絶対音感
ふとテレビをつけてみると、BSプレミアムでルツェルン音楽祭のベートーベン・プログラムを放送しているので、この記事を書きながらなんとなく耳を傾けている。
ピアノは、かの有名な、マルタ・アルゲリッチ。
名前は知っていたが、彼女の生涯についてはよく知らなかったので、Wikipediaで調べてみた。
すると、大変面白い一節があった。
アルゲリッチは絶対音感の持ち主ではなく、調性を正しく認識していないこともあり、聴衆の一人から「ト長調の前奏曲」の演奏を褒められても自分が弾いた曲のどれを褒められたのか判らず、考え込んだことがある。
Wikipedia 『マルタ・アルゲリッチ』
私は音楽についてはあまり詳しくないが、絶対音感は良いピアニストには不可欠なものだと思っていたのでこの記述には少し驚いた。
少し調べてみると、絶対音感がない有名なピアニストもそれなりにいることがわかった。とは言っても、絶対音感はピアニストにとって大きな利点になるようなので、アルゲリッチの例は比較的まれなのだろう。
調香師の仕事を見ていると、そこにピアニストにおける絶対音感のようなものを感じることがある。1つ1つの香料が奏でる“音”を、香料の正確な記憶と照らし合わせてそれが何であるかを判別する。
私は調香師ではなく、さらにそういった“絶対音感”も持ち合わせていない。
それでも、調香師の“絶対音感”を頼りに、1つの香りを作り出すことができる。
「香料の知識もない、調香もできないのに、どうやって香水を作るの?」
たまに、このような質問を投げかけられることがある。絶対音感のないアルゲリッチが、世界最高峰のピアニストの1人となれたように、ないものは何かしら他のもので補えるし、必要だと考えられているものが、必ずしも必要であるとは限らない。
大切なのは、自分に足りないものが何であるかを認識し、それを補う方法を見つけることだ。
私の場合、それが調香師のJean-Michel Duriez氏だった。
クリエーションにしても、会社経営にしても、自分ができることをやり、できないことは他人に依頼する…シンプルだが、肝要なのだろう。
そろそろ会社経営面でも、誰かを入れることを検討しないとなぁ…
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