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バランスを忘れない




今回はサッカーにおける

バランス感覚

について。

体そのもののバランス感覚ではなく、
頭(考え方)や習慣の部分です。

当たり前のことも書きますが改めて。



①試合や戦術

②個人の競技力向上

の2点から書いていきます。



まずは

【試合や戦術について】

〜サッカーは0か100ではいけない〜


例えばチームのスタイルとして
「俺たちはパスを繋ぐスタイルだ!」
「どんなにプレスが来てもパスで崩す!」
と100の理論で固めてしまうと、

自分達より強度の高い相手が
猛プレスをかけてくると、
簡単にボールを失ってしまいます。

逆にドリブルだけ!と
100の理論で固めても同じことが言える。

パスサッカーをスタイルにするなら
ドリブルやロングボールも必要。

ドリブルをスタイルにするなら
パスやグループ戦術も必要。


チーム戦術についても同じ。

「ハーフラインで引いて守る」戦術を
チームとして遂行している時は
「押し込まれる時間が長くなる」ことや
「こちらが攻撃できない可能性もある」ことも
頭に入れておかなければいけない。


守備時において
前から全員が連動したプレッシングをかける時は
「プレスを回避される可能性がある」ことや
「自分たちのDFラインの背後に
 スペースができてしまう」ことを
頭に入れておく必要がある。


このように、サッカーの試合や戦術は

「何かを得ようとした時に
 何かを失う可能性がある」

ことを、僕は常に頭に入れている。

頭の中のバランス感覚が重要だ。

どちらかに思考が傾いた瞬間、やられてしまう。

「〇〇だけど〇〇かもしれない」
という、疑いを持って試合を観察する。


サッカーの試合(戦術)では、
何か一つに100%全振りして上手くいくのは、
よっぽど相手のレベルが低い場合しかあり得ない。

それでももちろん、
1つの戦術に全振りする時もある。

例えば
試合でリードされていて残り時間が2分しかない時
はロングボールを多用するかもしれないし、
得失点の関係でどうしても1点が必要な時
はクロスを低い位置からも
どんどん上げる必要があるかもしれない。

これらはあくまでも「そういう時間帯もある」
というだけで、それ以外のほとんどの
試合時間中がそうではない。


0か100ではいけない。

20の時あれば70の時もあり、
90を出して10に戻す時もある。

どれも柔軟に対応できる知識と実践力が
試合を率いる上で現代の指導者に必要な
〝バランス感覚〟だと感じる。


つづいては少し分野を変えて。

【個人の競技力向上のために】
〜サイクルのバランスを意識できるか〜


サッカーを上手くなろうと思った時、
あなたは何が1番重要だと思うだろうか?

まず、思い浮かべる方法は「練習」だろう。


それはそう、
練習をしなければどんなことも上達しない。

しかし、サッカー(スポーツ)においては
練習だけではいずれぶつかる壁がある。
(もちろん上を目指している選手の話)

その壁は小学高学年頃にぶつかる選手がいれば、
高校生になってからぶつかる選手もいたりと、
遅かれ早かれ練習し過ぎてしまう選手が
ぶつかる壁である



その壁の正体は

〝フィジカル面での壁〟

簡単に言うと「身長」と「体の強さ」だ。


「練習」だけに日常の時間を全振りしていると
一定の期間で技術は向上するが、
どこかでフィジカル的な壁にぶつかる。

なぜなら成長期における過度な運動は
骨に負担がかかりすぎたり、
同じ動作を繰り返し行うことで
一部位に負荷が集中し、
慢性的な怪我に繋がる可能性もある。

これはサッカー小僧あるあるだ。

よくテレビやSNSで取り上げられる
天才サッカー少年が、
5年後10年後にどれだけプロになったり
日の丸をつけているだろうか?

おそらく練習のやり過ぎで
ほとんど休んでいないため、
体が大きくならず(強くならず)、
どこかでフィジカル的な壁に
ぶつかっているのだろう。


※ちなみに練習をしている間に
 体が大きくなるのではなく、
 摂る食事(栄養素)や休んでいる間(睡眠中)に
 成長ホルモンが分泌され体は大きくなる。


もしくはそのような天才サッカー少年は
技術が高くなり過ぎて(練習をやり過ぎて)
逆にサッカーがつまらなくなってしまうのか…

そのような謎の思考に陥って
サッカーを辞めてしまった選手は
僕の知り合いにもいる。

簡単に言うと、その時に
「食事」「休養」の大切さを痛感する。

というよりその時に気づき、後悔するのだ。

なぜなら
手足が長かったり、
体が思い通りに動いたり、
当たり負けしない体があることは
プレーの幅を広げることに繋がるからである。

そのような自身の体を最大限活かしながら
プレーする選手を横目に
練習をやり過ぎてきた選手は
フィジカル的な壁にぶつかるのである。
※全員がそうではなく、確率の話だが。


サッカー選手は
「練習」「休養」「食事」のサイクルを
ぐるぐる回しながら成長していく。


小学年代から
「練習・食事・休養」をバランス良く
回せている選手は、体も大きくなりながら
技術も伸びていき、選手として
総合的にバランス良く伸びていく傾向にある。


適度に休んでいるし、食事も取っているので
バーンアウト(燃え尽き症候群)や
慢性的な怪我も少なく、
心身ともに健全に成長していけるのだ。

大谷翔平が日常生活で食事に最も気を遣い、
毎日12時間寝ることを心がけているように、
超一流はそれ(野球)以外の重要性を知っている。


よくある、選手や保護者から受ける相談は
意外とシンプルでこんなやり取りが多い。
※箇条書きです。


親「どうしたらこの技術が上手くなりますか?」
僕「どんな練習をどのくらいしてるんですか?」
→そもそも練習しているのか問題

親「どうすれば身長伸びますか?」
僕「しっかり食べてますか?特にタンパク質」
→そもそも食べているのか問題

親「食べてるんですけど体大きくならなくて…」
僕「どれくらい休んでますか?
  まさか毎日サッカーしてませんよね?」
→そもそも休んでいるのか問題


というようなやり取りはよくあって
意外と足元に答え(原因)があったりする。

練習・食事・睡眠
全てが大切で、いい選手になるためには
全てが必要なピース。

このバランス感覚を保てるよう、
指導者と保護者は選手をサポートしていきたい。



今回は【試合や戦術】など試合中の話、
【個人の競技力向上】のための日常の習慣、
2つの角度から記事を書きました。

どちらも重要なことは
頭と習慣の〝バランス感覚〟

このバランスがどこかに
「偏り続けている」と、
いずれうまくいかなくなるよ、という話。

もちろん、常に完璧を取ることは難しいので、
このバランスが崩れることもあるが、
そのことに気づき、元に戻せるかが大切。

倒れてからでは遅い。
倒れてしまう前にバランスを戻してあげるのは
育成年代のうちは大人の役割である。


最後まで読んでいただきありがとうございました。

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