聴取者への「クリスマスプレゼント」となった『クラシックの迷宮』の「"クリスマス音楽"の迷宮」

昨日、NHK FMの『クラシックの迷宮』は、「“クリスマス音楽”の迷宮~バッハからシュニトケまで~」と題して放送されました。

今回はクリスマスを翌日に控えての放送ということで、チャイコフスキーのバレエ音楽『くるみ割り人形』の序曲、フンパーディンクの劇付随音楽『青い鳥』の「7つの交響的絵画」から第1曲「クリスマスの夢」、あるいはヘンデルの『メサイヤ』などの管弦楽曲が紹介されました。

また、クリスマスには欠かせない『ホワイトクリスマス』をアンディ・ウィリアムズとルイ・アームストロングの録音で紹介したり、『きよしこの夜』の版の違いを確認するのも、この番組ならではの趣向でした。

その一方で、エルヴィス・プレスリーの『ブルー・クリスマス』を紹介した後に映画『ブルークリスマス』(1978年)の主題歌を取り上げたり、エチオピア教会の聖歌を紹介するのは、クリスマスにまつわる音楽に広く目を向けるという点で、教育的な価値の高いものです。

何より、「『聖書』にはキリストが生まれた日は書かれておらず、この日を境に万物が生長する時期を迎える冬至のお祝いという故習と重ね合わされることで12月25日が誕生日となった」という趣旨の説明から始まり、「日本では古来冬至に神楽を舞った」という話へと発展させ、神楽歌『阿知女法』を紹介するとともに、太陽神であるアマテラスが天の岩戸に隠れた後に再び現れる様子を取り上げた映画音楽『わんぱく王子の大蛇退治』から伊福部昭による「岩戸神楽」と「岩戸開き」を放送したのは、片山杜秀先生でなければ実現しない構成でした。

「クリスマス」を手掛かりに、その普遍性と特殊性、さらにキリスト教圏以外の地域の文化との関わりを音楽を通して検討した今回の『クラシックの迷宮』は、聴取者に様々な視点を贈り物としてもたらした、クリスマス・イヴにふさわしい内容であったと言えるでしょう。

<Executive Summary>
"Labyrinth of Classical Music" Gives Wonderful Christmas Presents for the Listeners (Yusuke Suzumura)

A radio programme entitled "Labyrinth of Classical Music" (in Japanese Classic no Meikyu) broadcasted via NHK FM featured "Christmas music" on 24th December 2022. It might be a meaningful opportunity for us to understand variety of Christmas music.

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?