マガジンのカバー画像

つれづれ箱

82
あれやこれや喋りたいこと
運営しているクリエイター

#家族

隣の芝生は青くて、ずるい

隣の芝生は青くて、ずるい

ずっと「母は弟の方がかわいいのだ…」と、どこかで思いながら育ってきた気がする。「弟ばっかり贔屓して、ずるい」という感覚は実家で過ごした10代の間、いつもどこかにつきまとっていた。

だから死を待つ母の病床に詰めていた時、弟から「お姉ちゃんばっかり、ずるい」とポツリと言われた時には心底びっくりした。自分はずっと「弟はずるい」と思いながら生きてきたのに、贔屓されていたはずの弟に「ずるい」と思われていた

もっとみる
それじゃズルだから…

それじゃズルだから…

小学生の男の子が、アクセサリーをジッと見つめている。

何か興味深い物でもあったのだろうか?とあまり気にしていなかったのだけれども、しばらくたってもまだ同じ場所でジーッと眺め続けている。とても真剣な面持ちで。

側にいた彼の先生が何がそんなに気になるのか、と尋ねると。「来月が誕生日のお母さんにあげるプレゼントにしようと思って、どれを買おうか悩んでいる」という答が返ってきた。

彼はそこからさらに1

もっとみる
普通という概念

普通という概念

他人からの何気ない一言で、今まで信じてきた自分の"普通"が覆されることがある。私の場合、それは母の一言だった。

結婚前の挨拶、「この子は病弱なので、ご迷惑をおかけするかもしれませんが…」と何気なく発したであろう言葉が己の常識を打ち砕いたのだ。長らく健康体だと思って生きてきたからこそ「は?病弱って、え?誰が??」と話の続きがわからなくなるくらいに、衝撃を受けた。

考えてみればたしかに子供

もっとみる
故人は夢では喋らない…らしい

故人は夢では喋らない…らしい

「亡くなった人は、夢に出てきても喋らない」という話を聞いたことがある。

自分はその時に初めて耳にした。彼女から以外は、聞いたことのない話だ。教えてくれた相手は「たしかに夢には出てくるけど、話しているのを見たことがない」と語っていたけれど…世間的にはいったいどうなんだろうか?
 

ちなみに自分の夢では、故人はよく喋る。

昨年亡くなった母はわりと頻繁に夢に出てきているけれど。亡くなってから日が経

もっとみる
過去にむけての、メリークリスマス

過去にむけての、メリークリスマス

10歳よりは前のことだったはずなのだけれど…家族に向けてクリスマスプレゼントを用意したことがある。父と、母と、弟にだ。

子供のすることだから稚拙だったと思う。プレゼントはわざわざその為に買ったものではなく…自分の持ち物の中でそれぞれ相手にぴったりだと思うものを選び取り。それらを1つずつ紙でくるんで。帰ってきた時に驚いてもらえるようにと、玄関に包みを3つ並べておいた。たしかその日はたまたま、自分以

もっとみる
誰かの後ろには、こんな風に

誰かの後ろには、こんな風に

人は誰でも、血縁という繋がりを持つ。
父と母がいて、父と母それぞれの両親がいて、またその後ろにはそれぞれの…と果てしない繋がりの連鎖の果てにあるのが、あなただ。

どんなに家族と縁が薄かろうと、仲が悪かろうと、たとえ顔さえ知らなかったとしても。この繋がりを持たない人間は、この世に存在しない。

仕上がったこの写真を眺めている時に、ふとそんな考えが頭を過ぎった。

誰かの後ろには、こんな風に血縁のあ

もっとみる

死と、死後の関係性と、許す許さないなど

死ぬって、なんなんだろう。
その人との関係性をどう変えてしまうんだろう。

母が死ぬまで、こんな風に母について考えたり思いを巡らせる事なんてなかった。それが今では何かきっかけがあるごとに、ふとした瞬間に。生活の中の折々で母を思い出し、何をどう感じていたのか、どうしてあのような亡くなり方をしてしまったのかを考えてしまう。

生前には1ヶ月2ヶ月メールもしないなんてざらだったのに、今は週に何回も何回も

もっとみる

こんなにも変わったのに、こんなにも何も変わらない

ちょうど1年程前の、5月最後の日曜日。
それが元気そうな母を見た、最後の日だった。

叔母の家に行くというので、一緒に連れて行ってもらって。
その時に、大喜びで出迎えてくれる犬の動画を10秒だけ撮った。

その中に、叔母に話しかける母の声が入っている。
普通に元気そうに、ごく何でも無い感じに話していて。

これが3ヶ月後にはまともに話す事もできなくなって、死にかけてるなんて…
今でもまだちょっと信

もっとみる