第26回参議院議員通常選挙において各党は何をなすべきか

去る6月22日(水)、第26回参議院議員通常選挙が公示されました。

今回は2019年に行われた第25回参院選に比べて175人多い545人が立候補し、1995年以来27年ぶりに候補者数が500人を上回りました[1]。

もとより参院選は政権の施政に対する信任という側面を含むとはいえ、衆議院選挙とは異なり有権者が政権を選択する機会ではありません。

また、現在岸田文雄内閣への支持率は比較的高く、政権運営の上で顕著な実績がない一方で失策もないこと、さらに自由民主党内で党を二分するような争点がないこと、さらに野党側が統一の候補者を擁立するいわゆる野党共闘が実現しなかったことをも考えれば、今回の参院選で与党が比較的優勢を保ちつつ選挙戦を行うであろうことは容易に推察されます。

ただし、現在世界各地において自由や民主主義といった価値に挑戦するかのような動きや、立憲体制下にありながら法治ではなく権威主義による統治を進める国の増加、あるいは格差や不平等が政権の基盤を揺るがすことを避けるために、公明正大な政権運営よりも自らの威信や権力を維持することを目的として国民の批判を逸らすために社会の共通の敵を作り上げるといった動きが広まっていることは、われわれの知る通りです。

こうした状況の中で行われる参院選では、すでに国会に議席を持つ各党の主張を見る限り、様々な問題の解決に取り組むよりは現有勢力の維持を目指す姿が強く示されていると言えるでしょう。

確かに国会議員の一人ひとり、あるいは各政党が所期の政策を実現するためには可能な限り勢力を拡大することが必要であって、勢力の縮小は避けなければなりません。

その意味で、各党の態度は合理的な側面を持っています。

しかし、こうしたあり方が有権者の政治への歓心や興味をそぐだけでなく、極端であり、実現性に乏しくとも分かりやすい主張を掲げる新興の諸勢力への支持を広める結果に繋がっていることも否めません。

その意味において、既成政党に求められるのは選挙に勝つという即物的な考えに留まらず、人々の利益を実現するために邁進する覚悟であり、党利党略、個利個略を超えた大局的観点から選挙戦を行い、選挙後に公約を確実に果たすことなのです。

[1]参院選公示 545人立候補. 日本経済新聞, 2022年6月23日朝刊1面.

<Executive Summary>
What Is an Important Viewpoint for the House of Councillors Election 2022? (Yusuke Suzumura)

The House of Councillors Election is announced on 22nd June 2022. In this occasion we examine an important viewpoint for the election focusing on it's attitude against the election itself.

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