見出し画像

2020年9月28日tatre開業日記 なぜお店を開こうと決めたかの話2

おはようございます。


皆様ご存知かと思われますが、パティシエは朝早起きなのです。
今日も5時20分に起きて出勤。

息子が何故か5時15分に目覚ましかけてて、なんでパティシエでもないのに早起きしようとしてんだと思ったら、だいたい起きてない。
早起きして時間を有効に使いたいと言う意思表明ですか。ちょっと時間が微妙だからやめて。


そういえば前の職場ではほぼ10年間、 

毎朝3時50分とかに起きてたなぁ。

職場が遠かったのもあるけど朝型にした方が仕事の効率的に出来る所だったし。

その頃毎朝始発出勤ですって人に言うとビビられる。

さていよいよ昨日の続きなんですが、
なぜお菓子屋を開こうと決めたか。 

「パティスリー業界の未来の為に」

そして更にその先には、 


「お菓子を使って世界を変えよう」カンパニーを作る目標も持っております。 


バカみたいな話しですが本気でやってみようと思ってます。


それではなんでそんな暑苦し事をしようとしているのかの話を進めましょう。

まず、僕が小さい頃のお話。

僕が子供の頃、常に飢えていました。
いや僕らがと言った方がいいのか、
兄が居まして。兄と一緒に飢えていました。
いやむしろ兄の方が飢えてた。それはどっちでもいいや。
別にお金に困ってる家庭ではなかったのですが(後にはだいぶ困ってた)、冷蔵庫に食べ物があんまり入っていなかったんです。
友達の家の豊富に入った冷蔵庫のを見て、
「えっ冷蔵庫ってこんな入れていいんだ…」

と冷蔵庫のフル活用の仕方を学びました。
そしてジュースとかヤマザキのケーキとか、かまぼことか普通に入ってて、なんか美しい景色を見るかの様にキラキラしてたのを覚えてます。
うちは共働きだったので、両親が家におらず、そして母親もそんなに子供にかまってちゃんでは無かったのか、ほったらかしの教育方針でした。

小学生にして、兄とその日の食べ物をどうするか真剣に考えていました。

たがら食べる事に異常に執着し、そして食べる事が大好きでした。
自然の流れで僕は小学生の時から料理をして、卒業文集の将来なりたい職業は「コック長」 

なぜ長を付けたか、えらくなりたかったんか。


ジャンルは何にしよ、と考え、なんか一番未知ですごそうなフランス料理の道を選びました。

これは女の子にモテそうだからバンドやる
感覚に似てるかも。


その後、専門学校出て、フランス料理やるならやっぱフランス行かなきゃでしょ、今でしょみたいなノリで、とりあえず防水工事のバイトでお金貯めてフランスに乗り込みました。

未経験のフランス語もろくに話せない鼻垂れ小僧、いや坊主がよく行ったなと、今振り返ると感心します。


あのここですいません、朝書き始めて、気がついたら今もう夜になってしまいまして、(ちゃんと仕事してたの)
フランス修行時代の話はまたどこかで書くとして、端折るとか端折って先を進めないとやばい。
フランスでは運良く就職先見つけて、2年近くレストランでモグラの様に働いて、
そこでもちろんデザートに触れて、 
お菓子の魅力を知りました。


帰国後、就職したレストランにはパティスリー部門に人がいなく、そこに偶然配属されてから僕のパティスリー人生が始まりました。

そして同時にその頃から、飲食業界の大変さに疑問を感じ始めました。
勤務時間が長い、
給料安い、
原価高い、正味期限に短い、つまり利益でにくい、
誰かしらすぐ怒る人が居る、まぁいない職場もありましたが、だいたい怒りたがりおじさんが居る。

働いてる職人達はそんな疑問を提議する余裕も無く、働く働く、ひたすら働く。

30歳になる頃、まぁ同じく大変であろう
テイクアウトを中心としたお店を経験してみたく、西荻のケーキ屋さんに就職してみました。
わかってる、わかってますよ、大変なんでしょ…はいはい、そんですよね、わかりますよ、
労働時間とかも長いんですよね、大丈夫、大丈夫、大変な…
たっ、ただの大変じゃない、めちゃめちゃ大変だ!! 
町場のお菓子屋さんの激務っぷりを知りました。


皆さん聞いて下さい、
近所のケーキ屋さんのケーキ思い浮かべて下さい。
なんでもいいやショートケーキ、
まずスポンジ生地ありますよね。あのフワフワしたやつ、あのフワフワも勝手にフワフワしてくれないんですよ。
混ぜまくってます、卵とか砂糖を。そんでバターとか小麦粉とか入ってます。
型に入れて、あっその前に型にひっつかない様に紙しいたりして。
スポンジだけでも、混ぜたり焼いたり冷ましたり切ったり、失敗してシェフに怒られたり。

更に間にイチゴ入ってますよね。
あれもスライスしてますよー。
イチゴは勝手に分裂してくれません。
「スライスされてるイチゴ」って商品化されるのに、まだ50年はかかるんじゃないかな。
更に、クリームね生クリーム。あれも立ててます。手で立てたら筋肉痛になるくらい立ててます。だからさすがに機械使うと思いますが、「うちは手立てが売りなんです」とか言ってるお菓子屋さんあったらそこは潰れてくれ。
更に更に、そのクリームを
ケーキの周りにひっつけます。 
ヘラとかでクルクル回しながらきれいきれいに、あんまり触りすぎるとボソボソしてくるので、なるべく短時間で。
そんでそんでそんで、一度冷やしたりして安定させてからの…
切ります。波刃包丁とかで中のイチゴがグチャッってなんない様に。
均等に切らないと、今までの工程が台無し。ちっちゃいショートケーキ出来ちゃったりして、お客さんに
そっちの大きい方くれますかぁ?とか言われて、ちっちゃいのが悪者みたいになります。
まだまだあります。断面が乾かない様にフィルムも巻きます。そのフィルムも買ってきます。買っておきます。巻く直前には買いません。
もうわけわかんなくなってきた。
手で丁寧に巻いてからの、上にデコレーション。
上にクリーム絞ります。そんでイチゴ乗っけたり。そのイチゴには瑞々しさ保つ為にナパージュっていう、ネバネバキラキラしたやつ塗ります。

それでやっと一個400円とかで売ります。

どうですか、めちゃめちゃチマチマしてて大変そうじゃないですか?
もう二度とこんな細かく工程は書かない。

こんな感じで全てのお菓子作っていて、早く帰れるわけがないんです。めちゃめちゃ大変なんです。
 
最初に就職した町場のケーキ屋さんはホント地獄みたいな所で、やっぱりそんな感じだったから全然仕事が終わりませんでした。
「私、お菓子大好きで、食べるのも作るのも大好き!」とか言って入ってきた新人達が、日に日に暗くなって来るんですよ。
そして、3週間くらいすると限界がきて、急にトイレに閉じこもりだす。そこでシクシク泣いていてなかなか出てこない。

僕もトイレ行きたくなって、「あのーとりあえず出てこよう」と説得する。
「…すいません…すいません」 
と言って出て来ない。僕は近くのコンビニに用を足しに行く。
まだ出て来ない、もう落ち着くまで放っておくしかない。
そして、翌週その新人は辞める。違う業界に転職すると言う。

わかってもらえたでしょうか…
未来が無いんです。このままだと。
パティスリー業界は衰退して行くのみです。
一部のヤル気あるお方達はそのまま、全力で突っ走ってもらって、
僕は違うんです、
幼稚園の発表会で、「はい!私は、お菓子屋さんに、なりたいです!」って言って夢見てきた様なそんな子達の夢を崩さないお菓子屋さんを作りたいんです。

人ち幸せを与えられるお菓子を苦しんで作って欲しくないんです。 
だから、僕はまず、作る人にフォーカスを当てます。作る人が楽しく、そして余裕があるお菓子屋さんを作りたいんです。
普通に考えてそうじゃないですか?
ゾンビみたいになりながら、憎しみとか怒りがこもったケーキ食べたくないですよね。
働く人もハッピー、買ってくれる人もハッピー、税金もいっぱい払えたら国もハッピー
すごくないですか?

そんな甘くないのわかってます、
利益を出さないと存続できない、
それをわかった上で
もう目指すしか無いんです。 











この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?