのプログラムは6月末で講義が終わり、7月以降は卒業論文(8月まで)とインターンのための期間となります(大学には通わなくなります)。
インターンから本採用につながるケースもあるので、今は7月以降のインターン先を狙っている状況です。

特に国際競技連盟(FIFA、FIBAなど)は Social Class が根強く残っている業界の一つとも言え、情報が入ってくる/人に紹介してもらえるような環境を作っていくことが重要です。
スポーツ界に何の Capital も持っていない自分にとっては、AISTSはまさに Social Class の壁を超えるための有効な手段となってきます。


サッカー関連だと、UEFAのサマージョブの募集が始まりました。
サッカー人気があることはもちろん、UEFAの本部はローザンヌから電車で30分くらいのニヨン Nyon にあるということもあり、自分も含めてうちのクラスから10人以上は応募しそうです。

ちなみに、募集されているポジションは以下の2つです。
事務作業のアシスタントのような内容ではありますが、このサマージョブを通して中の人に覚えてもらって、本採用のチャンスを窺うというところでしょうか。表に出てこない求人も多い業界です。

Players’ Registration Assistant (15.06.2020 - 15.10.2020):
- Checking and approving the player lists for UEFA Champions League, UEFA Europa League and other competitions;
- Administrative tasks such as filing match reports and updating the competition administration system (FAME);
- Communicating with Clubs and National Associations.
Club Administration Assistant (01.06.2020 - 30.09.2020):
- Assisting with the timely receipt, approval and logging of match fixture information for UEFA club competitions;
- Answering questions from clubs;
- Updating club information in update FAME.


東京オリンピック・パラリンピック絡みだと、こちらですね。

大会組織委員会の契約職員を幅広い分野で募集しています。
そこそこの給与(月額235,800円~)も出るので、興味のある方は確認してみてください。開始時期は柔軟なようです。

競技会場運営
選手村運営
トランスポート
国際コミュニケーション
メディカル
IT・テクノロジー
会場・施設管理
バックオフィス
マネジメント


来週の予定

来週は、マネジメントの分野で Communications and Stakeholder Engagement in Sport の講義が3日と、法律が2日。
内容としては興味がありますが、どのような講義になるのか読めない部分もあり、また来週整理します。

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