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ニューノーマル時代の建設業界を支えるコミュニケーションツール活用の広がり

皆さんこんにちは。BONX Team Growth Scientistの楢崎です。

『ニューノーマル時代のノンデスクワーカー業界を考えるマガジン』の第二回目、前回に引き続きノンデスクワーカー市場におけるコミュニケーションについて考えていきたいと思います。今回リサーチするのは「建設業界」です。

なお、前回投稿した「ホテル業界」については以下のリンクからご一読いただけますので合わせて御覧ください。

コロナ以降の建設業界を取り巻くマクロトレンド

建設業界は、コロナ以前においては”建設バブル”と言われるほど堅調な需要が推移していました。特に総合工事(ゼネコン)中心に、オリンピック特需などの公共大規模工事を中心として建設投資額は大きく伸びていました。

以下グラフは日建連が取りまとめた建設投資額の推移ですが、2010年を底としてここ10年は大きく伸びていることがわかります。特に政府発注の公共工事の比率が上がっているのも直近の特徴ですが、これは東日本大震災以降の復興およびオリンピック関連の公共需要を反映していると考えられます。

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それではコロナが発生した昨年1月以降はどうだったのでしょうか。とくに民間住宅分野においては、需要の落ち込み大手・中小の二極化が進んでいると考えられます。

野村総研の予測によれば、新規着工の住宅数はコロナ発生以降、短期的には従来のトレンドよりも10%以上は落ち込むものと予測されていました(2020年6月発表の予測値)。

当初はコロナ収束にむけて22年度には回復するという予測でした。しかし直近の第4波の発生やワクチン接種の遅れなどを加味すると、当時の予測よりもコロナ影響が長期化している可能性もあり、実際の需要回復は23年度以降にならざるを得ないかもしれません。

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さらに、クラフトバンク総研の分析によれば、大手企業の大半が業績を上方修正した一方、建設業の廃業数そのものは増加しており、先に書いた通り「大手・中小企業の二極化」が進んでいます。業界全体の受注額自体は当初の予測通り8%ほど下がってことも見て取れます。

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定性的にはなりますが、ステイホーム推奨やリモートワークの拡大にあわせてマイホーム需要そのものはある程度拡大していたものと考えられます。

しかし、積極投資に踏み切れた資本力がある大手企業が需要の受け皿となった一方、中小規模の建設業者の皆さんはコロナ影響を大きく受け業績を落としているのが実態と言えそうです。

実際、東京商工リサーチによる直近のアンケート調査(21年3月)によれば当初よりも建設業界においてコロナ影響が拡大しており、減収となっている建設業者の比率はどんどんと高くなってきています。緊急事態宣言やまん延防止措置等の発令に伴いプロジェクトの中断・停止を余儀なくされたケースが少なくなく、業績悪化の一因になっているものと考えられます。

ニューノーマル時代の建設現場の働き方の変化とは

マクロな建設業界のトレンドを理解した上で、実際に建設現場の働き方はどう変わってきているのでしょうか。ちょうどこの5月に改訂された国土交通省発行の「建設業界におけるコロナ感染防止対策ガイドライン」から読み解いて行きたいと思います。

詳細についてはガイドラインをご一読頂ければと思いますが、結局のところ他業界と同様に「業務中の三密をどのように防ぐべきか?」というところがポイントとなっています。

建設業界は住宅・非住宅・土木・リフォームの4つに大別されますが、住宅分野であれば狭い空間に人が集中して密な環境が起こりやすいこと、非住宅分野では不特定多数の作業員の方々の出入りが発生せざるを得ないことを考えると、感染拡大が起きやすい環境と言わざるを得ません。

ニュースそのものを貼ることは控えますが、実際に建設現場や宿舎で発生したクラスターが福島や鳥取などいくつか確認されています。長期の建設プロジェクトでは建設作業員の方が共同で生活するケースもあるため、どうしても感染拡大リスクが大きくなってしまいがちです。

そんな中、国土交通省のガイドライン内で触れられている様々な現場における取組事例と対策方針が述べられていますが、ここでは「ICT技術の積極活用」「建設オペレーションの区画分割」の2つに注目したいと思います。

※当然ガイドラインにはこまめな体温チェック、手洗い・消毒の徹底、ソーシャルディスタンスの確保やポスター掲示による啓蒙活動と言った、ごく一般的な対策も多数書かれていますので、ぜひ関係者の方はガイドラインをご確認ください。

①ICT技術の積極活用
一つは、接触頻度をさげ感染リスクを最小化するために、建設現場においてもICT技術を活用し遠隔コミュニケーション主体の業務スタイルに切り替えることです。

オフィスワークにおいては、ビデオ会議システムの活用はコロナ禍で一気に一般化しましたが、建設業界の現場においても同じトレンドが発生しています。

大きな建設プロジェクトになるほど関係する企業も人も増えるため、各種の会議や打合せは業務上かならず必要になりますし、関係者の数だけで言えば大半のオフィスワークよりもよほど大規模だとも言えます。当然、関係者を集めた会議を対面でやってしまうと感染リスクが上がってしまうため、ガイドラインではなるべくビデオ会議中心に移行することが推奨されています。

下記はガイドラインに添付されている事例画像になりますが、現場と事務所をビデオ会議システムでつなぐことで遠隔ベースで現場監督や作業員とのコミュニケーションを行っています。

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さらに打合せや会議だけではなく、タブレット端末やウェブカメラを利用しすることで遠隔地からでも現場の様子をリアルタイムに把握できるようなデジタルツールを活用することも推奨されているようです。

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上記の通り、会議シーンであっても現場作業シーンであっても、従業員の方々の安全を確保するためにICT技術の活用は極めて有効だと考えられます。

一方、当然といえば当然ですが、建設途中の施設や土木現場においてWifiネットワークといった通信環境が整備されているわけではありません。4G/5Gのモバイル回線が入ればいいですが、トンネル工事や地下工事では不可能です。したがって、今後はモバイル回線の導入拡大に加えて建設現場に安定した通信環境を提供する新しいサービス展開が拡大していくものと思われます。

もしかすると、ローカル5Gと言った最先端の通信技術の活用が建設現場から始まっていくかもしれません。実際、竹中工務店や大成建設などの大手ゼネコン各社がネットワークベンダーと提携し、建設現場におけるプロジェクトを多数スタートしています。

②オペレーションの区画分割

もう一つ見逃せない現場改革として、「オペレーションの区画分割推奨」というポイントがあります。平たく言えば、作業員同士のソーシャルディスタンス確保のために従来よりも作業区画を細かくブロック分けするということです。

同じくガイドラインに掲載されている事例ですが、屋外作業でもブロック分けを徹底し一定の距離を確保、室内作業では区画ごとに工程を分け入室人数も制限するなど、とにかく密な環境をつくらないための対策方法がまとめられています。

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もちろん、ソーシャルディスタンス確保という面でこれらが作業員の方の安全対策に寄与すること自体は間違いがありません。

しかし現場監督する立場からすると、従来よりも細かく作業工程を分割し作業効率と安全対策を両立すること、安全対策が守られているかどうか・密な環境になっていないか管理する責任が生じることなど、ニューノーマルな建設現場ならではの新たな業務が生じることになります。

つまりは、現場における管理工数が大きく高まってしまうのです。

住宅建築であれば現場作業員の人数も少なく目も行き届きやすいのでそこまでではありませんが、非住宅建築や土木工事といった大規模プロジェクトではこれらによる業務負荷はかなりのものとなるものと考えられます。

まして、大規模プロジェクトになるほど距離や騒音によって声がけも難しいですし(そもそも大声を出すこと自体感染対策として避けるべきですが)、両手が塞がる作業中に電話などでタイムリーにレポートすることも困難です。そもそも工程管理が難しい建築現場において、これまで以上に細かく業務管理をおこなうというかなり頭の痛い問題が生じてしまいます。

つまり、感染対策・安全対策とプロジェクト工期の円滑な進捗をはかるために、ニューノーマル時代の建設現場では、これまで以上に現場におけるコミュニケーションが重要になっていくものと考えられるのです。

新しい働き方を支える建設業向けコミュニケーションツール

ニューノーマル時代、建設分野の現場業務ではこれまで以上にコミュニケーションが重要となることを述べてきました。それでは、こういったコミュニケーションの課題を解決するためにどういったツールが活用できそうでしょうか。

実は建設業は、Vertical SaaSとも呼ばれる「業種特化型の業務支援アプリケーション」がかなり充実してきており、そういったものを上手く活用することでスムーズに新しい働き方にもシフト出来るのでは無いかと考えられます。

建設業支援ツール:①施工管理アプリ

建設業ならではの業務フロー全体をカバーしたITツールとして、施工管理アプリというジャンルが確立されつつあります。図面の管理から始まり、工程表の管理、日報作成や現場監督や職人同士のチャットなど、業務全体を横断的にカバーするトータルソリューションという位置づけです。

建設業ならでは課題であった「大量の建設図面の一括管理」「工程確認用の写真管理」から始まり、現在では見積もり表作成といった営業支援、仕上げや配筋などの各種検査工程支援など、現場の建設実務のみならず建設業務のバリューチェーン全体を支援する方向に拡大しつつあるようです。

こういったツール群を活用することで、現場写真を撮影して距離が離れていても関係者全体に情報を展開したり、入場人数の制限で細かく分かれる工程を管理出来るなどといった、ニューノーマル時代にも適応した現場効率化が進むように思います。

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各社のウェブサイトを見れば様々な導入事例が掲載されていますが、ゼネコンから住宅建築に至るまで様々な建設業務に対応してきており、マーケットとしても立ち上がってきている中今まで以上に急速に便利なサービスに変わっていくことが期待できそうです。

建設業支援ツール: ②コミュニケーション特化型アプリ

加えて、業務シーンに応じた最適なコミュニケーション手段を確保しておく必要があります。タブレットやスマホを用いて時間をかけたテキストコミュニケーションが出来るシーンであればいいのですが、テキストチャットはどうしても入力に時間がかかりますし、手が汚れていたり両手がふさがっていると現実的にはすぐ対応することが困難です。

そういった意味でも『今すぐこれを伝えたい!』という早さが求められるシーンでは音声コミュニケーションのほうが優れています。

例えばBONX WORKの場合、スマホを取り出すこと無く耳につけているデバイスのみで操作が完結しますし、4G電波さえ入ればどこでもスムーズにコミュニケーションを行うことが可能です。

工程を細かく管理するためには、計画をしっかりと行うことはもちろん、その計画通りに進行しているのか・遅れやトラブルが生じていないか・トラブルをどうやって解決するのか、とにかく現場の状況をリアルタイムに把握してすぐに指示を出す必要があります。

そういった際に、話すだけで状況確認と指示が完結する音声コミュニケーションはかなり有用なツールとなってきます

従来の建設現場ではトランシーバーが活用されてきましたが、距離や遮蔽物の影響を受けやすく、上手く使えないシーンも多いものでした。また、いわゆる“片方向通信”(「もしもし、どうぞ」とか「XXXです、オーバー」というやつです)なので普通の会話のようにスムーズにやり取りもできませんでした。

BONX WORKの場合、1グループ50人まで完全双方向通信が可能で、複数のグループをまたいだ会話も可能です。現場間での会話はもちろん、現場<->事務所間や複数の工程をまたいだ会話も可能なので、トランシーバーではできなかった様々なシーンでのスムーズなコミュニケーションを実現し生産性を向上することができます。

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また、現場で発生した指摘事項をもとにしたコミュニケーションを支援するAQuickというツールもあります。AQucikの場合には指摘事項を図面と紐付けることができ、指摘事項単位でのテキストチャットや音声メモを残すことが出来るので、対応漏れがないかのログにもなりますし是正状況をトラッキングすることも可能です。

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建設現場ならでは様々なの人同士・グループ、様々なシーンでのコミュニケーションが発生します。音声コミュニケーションにしろ指摘事項ベースのコミュニケーションにしろ、コミュニケーションパターンに応じた最適なツールを選択することで、今まで以上にチーム全体の生産性を高めることが可能だと思います。

まとめ

以上、ニューノーマル時代における建設業界の大きなトレンドを踏まえた上で現場業務を支援する様々なデジタルツールをご紹介してきました。
・ICT技術を活用した感染予防の徹底
・三密を防ぐための新しいオペレーションへのチャレンジとそれを支えるコミュニケーションツールの活用

建設業は従事労働者の人数から考えても建設投資金額から考えても、今後も日本全体の産業を支える中核だと考えられます。そんな建設業界でDX: デジタルトランスフォーメーションが進むことは、建設業に関わる人のみならず多くの他業種の人たちにとっても大変重要になると思います。

ご紹介してきたように、建設業に有用なデジタルツールはどんどん拡大してきています。BONXは今後も建設現場の安心安全とチーム生産性の向上に寄与できるように、今後も頑張っていきたいと思います。

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株式会社BONX所属。20年11月よりNewsPicksプロピッカー就任。チームワーク、コミュニケーション、DX、知財、スタートアップなどが関心分野です https://twitter.com/nuta0326 https://newspicks.com/user/3315600