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【TOKYO-雨】008踊り踊りて

曲:ma-kun キャスト:高嶋はな・愛季・服部ユタカ
00:00 | 00:30
ボイスドラマ「TOKYO-雨」第八話。
シリーズ前話は(007休まず休まらず)はこちら→ https://note.mu/yutakahattori/n/n0e0b7059dc27

ma-kunさんの曲「dance_dance」の尺伸ばしを依頼して、仕上がった「Re:DANCE DANCE」 https://note.mu/ma_kun/n/n4ee265f21b50 を元に文章をつけ、ボイスドラマとしました。

ついに戦闘らしい戦闘の皮切り。

以下、本文。

***

「まーたクリーニングカンパニーから。ひっきりなしってのはこのことだね。……って、その足運び」

「久しいな」

互いにマスク越しで、言葉を交わす。

「ちょっと、ちょっとちょっとちょっと。アンタなのかい? あの時、ビルごと爆殺しにかかってきた?」

「俺以外にそんなことをしたやつがいたのか」

カルミアは一瞬、間を空け、それから愉快そうに声を上げた。

「あっははは! あのあとマスクもなしにどうやって生きてたんだい!? ――ああ、そうか。保有者だったっけ」

「さあな」

「レイジ、尋問を。あの周辺に緊急用発信機があります」

「あら、おしゃべり猫ちゃんを連れてお散歩とは、可愛いところもあるじゃないの」

「泥遊びの最中に悪いが、知っていることを吐いてもらおう」

銃口を向けながら、俺は言葉をつなぐ。

「命までは取らない」

すると、もう一度声を上げてから、カルミアが瞳を怪しく輝かせる。

「あたしを二度もコケにして生きていられるとは思わないことだ」

次第に語調が強くなる。

「暗殺者である前に、あたしもここいらの掃除屋だから、ね!」

そして、言葉尻に合わせてナイフの投擲。

俺は最低限の動きで、迫る刃から逃れる。

瞬間、こちらも無反動銃で応戦した。しかし、光線はカルミアのマントの表面で弾かれてしまう。

「ミラーコート処理」

レーザー照射機である無反動銃は、万能ではない。とりわけ、「反射処理を施された布」のようなものには、効果が薄い。

「前回は、お披露目する、前に、アンタが銃を、落としたからねっ」

マントの下から投げナイフが絶えず出現し、言葉の切れ目で投擲される。

左右へ、また、その場で回転するステップで、カルミアが着実に距離を詰めてくる。

俺は何度か銃の引き金を絞ったが、「殺さず」では限度がある。

彼我の距離、五メートル。俺も腰の後ろに収めていたナイフを取り出し、近接格闘へと移行した。

「レイジ、危険です。わたしにも応戦許可を」

AIに自衛以外の目的で攻撃要請を出すには、それなりの手順が必要だ。

「準所持者として許可す――」

「そらそらそら! 猫ちゃんにお別れを言っておきな!」

言葉を切らざるを得ない、鋭い刺突から身をかわしつつ下がる。

俺は枯れた細い木の幹を背にし、首元を薙ぐように迫る刃をナイフの腹で受けた。

ギリリ、と金属同士の擦れる音を間近に聴きながら、口を動かす。

「一つ目の質問だ。うちの部隊員を殺ったのはお前か」

「答える必要はないね」

ふ、とカルミアの腕から力が抜ける。俺は脱力に合わせて前に重心をずらされた。

「おらッ!」

そしてやつの膝が俺の腹へとめり込む、その瞬間だった。

「にゃうっ」

「くっ!?」

雨粒を弾く白い塊がカルミアの頭部にぶつかる。アニマロイドが、マスクを蹴り付けて弾き飛ばした。

「邪魔をするなっ!」

両足を地につけ直し、カルミアは俺から距離を取る。そして、アニマロイドへと鋭い視線を送ると、ナイフを投擲した。

アニマロイドは放たれた刃を軽やかな後方宙返りで避けると、汚染土の上に落ちたマスクをくわえて逃げる。

「ちぃっ!」

あくまで、アニマロイドの行為は「人間の所持品を偶然蹴り、それが地面に落ちたので拾った」というだけだ。攻撃ではないと解釈できる。

「このまま続けるか。雨で視界が塞がれてなお戦闘行為にふけるというのは、賢明とは思えないが」

「ふざけんじゃないよ! これくらい!」

明らかに目元が苦痛に歪んでいたが、さすが暗殺者というべきか、声色によどみはない。

カルミアがナイフを順手から逆手に持ち替え、より近距離での刺殺を旨とした構えに移行する。

視界が歪む中でも、掴んでからならば、俺の防護服を突き破って確実に致命傷を与えられる。そう踏んだのだろう。

足元に溜まった水へと踏み込みながら、カルミアは舞を再開する。

「あたしはカルミア。少量の毒で確実に殺す。その白い華は手向けの華でもある」

殺意のこもった足捌きは、しかし、美しくさえもある。

「いいだろう。付き合おう」

俺は、同じくナイフを逆手に持ち替えて、前傾したまま、すり足で応じた。

踊り、踊りて、俺たちは刹那的に、その戦闘行為を楽しんでいたようだった。

踊り。踊り。踊りて。


――そして、遠雷の中に、俺は雄叫びを聴いた。

***

キャスト
カルミア:愛季(あいき) https://note.mu/kobayashiaiki
ソラ:高嶋はな https://note.mu/yohira
レイジ:服部ユタカ

ちなみに。
今回は諸々がアレしてコレしてイッパイアッテナ状態だったので、先週の内に配信することができませんでした。ですが、ma-kunさんの楽曲編集も手伝って、本日、ようやっと配信と相成りました。皆様ありがとうございます。
カルミア(愛季さん)が次第にグリングリンと動きを高めていきます。これはまだ序盤。空を駆け、海を割り、ついでにソラを愛でたりとかもしそうです。(無責任)
次回、またお楽しみに。

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ma-kunさんは前回のコラボを期に、尺伸ばしや編曲し直しをしてくださることをお決めになったそうです。これは日曜作曲の枠から、ただ単純に引っ張ってくるだけでなく、相互に楽しめる形の先駆けだと思われます。楽しみ。

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統合失調症持ちの30歳。人生三度目の引きこもりを脱して就職。小説を書いています。神奈川在住。ふざけたnote量産機にもなったりするので、笑ってやってください。

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原案:花本恵介 シナリオ:服部ユタカ 各種参加者募集中の近未来SFボイスドラマ「TOKYO-雨」のマガジンです。

コメント (14)
>すなさん もうちょい皮肉のきいた演技や台詞組みたくなりますねー! 今回はカルミア姐さんが頑張ってくださいました! >林さん 上には上がいると考え続けてこれからさらにブラッシュアップしていきますよ〜。 >チクタクさん 自然に生活に溶け込んで、「あ、そういやそろそろ配信かな?」と思っていただけるようにしたいですね。曲、やっぱりいいですよね!
やっとちゃんと聴きました。音楽がないときの緊張感!音楽がのっているときの盛り上がり!!
カルミア姐さんかっこいい。AIの「にゃうっ」が可愛すぎる。
やっと聴けたーーー!!(TдT) なんて万能な愛されインタフェース!! そしてこの緊迫感! 入っていないはずの剣戟が、なぜか聞こえる!!
>ふみさん 音楽ないときにいかに引き締まるかを考えてみたんですが、これでなんとか……! よかったよかった! >OZZYさん 剣戟のSEはもう一切入れませんでしたからね! 聴き手の想像力にお任せしちゃってますぞ! 愛されインターフェイスの頭の中の回転の速さ♪
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