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京王線のJOKER

子供の時から慣れ親しんだトランプゲームのババ抜きは、JOKERを最後に引いた人が負け。でも、トランプの世界では重要な役割で、最強のカードにもなりうる。最強と最悪、善と悪の両面を兼ね備えたカードでもある。

映画、ダークナイトにおけるJOKERはバッドマンの正義と悪の定義の本質をバッドマンにぶつけて翻弄した事がずっと心に残っている。

映画の中で電車で乗客が巻き込まれるシーンと、先日の京王線の陰惨な事件がダブって見えた。隣の車両から必死に逃げてくる恐怖に慄く乗客の姿にゾッとした。映画で良くあるシーンを現実に映像で見てしまったわけで、自分がもし、同じ現場にいたら同じように恐怖に慄いていたに違いない。

今年に入って、こうした電車内での事件が3件続いている。今回の事件も動機が仕事が上手くいかなかったからとかで、他の2件も同じように自分の生活状況が上手く行かなかったという理由ではなかったか。自分の問題を棚に上げ、解決しようともせずに自暴自棄になり、短絡的に大量殺人を企てる気持ちになるのは、何故なんだろう?

今回の犯人も以前の小田原の事件を模倣したと供述し、死刑を望んでいるとか。TVやスマホゲームで敵を沢山殺しても、リセットできるが、犯人が犯した罪は消えない。育てた親御さんや親族の人生まで狂わせてしまったり、あの場に居合わせた乗客がPTSDになり、電車に乗れなくなるかもしれない心の傷を抱えてしまう事を考えると、本当に胸が痛い。

そして、映画やドラマの陰惨なシーンを模倣する事件が続けば、製作側にも何らかの規制が掛かってしまう様な事態になるのは、映画やドラマを楽しみにしてる人間としてはとても由々しき事である。

善と悪は表裏一体。何が常識で非常識かが分かりづらい時代。いつでも事件や事故に巻き込まれるかもしれない危険性を孕んだ日常を我々は生きており、自分の行いを正す事も汚す事も自分である事を突きつけられ、悩み続けたり慰めたり。。

ダークナイトのJOKERは辛辣に正義の薄っぺらさを突いていたが、京王線内でJOKERを模倣し、取り返しのつかない陰惨な事件を犯した犯人に懺悔する心がいつか訪れるだろうか?







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