立憲民主党の野田佳彦新代表に求められるのは何か

昨日、立憲民主党の代表選挙が行われ、野田佳彦元首相が枝野幸男前代表との決選投票に勝利して代表に選出されました。

今回の代表選挙に立候補したのは、野田氏と枝野氏に加え、泉健太代表、吉田晴美衆議院議員の4人であり、党勢の伸び悩みから再選が危ぶまれていた泉氏が第1回目の投票で第3位の得票に留まって敗退したことは、事前の予想の通りでした。

また、事前の予想という点では来るべき総選挙に備え、党運営や選挙対策などへの期待の高い野田氏が、いわゆる野党共闘を推進したことで支持の低下を招いたと考えられている枝野氏に勝利したことも、順当な結果でした。

一方、吉田氏が国会議員票で2ポイント差、党員・協力党員票で同ポイントと泉氏に迫る結果を残したことは、同氏が今後の立憲民主党で重要な活躍の場を与えられることを推察させるものです。

ところで、現在の国政では進歩的な政策から保守的な施策までを幅広く揃える自民党が、主たる支持層の歓心を買うために保守的な態度を示し、野党第二党である日本維新の会はさらに保守的な姿勢を取っているのに対し、共産党やれいわ新選組、あるいは社民党は過度に進歩的な立場にあります。

政権与党である公明党は中道政党ではあるものの、中道路線を強調すると自民党内の保守派が日本維新の会との連立に傾斜する可能性があるため、自民党の意向を無視できず、主体性という点で迫力に欠けます。

立憲民主党そのものは自民党に連なる保守的な層から旧社会党の系譜を継ぐ進歩的な政治家たちまで擁しているものの、主たる支持母体である連合の意向を無視することが出来ず、また旧民主党の系統である国民民主党との合流が実現せず、労働組合の支持が分散しているということもあり、党としての方針が定まらないでいるのが実情です。

こうした状況を考えれば、代表に就任した野田氏には、保守的な政治家という一般的な評価が当選に繋がったとはいえ、現在の国政においてほとんど空白というべき中道政党であると明示し、その上で保守派と進歩派にも手を広げることが、総選挙だけではなくその後の党勢の拡大に影響を与える点に十分注意する必要があります。

首相在任中には政権運営のために離党者が出ることを食い止められず、不利な状況にもかかわらず、党首討論において当時の自民党総裁の安倍晋三氏に対して議員の定数の削減を条件に解散総選挙の時期を明言するなど、政権党の党首としても内閣の首班としても不用意な対応が目立ちました。

それだけに、過去の失敗に学び、政権交代を実現するために立憲民主党に対する有権者の信頼を増進させるとともに、離党者を出さず、選挙前に党の規模を縮小させないという努力が求められます。

これらの事項を実現できるか、野田氏の野党第一党の党首としての手腕が注目されるところです。

<Executive Summary>
What Is the Meaning of the Presidential Election of the Constitutional Democratic Party of Japan? (Yusuke Suzumura)

The Constitutional Democratic Party of Japan held the Presidential Election and Former Prime Minister Yoshihiko Noda won the campaign on 23rd September 2024. On this occasion, we examine the meaning of the election and the future of Mr Noda as the Leader of the First Opposition Party.

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