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「選ばれ続ける」ことの大切さとコアメンバーの退職と向き合った話

株式会社wibという会社の代表をしている渡です。シード・アーリー向けのハンズオン支援サービスを提供しており、そこで得た気づきをnoteに連載しているので、もしよければマガジン登録を。(4回目の更新できた!)

今回は「退職マネジメント」について書きたい。というのも、最近私たちのチームのコアメンバーが抜けてしまったからだ😭

この記事を開いてくれたあなたが期待しているのは「退職意思を告げられた時にどうひっくり返せるだろうか?」ということかもしれない。しかし、最初に断っておくが残念ながらそれに対する答えはこのエントリには書かれていない。

「退職マネジメント」は「ひっくり返すこと」ではないからだ。

では何なのか?それを期待しつつ読み進めてもらえると嬉しい。


私たちのチームを去った「カッキー」について

退職マネジメントに対する私論を展開する前に紹介しておかなければいけないのが、私の会社に第1号メンバーとしてjoinしてくれた柿崎くん(通称・カッキー)について。

上のリンクは、彼による退職ポスト。具体的にどんなことをやっていたか、なぜ離脱してしまったのかはこの記事を参照いただきたい。

累計20社にのぼる当社クライアントの半分近くを彼に担当してもらい、様々な経営課題について提案と実行支援を重ねてきて、彼にとてつもなく感謝している。

特に、それまで私の個人的な人脈でしか広げていなかったクライアントを完全新規で獲得し支援をスタートさせてくれたりと「個人受託からの延長」を抜け出すキッカケを作ってくれたのは、紛れもなくカッキーであった。

そして厳密にいうと、カッキーは社員ではなかった。私の会社ではまだ社員制度が整っていなかったので「2020年1月から創業メンバー・社員になってもらうので、それまで業務委託契約にさせてほしい」という話でフルタイムで関わってくれていたのだ。

労働関連法的な意味の「社員」ではなかったものの、紛れもなく私にとって1人目のコアメンバーで、これから会社のアレコレについてもフェアに彼と決めていくつもりでいたキーマンだったことに変わりない。


人が辞めないことが、本当に良い会社だろうか

「退職マネジメント」について私が考え始めたのは、今回が初めてではない。

私自身も過去に2回の「退職」を経験して今の会社の創業に至っているし、前職ユニラボでは人事の責任者をしていた時期もある。

人が会社を辞めるという事象そのものにはかなり多く直面してきたし、それについて長く考えさせられてきた。「人が抜けちゃう!やばい!つらい!」と抱え込んでしまうことも多かったが、ある時を界に辞められることそのものが悪ではないということに思考を切り替えることができた。

そんな私がこの度、コアメンバーから退職の相談を受けた。もちろん残って欲しい気持ちはあったので「何を話そうかな」ということをすぐに考え始めたが、それと同時に、彼に対して「絶対にやってはいけない」と決めていたことがある。

私はこれを「退職マネジメントにおける禁じ手」と呼んでいる。

退職マネジメントにおける3つの「禁じ手」について

3つの禁じ手とはずばり、「論破すること」と「情に訴えること」、そして「妥協の配置換え」だ。

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以下、それぞれ解説する。

▼禁じ手1:論破をしてはいけない
退職を考えるメンバーの理由はそれぞれだが、総じてリーダーよりも若く経験が浅い。当然だが経営に対する理解も深くないことが多い。
そんな相手を論破することはすごく簡単だ。ただ、それによって残った彼・彼女は、以前と比べてパフォーマンスを発揮してくれるだろうか?

▼禁じ手2:情に訴えてはいけない
いっときの感情に訴えて残ってもらったとして、本人の根っこのモヤモヤは解消されない。数ヶ月経つなかでそれが再燃し、永遠にケアコミュニケーションが発生する。リーダーもメンバーも疲弊するので、あまり良い別れ方にならないケースが多い。

▼禁じ手3:妥協の配置換えをしてはいけない
「今は営業をやっているけど、本当はマーケがやりたい」という若手からの相談はいろんなスタートアップで起こっている。これを安易に受け止め「辞められるくらいなら彼・彼女の希望を叶えてあげよう」という意思決定をしてはいけない。
妥協の配置換えは固定費の増加を引き起こし、他のメンバーからの不満を生み、組織のバランスを歪ませ、どこかでしわ寄せがくる。

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上述した3つの手段は退職マネジメントにおける「禁じ手」であり、これらを使ってメンバーに残ってもらうことにほぼ意味はない。

それで人が残り続ける会社は決して良い会社ではないと私は考えている。

(もっとダメな例として、退職意思を伝えてきた社員の給与をあげたり職位をあげたりする話も聞くことはあるが、論外すぎるので割愛する)


退職相談がきた時に、たった1つできること・やらなければいけないこと

「禁じ手」を封じられた以上、「辞めたい」という相談がきた時にリーダーにできることなんてほとんどない。結局は日頃の行いがすべて。

しかし、それでもできるというか、やらなければいけないことが1つだけある。

それはこれまでメンバーがあなたのチームに貢献してくれたことについて、力の限り、誠意の限り感謝をお伝えし尽くすことだ。

その結果、「また、この人といつか働きたい」とお互いに思えることが、退職マネジメントにおいてたった1つの達成すべきことだと考えている。

これを実践できているリーダーはすごく少ないが、たまに素晴らしい投稿を見かけることがある。SmartHRのこれとか、Rettyのこれとか。

こういう記事を書いてもらえるチーム、それを率いるリーダーを心から尊敬する。


毎年、毎月、毎朝、「選ばれ続ける」ために、あなたができること

いざ退職意向を突きつけられたときにできることは限られているが、その前にやれること・やっておかなければいけないことは山ほどある。

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惰性ではなくメンバーが能動的にあなたのチームを選択している状態を作ること。これが、この記事の結論だ。(結論出し惜しんでゴメンナサイ)

この「選ばれ続ける」ためのノウハウは、意外なほどに世の中に流れ出ている。たとえばベルフェイスの中島さんが書いているこのエントリ。

ベルフェイスで働く社員は、転職活動をしなくても常に自分の「市場価値」を確認し、キャリアを計画的に創っていくことができる。そしてValueを体現し、Missionを達成することで、業界最高水準 "以上" の報酬が得られる。

これは【評価・給与の側面】から「選ばれ続ける」ための同社の優れた仕組みと言えるだろう。

また、手前味噌だが前に私が書いたこの記事。

・相手の時間を奪うことを厭わない
・「言語化」にとことんこだわる
・感謝の言葉を何度も伝える

記事内で紹介した上記のような仕組みはすべて、【コミュニケーションの側面】から「選ばれ続ける」ための私なりの工夫だ。

こうした各社のテクニックは、noteやtwitterに溢れかえっている。ちょっと勇気を出してDMを送れば、直接アドバイスをくれる先輩経営者も多いだろう。


「人が辞めることが悪いのではなく、選ばれていないことが悪い」ということを改めて頭に叩き込んで、事業・組織のありかたを考え続けたい。

これは、私自身への自戒も込めてのメッセージだ。


さいごに:カッキーへ

一緒に走り抜けてくれた9ヶ月について、改めてありがとう。チームを離れる前後での様々なフォローアップや、退職エントリでの当社紹介など含めて、僕らのチームのことを丁寧に考え、向き合ってくれたと思っている。

カッキーの強みは、なんと言っても「実行力」・「巻き込み力」。

・タスクの遂行力を上げたいです
・まずはやってみるスキルをつけたいです
・タスクの抜け漏れをなくしたいです
という言葉はあまり聞いたことがない。
(中略)
しかし、相対的に実行力のある人は稀なので、『実行力の高い人』市場はガラガラで、実はブルーオーシャンな気がする。

上記の栗原さんのnoteにもあるような遂行力を君はすでに十分持ち合わせているので、新しいチームでもそれを存分に発揮して、大きな成功を納めることを心から応援しています。

僕自身もまだまだ経営者としては未熟で、もう少し手探りをしながらこの会社の方向を考えて行かないとなと。

これからもたまに会って色々話せると嬉しいし、上述したように「選び続ける」スタンスを取り続けるなかで、またどこかで仕事をできる機会があれば何より。

お互いがんばろう!

以上

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毎月1社ずつくらいは新しくご支援先を広げているので、もし興味ある方は気軽にDMください。組織づくりとかの相談も乗ります。



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