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夏休みの記憶~学生時代~

うだるような暑さが続いている。朝から熱中症アラートが発令され、屋外に出ることがただそれだけで危険とされるぐらいの猛暑だ。
昔はこれほど暑くなかった。昔と言ってもほんの35年ほど前の記憶だ。学生時代の夏は、部活に明け暮れていた。

高校に入って始めたテニスの部活動は、夏休みの期間休みなく練習があった。2年生で部長に任命され、特に力を入れて練習していたこともあって、当時の記憶は鮮明だ。

テニス部はほとんどが中学まで軟式テニスをしていたという経験者で構成されていた。そんな中私は、小学校は水泳、中学ではバレーボールと、違うことをしてきて、高校に入ってから興味を持ちテニス部に入ったという未経験者だったので、入部当初はほとんどの部員が自分よりも上手かった。ずっと運動をしてきたのだし、何とかなるかと思いきや、正直歯が立たないと感じるほど差があった。

だから、人一倍努力した。強くなるためには誰よりも長く、誰よりも多く、練習する必要があった。今振り返っても、本当によく練習をしたと思う。やりすぎて逆に体を壊してしまったこともあるくらい、練習に打ち込んでいた。その甲斐あって、1年たったころには、部内で右に出るものがないといっていいほどに成長し実力をつけていたと自負している。顧問もそれを認め、私を部長に任命した。

顧問は非常に厳しい先生だった。昔ながらの体育会系部活、といってイメージされるそのままの部活だったと思う。そんなわけで夏休みは合宿もあったが、それ以外も毎日朝から練習があった。当然土日も返上で練習があって、私はいつも始発の電車で向かっていた。行けば一日中、日が暮れるまで練習だ。大変だったが、テニスをするのは楽しかった。それに練習を重ねれば重ねただけ強くなることが面白かった。
今の時代では受け入れられないようなハードさや厳しさだったが、私にとってはいい経験だったと振り返る。

部長として、チームをまとめ、リーダーシップを執る経験もさせてもらった。テニスは個人プレーがほとんどだが、ダブルスや団体戦もある。部活としてお互いを支え合おうというメンタルを持つことで、個人の持つ以上の力が引き出されるということもある。部としてのまとまりは意外と大事だ。部長がいかに部員たちのメンタルを引っ張っていくのか、というのも部全体の練習成果や士気に関わる。

まぁ、そうはいっても高校生の話だ。
当時は高校生なりのものの見方で考えていたわけで、今思うリーダーシップとはまた違った解釈をしていただろうとは思う。メンタルも今とは比べ物にならないくらい軟弱だったので、個人としても部長としても期待に応えなくてはならない、というプレッシャーを感じていた。それでも、部長をさせてもらったから考えさせられたことや学ばせてもらったことが多数あり、今につながるよい経験であったと思う。

高校2年生、先輩たちが引退した後は、自分たちが主役となって1年生を指導し、県大会を目指した。
顧問の先生は、試合の勝ち負けで怒ることはしなかったが、試合内容で手を抜いている様子があったり、逆に早々と諦めてしまったり、練習したことと違う動きをすると許さなかった。

例えば格下の相手に、僅差で勝っても、説教された。勝てる試合なら、しっかり練習成果を発揮して自分を表現できたのか、が問われた。なめた姿勢はすぐに見抜かれ、怒られた。点差に心が折れて諦めている様子が見られた時も、先生は絶対に許さなかった。ミスをするのも負けるのも仕方がないとして、試合に対する向き合い方に「仕方がない」ということはなく、その部分においては大変厳しい先生だったと思う。一戦一戦きちんと向き合って大切にし、着実に勝ち上がる、という戦い方、そしてそこに向き合うメンタルを、私はその先生から学んだ。

その年、結果として部は県大会にも出場したし、私自身は地域で自分の名が売れるほど強くなった。練習のし過ぎで、懸念されていた通り靭帯を損傷し、しばらく動けない時期もあったが、本当によく練習した思い出が、試合結果以上に残っている。異常なほど頑張っていたが、それをやりきったことが、自信につながった。間違いなく、今につながる夏だった。

10数年前、差し入れをもって部活を見に行ったこともあったが、今はどうなっているだろうか。今年の夏も、高校生たちは厳しい練習に打ち込んでいるのだろうか……と、思いを巡らせる。
我が家の二人の息子は、二人そろって受験生の夏だ。それぞれ、未来につながる夏になってくれたらと願うものの、現実は厳しいのかもしれませんw

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