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2021年9月の記事一覧

自民党総裁選での「2位・3位・4位連合」は決選投票での有効な戦略か

明日投開票される自由民主党の総裁選挙については、現時点で第1回目の投票では過半数を制する候補者がなく、決選投票が確実な情勢であるとの指摘があります[1]。

この場合、第1回目の投票で1位となった候補に対抗するために、2位以下の候補者が連携し「2位・3位・4位連合」を形成して総裁選を制するという戦略が予想されます。

これまで、決選投票が行われた4回の総裁選挙を確認すると、1956年及び2012年

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Is the TPP a New Field of Conflict between China and Taiwan?

Yesterday, Taiwan's President Tsai Ing-wen announced that Taiwan has applied to join the Trans-Pacific Partnership Agreement (TPP).

Since taking office in 2016, President Tsai has wanted to join the

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「TPP加盟申請」は中台の新たな角逐をもたらすか

本日、台湾の蔡英文総統が環太平洋経済連携協定(Trans-Pacific Partnership Agreement: TPP)への加盟の申請を行ったことを表明しました[1]。

2016年に就任して以来TPPへの加盟を希望してきた蔡総統にとって、9月16日(木)に中国が加盟を申請したことが契機となり、今回の措置となったことが推察されます。

中国はすでにTPP事務局を担当するニュージーランドに申

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「衆議院議員の任期満了前1か月」に際して野党各党に現実的な公約の策定を求める

今日で、10月21日(木)に衆議院議員の任期満了まで1か月となりました。

来るべき総選挙に向けて、各党はそれぞれ選挙の公約の策定と公表を進めています。

現在総裁選挙を行っている自民党は、各候補の提唱する政策が公約の基礎をなすことが予想されます。それだけに、論戦を通して政策の是非が検証され、実現の可能性が高められるとすれば、自民党にとっては格好の機会を手にすることになるでしょう。

一方、他の諸

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「菅首相の退陣」と「小泉環境相の進言」はいかなる意味を持つか

菅義偉首相が自民党の総裁選挙に出馬せず、事実上の退陣を決めた背景には、小泉進次郎環境大臣の「退くという選択肢もある」という進言があったとされます[1]。

「任期満了選挙」案を主導した森山裕国会対策委員長と退陣論を唱えた小泉環境相はいずれも菅首相の側近とされており、両者の対立によって菅首相の考えが決まらず、最終的に「総裁選に勝利し、解散するのが王道」という小泉氏の意見[2]を容れ、勝利の見込みが覚

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「大谷とルースの比較」はいかにして可能か

現在、大リーグで関心を集めている話題の一つは、ロサンゼルス・エンゼルスの大谷翔平選手による「ベーブ・ルース以来の2桁本塁打2桁勝利」の達成の可否です。

ベーブ・ルースが「2桁本塁打2桁勝利」を達成したのは1918年のことですから、現在9勝を上げている大谷選手が達成すれば、1918年以来の出来事となります。

昨年、大リーグ機構がニグロ・リーグの記録を公式記録として認定しました。そのため、公式記録

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「自民党総裁選」は「選挙の顔」を選ぶ場か

本日、自由民主党の総裁選挙が告示され、届け出順に河野太郎国務大臣、岸田文雄前政務調査会長、高市早苗前総務大臣、野田聖子幹事長代行の4氏が立候補しました[1]。

今後、9月29日(水)の投開票に向けて、各候補が論戦を行うことになります。

10月21日(木)に衆議院議員が任期満了を迎えるため、今回の総裁選挙は必ず行われる衆議院選挙に向けた「選挙の顔」、「勝てる顔」を選ぶという要素が強くなっています

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新商品「フィールド・オブ・ドリームス・ゲーム」にみる大リーグの商魂

去る8月30日(月)、日刊ゲンダイの2021年8月31日号27面に私の連載「メジャーリーグ通信」の第99回「新商品「フィールド・オブ・ドリームス・ゲーム」にみる大リーグの商魂」が掲載されました[1]。

今回は、今年8月12日にヤンキース対ホワイトソックス戦を「フィールド・オブ・ドリームス・ゲーム」として冠して行った大リーグの目的と意図について検討しています。

本文を一部加筆、修正した内容をご紹

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自民党総裁選への立候補を表明した3氏の特徴と不足する点は何か

9月17日(金)に告示され、9月29日(水)に開票される自由民主党の総裁選挙については、現時点で岸田文雄前政務調査会長、高市早苗前総務大臣、河野太郎国務大臣が立候補を表明しています。

そこで、今回は、現段階で立候補を表明した3氏について、その特徴と不足する要素を確認してみましょう。

最初に立候補を表明した岸田氏は、当初は菅義偉首相に対する挑戦者の位置付けであったものの、菅首相が出馬を辞退したこ

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自民党総裁選に「現代のバクさん」は現れるか

現在、自民党では9月17日に告示される総裁選挙を巡り、立候補を表明した議員や検討中の議員の動向が連日のように報じられています。

従来は現職の菅義偉首相に対して岸田文雄前政調会長が挑戦するという構図であったものの、菅首相が出馬の辞退を表明したために、当初は推薦人の集約が難しいと予想された河野太郎国務大臣や高市早苗前総務大臣などの立候補の可能性が高まり、選挙戦は新たな展開を見せています。

ところで

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「東京2020の新たな始まり」を告げる「パラリンピックの閉会式」

昨日、パラリンピック東京大会の閉会式が行われ、全日程が終了しました。

オリンピック東京大会と同様に、今大会も開催都市である東京都が新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴い、新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づく緊急事態宣言が発令される中で実施されました。

新型コロナウイルス感染症の世界的な感染の拡大という未知の状況の中で開催された両大会だけに、今後のオリンピック及びパラリンピックだけでなく

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「松井稼頭央選手の積極的な守備」から考える菅義偉首相と状況への適応の問題

2003年12月に大リーグのニューヨーク・メッツと契約した松井稼頭央選手は、他の選手であれば見送るかも知れない打球を捕るために積極的な守備を行い、日本を代表する遊撃手として活躍しました。

しかし、2004年に大リーグの公式戦に出場すると、本拠地のシェイ・スタジアムの内野が守りづらい仕様であったことや持ち前の積極的な守備が裏目に出る形で失策を重ね、大リーグの遊撃手としての要求に満たないと判断され、

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今後の「菅政権のコロナ対策」は「菅首相の退陣決意」の真の理由を教える

昨日、自民党総裁選挙への不出馬を表明して事実上退陣することとなった菅義偉首相は、内閣支持率が低迷し党内から総選挙を戦うことができないという声が上がりつつあったのも事実です[1]。

しかも、総裁選の前に総選挙を実施することで自民党内に「菅おろし」が起きるのを牽制し、党内の引き締めを図るという手法も、新型コロナウイルス感染症の拡大が続き、解散の時期の見極めが難しい現状では、日程の選択の余地が乏しくな

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菅義偉首相は「残りの日々」に何をなすべきか

報道によれば、菅義偉首相は今日開かれた自民党の臨時役員会で総裁選への立候補を見送ることを表明し[1]、自民党総裁としての任期満了をもって首相の座を退くこととなりました。

総裁選への出馬の意向を強く示していた菅首相の変心は、一面において内閣の支持率の低迷する中で総選挙を行わねばならず、現有議席の減少が不可避と予想されること、他面において立候補を表明している岸田文雄前政調会長が二階俊博幹事長の交代を

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