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ようやく、お香立てが、できました

本当に、ようやく…

5月3日(水)から9日(火)まで、伊勢丹新宿店で開催される「Salon de Parfum in Summer」にて、お香立てを発売できることになりました!

よかったー、本当に、よかったー…

私も毎日、朝から晩まで店頭にいるから、会いにきてね。ハンドクリームもあるし。

さて、このお香立ても紆余曲折ありまして…

お香の発売を開始したのが昨年の5月。一方でお香立てのプロジェクトはそのさらに前、一昨年の末あたりから動き出していた。

お香立てのプロダクトとしての課題は、灰をどこまできちんと受け止めつつ、インテリアプロダクトとして成立させるか、ということ。お香を使ったことがある人ならば共感していただけると思うが、お香の灰は意外に散るし、いいお香立ては少ない。

灰をきちんと受け止められるお香立てとなるには、お香立てを真上から見た際、灰の落下点に必ず受け皿があることが条件となる。灰はお香が燃焼しているところから発生し、また基本的にお香は全体が燃焼する。つまり、垂直方向から見てお香が水平面に作る写像が燃焼点の写像の水平面における集合となり、各燃焼点から灰が散ると想定される円の集合によって作られる平面図形が、お香立てに最低限必要な受け皿面となる。

お香を横に寝かせたお香立てを考える場合、燃焼点の垂直方向が灰が散る円の半径に与える影響まで考慮すると、その形状はコーンに入ったアイスクリームのようになるだろう。お香を直立させた場合の灰が散る範囲の円の半径をr、お香の長さをi、お香の角度をθとすると、その面積は

$${\frac{π(rsinθ)^2}{2}+\frac{2ricosθ}{2}}$$

となる。

一方で、お香を垂直に立てるお香立てにおいては、お香の水平面への写像が限りなくお香の断面(通常直径2ミリ程度の円)となるので、灰の散布可能性面積はその最大飛距離を半径とした円とほぼ等しくなる。上の式においては、θが90°($${\frac{π}{2}}$$)という状態だ。

…と書いても何を言っているかわからないと思うので…とにかく、お香を寝かせるとより広いお香立てが必要で、垂直に立てるとお香立て小さくて済むよねー、やっぴー!ということだけ理解しておいてもらえれば問題ない。

先に進もう。


大きなお香立ては、きちんと灰は受けてくれるものの、場所も取るしインテリアプロダクトとして間伸びしがちだ。そこで当初から、お香を垂直に立てる形状にしてある程度コンパクトにしようと考えていた。

イメージは、水面に広がる同心円状の波紋。断続的にまとまった灰が落ちる時、水に何かが落ちる音が聞こえてきそうな、そんなお香立てを目指した。

だから、最初に水に近い質感としてガラスに目をつけたのは自然なことだった。ガラス工房と議論を重ねた末、ピンブローという手法で膨らましたガラスをお椀型に成形し、底面中心部分にお香が刺さるように穴を開ける、という形状のお香盾を作ることにした。

これが、大変だった。ガラスは成形方法によるが、精度を出すのが難しい。何度も試作を繰り返したが、穴が大きすぎたり、垂直になっていなかったり、と思うようにならなかったのだ。

半年以上の試行錯誤の末、結局ガラスでのお香立て製作は断念せざるを得なかった。残念でならなかった。


その時にふと、以前見学した伊万里焼の窯元で見た白磁のことを思い出した。うっすらと青みがかった、美しいものだった。

その白磁で、お香立ての製作ができないかと思った。ガラスのお香立てへの未練は断ち切れてはいなかったが、思い立ったが吉日、窯元にすぐに連絡を取ることに。

そこから白磁でのお香立て制作が始まった。今回ご協力いただいたのは、伊万里の青山窯。明治16年(1883年)創業の老舗だ。

こちらも結局のところ、問題は、穴。型に予め軸をつけておけば一定の大きさの穴ができるものだと考えていたが、話はそう単純ではなかった。穴を開けるために通常よりも底面が厚くなり、その部分が乾き切らず、型から取り外す時にちょっとした力が加わることで穴がずれてしまうのだ。

そこで底面の厚さを一定にしつつ、底面全体を穴に合わせた形状にすることで、この問題を解決することができた。これに関しても、文章だとわからないと思うので、ぜひ一度、明日から開催される伊勢丹新宿店での「Salon de Parfum in Summer」に来てほしい。実物を見てもらえれば、私たちの苦労が少し伝わる、はず…

写真だとこんな感じ。

「鈴虫」の源氏香之図入り。

お値段は税込13,750円と少しお高め。もちろんそれだけ原価がかかっているからで、不当に高くも無理に安くもしていない。かかった手間や知恵を鑑みても、適正価格だと思料する。


とにかく、ここまで形にするのは大変だった。大変だったが、窯元との侃侃諤諤の議論は知的で面白かった。

あとはこれを、私たちがしっかり伝えていくのみ…


ということで、明日5月3日から9日までの、伊勢丹新宿「Salon de Parfum in Summer」、ぜひ来てね。待ってるよ。

絶対、来てね。


ね。


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