ポッキーをたった一瞬で高級スイーツにする方法
高級レストランの料理って、なんであんなにおいしいんでしょうね。
そりゃあ、一流のシェフが一流の素材と一流の腕で料理してるからでしょ? いや、はい、そのとおりなんですけどね。それだけじゃない気がするんです。
たとえば値段とか(吉野家より2桁以上も高い)、雰囲気とか(高い天井、分厚いカーペット、落ち着いた声で話すウエイターさん)、盛り付け方とか(料理が載っているのはお皿の半分以下だったり、アートっぽかったり)。
「味」じゃない要素がけっこう大きいんじゃないかなって。
それがわかったからといって、ふつうのレストランや家庭でやれるものじゃないので、なんともしようがないんですけどね。
でもひとつだけ、マネできることがあるんです。
そう、名前、です。
料理の名前=メニュー。これならいくらでも変えられます。
というわけで今回は、大好きなお菓子を一瞬で高級スイーツに変える実験をしてみたいと思います。
やりかたは、いたってシンプル。
①高級レストランのメニューを見る
②高級っぽく見える名付けの法則を見つけ出す
③お菓子に新しい名前をつける
たったこれだけ。さっそくはじめましょう!
①高級レストランのメニューを見る
世の中に高級レストランは数え切れないほどあります。さすがにすべてのレストランのメニューを見るわけにはいかないので、独断(私が好きという基準)と偏見(私が高級だと思う基準)でレストランを選びました。
L’ATELRIER de Joel Robuchon(ラトリエ ドゥ ジョエル・ロブション)
https://www.robuchon.jp/shop-list/latelier
L’ecrin(レカン)
https://www.lecringinza.co.jp/lecrin/
L’OSIER(ロオジエ)
https://losier.shiseido.co.jp/
みごとにフランスっぽいお店の名前が並びましたが、意図的なものではないです。強いていうならフレンチ=高級というアナログな私の脳がこうさせたのでしょう。
②高級っぽく見える名付けの法則を見つけ出す
メニューがでそろったら、高級っぽく見える名付けの法則と呼べそうなものを見つける作業にはいります。
法則1.とにかく長くする
「牛丼」といったように単語ひとつだけのメニューは、ほぼなし。
料理名のほかに材料や材料の産地、使っているソースや調理法を書くなどして、文字数を多くしています。
例:
紅芯大根のペタルに詰めたホタテ貝のクリーム
法則2.仕立てる、香らせる
仕立てるとは、調理法のこと。といっても「焼く」とか「煮る」とか書くのではなく高級感を漂わせる表現になっています。また、料理のボリュームや味ではなく、香りに言及するのもポイントなようです。
例:
ヴェルヴェンヌ香るジュレ アプリコットとカラマンシーのエマルジョン
法則3.添える、共にする
メニューにはふつうメインの料理名だけが書いてあります。しかし高級レストランではつけあわせと呼ばれるものもメニューで言及しています。(だから長くなるともいえます)
例:
うずらとフォアグラのデュオをキャラメリゼに ポテトピュレを添えて
法則4.煙に巻く
料理や商品名は、どんな材料を使ってどんな味なのかをイメージさせるのが常套手段です。広告のキャッチコピーでも、新しさ、おもしろさ以前に「読んだ人がイメージできる」ことがなによりも優先されます(そのイメージをコントロールするのがコピーライターの仕事だったりします)。
ですが高級レストランのメニューでは、あえて「イメージさせない」戦略をとっているようです。イメージできない=知らない、食べたことがないもの=すごいもの、高級なものに違いない! と思わせるわけですね。
例:
ヴェルヴェンヌ香るジュレ アプリコットとカラマンシーのエマルジョン
法則5.日本語と英語以外の言語を使う
高級レストランのメニューにおけるオシャレ度、高級度は、日本語<英語<イタリア語<フランス語の順に高くなっていきます。
りんご<apple(アップル)<mela(メーラ)<pomme(ポム)
アップルソースよりもソース・ポムのほうがなんとなく高級感があるように見えてしまうのは、わたしだけではないはずです。
例:
花のサラダ エキゾチックなソースラヴィゴット
(ラヴィゴットの語源ravigoterはフランス語で「元気づける」という意味)
③お菓子に新しい名前をつける
それではいよいよ最終段階。5つの法則を使って市販のお菓子を高級スイーツに変身させます。なお今回はBefore/Afterをよりわかりやすくするため、あえてシンプルなネーミングのお菓子を選んでいます。
エントリーNo.1 ポッキー
かねけんくんも大絶賛!9月1日に発売されたばかりのポッキーです。
<Before>
ポッキー<テイスティ >
https://www.pocky.jp/products/tasty/index.html
<After>
発酵バター香るプレッツェル ブリュレミルクチョコレートがけ
発酵バターという高級感を漂わせるワードがすでにあるうえに、焦がす=ブリュレというフランス語を使うだけで、高級スイーツに大変身!(焦がしミルクはフランス語で「Lait Brule(ブリュレ)」です)
最初とはいえ、簡単なものを選びすぎました。こんな調子でやっていきたいと思います。
エントリーNo.2 プリン
いちばん好きなのはグリコのプッチンプリンなのですが、グリコに偏ってしまうので森永にしました。
<Before>
森永の焼きプリン
https://www.morinagamilk.co.jp/products/dessert/yaki/127.html
<After>
トラディショナル・プディング1994 洋酒仕立てのカラメルソースを添えて
いやー、なかなか難しいものですね。コピーライターを名乗るのが恥ずかしくなるほどの語彙力のなさ。
1点だけ自分を褒めてあげるとしたら、シンプルなプリン→トラディショナル・プディングにしたこと。200年続く老舗レストランで創業時からあるメニューって感じがしません?
(とはいってみたものの、森永の焼きプリンが発売されたのは1994年だそうで。ぜんぜん長い歴史じゃなかったです)
エントリーNo.3 アイスクリーム
いつもの金のワッフルコーン(セブンイレブン)にしようかと思ったのですが、限定の文字に惹かれてハーゲンダッツにしました。
<Before>
ヘーゼルナッツプラリネショコラ
https://www.haagen-dazs.co.jp/hazelnut_praline_chocolate/
<After>
チョコレートでコーディングしたヘーゼルナッツブリュレのクレーム・グラス ココアワッフルと共に
もともとオシャレ感の高い商品名を変身させるのは、めちゃくちゃ難易度が高い! 結果、英語とフランス語をめちゃくちゃに組み合わせて煙にまくという荒技をつかうはめになりました。(ちなみにアイスクリーム=クレーム・グラス(フランス語)です)
♡
今回は(自分が大好きな)お菓子で試してみましたが、どんな料理、モノでも、応用可能。名前を変えるだけで一瞬で高級料理・高級品に早変わり!
ぜひ試してみてください(о´∀`о)
(なんて豪語したものの、「じゃあ、肉じゃがは?」と母から聞かれ、答えられずにいますw)
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