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インハウスのアートディレクターとは何者なのか?

こんにちはyuichiroです。

僕は広告代理店時代にアートディレクターとなったのですが、その後ベンチャー企業のインハウスデザイン組織に転職し、そこでもアートディレクターをしていました。
広告代理店のアートディレクターは想像しやすいと思うのですが、インハウスのアートディレクターはいまいち何をしている人なのか分かりにくいのではないでしょうか。
ただ、わかりにくくはあってもインハウスデザイナーのキャリアステップとして気になる人も多いと思っています。

そこで今回はインハウスのアートディレクターとはなんなのか、僕なりの経験を踏まえて考えたいと思います。
またここではは1000人規模までの中小規模の企業(特にベンチャー)でのアートディレクターに関して検討します。

ざっくり定義をすると以下のようになるのではないかと思っています。
(アートディレクターという職種ですが、基本的にビジュアルココミュニケーションを伴う領域で必要とされる職種だと思います。そのためここでは、webプロダクトではなく、コミュニケーションデザイン(広告、ブランド開発など)の領域でのアートディレクターを定義します。

クリエティブ制作において、事業やサービスのパーソナリティを作るor理解し、目的・ゴールを決め、コンセプトを考え、ビジュアル面でブランドイメージを舵取りしていく役割。 また、各過程で社内の合意形成を図る。

広告代理店のアートディレクターとの大きな違いはクリエイティブディレクターが担うようなクリエイティブ要件の検討やコンセプトまで検討すること、また関係者の合意形成を行う点でしょうか。

一つづつ見ていきましょう。

「事業・サービスのパーソナリティを作るor理解する」

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ベンチャー企業は創業者の想いをベースに猛スピードで突き進んでいく組織です。そのため、高速でプロダクトを作り改善を繰り返していくのですが、マネタイズすることが最初の目標になるので、ブランディングは後回しになります。これは当然で、稼げないサービスをいくら体裁を整えても意味はないので、まずマネタイズできるプロダクトを作る必要があるからです。
そのためある程度マネタイズが可能になった時点でサービスのメッセージやトンマナなど世界観がカオスになっていることがよくあります。
アートディレクターとしては、まずこのカオス化した世界観を整える必要があります。
そのためにサービスの「あるべき姿」を模索し、サービス人格(パーソナリティ)を規定していきます。
そして社内の関係者で合意を形成できたら、その世界観を他のアートディレクターやデザイナーに啓蒙し、浸透させながらアウトプットを作っていきます。
すでにパーソナリティまで用意されているサービスの場合は、それが妥当か考慮した上で、理解しアウトプットを作ります。

「目的・ゴールを決める」

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いわゆるクリエイティブブリーフと言われるものを作る作業です。
施策の目的、ゴール、ターゲット、ターゲットのパーセプションチェンジ、ターゲットのインサイト、サービスのUSP・ベネフィットなどをまとめていきます。
ここはマーケティングチームなどの数字にコミットした人たちと共同で作っていくことになります。
特に広告系の施策の場合はゴールが具体的な数字のKPIになることが多いので、よく確認する必要があります。
ターゲットに関する部分は施策単位というよりも、定点観測で調査をしていく場合が多いと思います。
ここが明確になることでアウトプットの質やコストが大きく変わるので、とても重要な項目でしょう。

「コンセプトを決める」

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パーソナリティを理解し、目的・ゴールが整理できたらアウトプットのコンセプトを検討します。
ここはデザイナー出身のアートディレクターとして最も楽しい部分ではないでしょうか。
僕の場合、きちんとやる場合はキーノートなどでストーリーを作っていき、イメージボードなども用意した上で、最終的に2単語程度にまとめます。
補足文なども多少つけますが、デザイナーがそばにいる場合が多いので、イメージボードを使いながら口頭で詳細を伝えることが多いです。
例えば「先進的かつ温かさがある」など。この言葉にサービスのパーソナリティやターゲット特性なども踏まえてイメージボードを作ります。


この3つを各フェーズで関係者の合意形成を行いながら進めます。僕はこの合意形成が実は最も大変な作業だと思っています。デザインというのは見た目の要素が大きいので、比較的多様な関係者が意見を言いやすい領域です。「先進的」という言葉一つでもiphoneをイメージする人もいれば、SF映画のような世界観を持つ人もいます。
そのため言語化し理解してもらったと思っても、後で梯子が外れることもよくあります。そのため、できる限り関係者がイメージしやすい資料を用意し、丁寧にコミュニケーションを図る必要があるでしょう。

こうして見ると直接的なアウトプットに関わる部分は少ないので大変なように感じますが、この作業を行うことでサービスや事業のブランドイメージが醸成され、共通のイメージで認知を獲得していくことができるので、実はインパクトが大きくやりがいのある仕事だと思います。

またインハウスのアートディレクターはデザイナーも兼ねることが多いので、自分が設計した世界観を自分の手で形にしていくこともできます。デザイナーと協働する場合も、すぐそばにデザイナーがいるので目の前でアウトプットが形成されていくのを見守ることができます。

世界観の構築からアウトプットまで関わることができるインハウスのアートディレクターという役割はとてもやりがいがあり僕は大好きです。
この記事をきっかけにインハウスアートディレクターを目指す方が増えたらえ嬉しいですし、今インハウスのデザイナーをしている方たちの一つ目指すものになれば幸いです。

yuichiro


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アートディレクター・デザイナー。 多摩美→プー太郎→ITベンチャー→広告代理店→ITベンチャー→大手事業会社→スタートアップ。 プー太郎から4度の転職をしながらキャリアアップしてきました。 そこで得たデザイナーの転職やキャリア、デザインの知見を公開していきます。

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