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聞いたら驚くSalesforceの営業手法

Salesforce.com(以下、SFDC)といえば、ご存知の方も日本国内のSFAではシェアほぼ半分を占めるという業界最大手の企業。

この投稿にもある通り、非常に「凄い」企業である。

同じIT業界の営業である自分から見たSFDCの凄いなと感じることを公開情報や中の人に聞いた話をベースに書いてみる。ちなみに自分は以前にSFDCの看板プロダクトであるSalesCloudを利用していたし、営業を受けたことがある立場。

徹底した合理化

最も凄いと感じる点は徹底的に合理化した販売戦略にあると思う。マーケが得意なのは昨今の認知度の高さで感じるところであると思われるので除外。

具体的に言うと、顧客に合わせた売り方を組織として徹底しているところである。別の観点からいうと営業生産性が非常に高い。

自分が営業パフォーマンスと最も相関が高いと思うのは然るべき戦術に則った活動量だと考えるが、SFDCはその活動量を最大化するために分業化を徹底している。

例えば、内勤営業と外勤営業の役割分担や従業員数をベースとした顧客規模別に営業部隊を分けている。
規模によって買い手の購買プロセスが変わる傾向があるから。一定規模以上は合議制になるが、SOHO〜中小ではほぼ社長が決める。

内勤営業は見込客から商談化することをミッションとしており、ひたすら商談化させることに日夜時間を割いている。一方、外勤営業は商談化したものをいかにクローズさせるのかをミッションとしている。如何にしてセールスサイクルを短くするかを追求している。

日本企業では、インサイドセールスを導入したりしている事例は聞くようになったが、ここまで分業化を進めているところは聞いたことがない。他にも日本企業でありがちなプレイングマネージャーもSFDCではない模様。


遠隔地や中小企業には訪問しない

今では当たり前化してきた感はあるが元々この手の高機能のシステムはエンタープライズ(中堅以上)向けのシステムであった。
主に単価がネックで母数が限定的であった訳であるが、クラウド×利用ユーザー数単位での従量課金制にして中小でも利用できる様にしたところが、セールスフォースの破壊的イノベーションたる所以。

しかし、他社ではなかなか真似できない壁がある。
SOHO向けとなると年間でも下手したら18万円(1,5万円×12ヶ月)とかにしかならない可能性がある。

この手の商品は、営業マンが説明しないと売れない。何故必要かと言うと、人が説明しないと売れないからという至極単純な道理。

ところが、月数万円のサービスを営業マンが売るとなると通常は営業マンのコストが回収できないが、SFDCのユニークなのは、電話とWeb会議で売り切る。ついでに言うと、昨年からのバズワードのマーケティング・オートメーションもフル活用してさらに合理化している。国が広いアメリカならわかる話であるが、営業マンが訪問するのが常識化している日本で実現しているのは凄い。

かけるコストを極限まで下げてサブスクリプションで回収する。1度運用にのれば中々リプレースは難しいし、継続利用=顧客に取って有益、と自社のインセンティブと顧客価値をイコールにしている点も理にかなっている。


営業組織としての最大化

中の人に聞いた話では、(例外はあると思われるが)トップセールスを集めるのではなく、営業マンの平均値を上げていくという組織化としての取組みにしているところが面白い。営業はアートだと言われてきているが、工場のラインと同様に考え、組織としての最大化を狙っているという。副産物としてトップセールスは生まれてくるという仕組み。


と、まぁ外にいる人間が知る範囲でのSFDCの営業手法をかいつまんで書いてみた。当然例外はあるし、規模別などで異なってくるケースはあると思う。実際、エンタープライズ向けの営業部隊については全く知らない。おそらく元SAP・IBM・Oracleなどのトップセールスの人達が集っているのだろうと思う。もうちょっと知ってはいるけどそれはまたの機会。

しかし、ここまで徹底してたら売上は右肩上がりになるだろうなと思う。

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