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部屋は僕の全てを知ってる。#64

プルル、プルル、プル、ガチャ。
大阪最後の朝、僕は引越し業者の電話で起きた。
いつも通り目覚めは悪かった。昨日一人でこの部屋ともお別れという事でお菓子とデザートとYouTubeでバラエティを見ながらパーティーをした。それが原因で今日を胃が持たれてる。大事な時にはまっすぐに立ってほしいものだ。

「あと1時間で着きます。」
なんて律儀な方。女性だったらこんな男性に惹かれるのかなって思いながらシャワーを浴びた。今日は気分がいいので平井大を聞こう。
Apple Musicからはslow &easyが流れた。

昨晩、眠りにつく前にベットの上で大阪生活について考えていた。
様々な経験をしたし、この部屋はほぼ寝てお風呂に入るかの部屋だったなって思う。だから全然お気に入りのカーテンやラグでもなかったしなんなら地味。

その当時仕事に打ち込んでいた僕は、『部屋は居心地が悪い方がいいよ。』って言われてユニットバスで狭いこの部屋を選んだ。唯一の長所は立地が良い事。駅から徒歩30秒だったので、彼女や友達やセフレがくる時にうちの家が採用されやすい。

それが当時の僕にとっては全てだった。

ふと思った。

一番の素を知っているのはこの部屋なんだと。

自分のニヤケ顔も、辛くてなかなか眠れなかった夜も、複数の女と寝た事も、僕の毎日の裸も。全てを知ってるのはこの部屋のみかもしれない。愛着は正直ない。しかしこの2年での大阪生活はこの部屋と共に紛れもなくあったんだ。

いつも側で支えてくれてありがとう。
家賃を滞納した事もある。でもいつも待っててくれた。それが僕にとってこの部屋。

埃まみれで人から見たら汚い部屋かもしれない。
でもきっと僕にとっては僕のこの怒涛の2年が全部が詰まった大切な部屋。
ありがとうじゃ足りないくらいにこの部屋が好きだった。

明日から神奈川で新生活が始まる。今度はツンデレじゃなくて、清潔に丁寧に掃除を欠かさず大切に使おう。愛着が湧くように。
どっちにしろ好きだけど。

生涯捧げるって言葉が使えるからこそ人が好きだ。
   by RADWIMPS (ジェファニー山田さんの歌詞)



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