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どうして《わざわざ》結婚するの?

結婚している人は、なぜ結婚したのだろうか。結婚したい人は、なぜ結婚したいのだろうか。
《結婚が当たり前》という価値観で育った世代の既婚者は、その価値観が無かったとしたら、結婚していただろうか。



結婚を疑問視する若者たち

先日この記事を読んだ。

カホとの同棲生活は「だいぶ幸せ」だというシュウヘイ。
すでに幸せな生活を送っているにもかかわらず、その上で婚姻届を提出し、法律上夫婦になる意味が、わからないのだという。

https://times.abema.tv/articles/-/10143231?page=1

『結婚決断リアリティ番組』内での出来事ということなので、演出されたセリフなのかどうかは不明。
でも結婚しない若者が増えているという事実があるので、《結婚の意味》を疑問視する人が多いのではないだろうか。


私たちが結婚したときのこと

私が結婚した当時は、結婚するのが“普通”だった。
『結婚してない=結婚したいのにできない』というレッテルを貼る時代だった。

夫とは学生の頃から7年付き合って、社会人になって同棲して《結婚しない理由》が無くなったから結婚した。もうずっとこのまま一生一緒にいるんだろうなって。

それは言い換えれば『特に理由が無い限りは結婚するものだ』という価値観が根底にあったということ。


収入が低い側は婚姻制度によって《守られている》

私は2年程前に夫と離婚すると決めた時期があって、そのときに弁護士に相談しに行った。
慰謝料請求とか財産分与のために、何か集めておく書類等があるかを確認したのだ。

「慰謝料なんてせいぜい100万とかにしかならないですから、絶対に離婚をしないという姿勢で婚姻費用をもらい続けた方が、長い目で見れば得なんですけどね」
そう言われて、初めて婚姻費用というものの存在を知った。

婚姻費用(こんいんひよう)とは、夫婦が別居する際などに、収入が少ない側が収入の多い側に支払いを求めることができる生活費を指します。

https://ricon-pro.com/columns/415/

結婚・離婚については年配の女性ほど「損得で考えろ」と言う人が多い。
それはやはり、高齢になる程夫婦間の収入格差があり、収入の低い側が婚姻制度によって守られているという実感があるからだろう。

婚姻費用だけじゃなくても、例えば家のローンを収入が高い側が払い続けていたとしても、財産分与では基本的に半分になる。

夫が婚姻関係にこだわる理由

夫婦関係を再構築すると決めたものの、全く上手くいかず、今後の希望も見出せなくて私は何度か離婚を打診している。
『一緒にいたい』という夫の願いは、婚姻関係が無くても実現できるから。
まず離婚して、《いつでも気軽に離れられる状態》で一緒に居た方が、婚姻制度に縛られずに純粋な『一緒に居たい』気持ちだけで一緒にいられるのではないかと訴えた。

それでも絶対に離婚したくないという夫に問いかけた。
「なんで結婚にこだわるの?」

「ココロを守れなくなるから。保険の受取人とかにも出来なくなっちゃうし、他にも親族じゃないと制限が出る場面ってあるでしょ。」

そう言われてハッとした。
この人は婚姻制度の本質を理解したのだと。


「守りたい」を実感した夫

私が離婚を告げたばかりの頃は夫も臨戦体制で、慰謝料や財産分与などに関して裁判になってでも徹底的に戦うという姿勢だった。
というか、そうやって脅せば私が怖くなって泣きついてくるとでも思っていたのかもしれない。

それでも淡々と引っ越し準備を進める私に、夫は「あれも持って行け」「これも持って行け」と、大型家電やらバイクやらを持って行くように言ってきたのだ。
それらを持って行かれたら夫が新品を買わなければいけないし、家電の供給が遅れている時期だったので、しばらく夫は不便な生活を強いられることになる。
「徹底的に戦うんでしょ?優しくされると、こっちもやりにくくなるんだけど。」
そう言うと夫は急に泣き始め、こう言った。

「もう俺がココロに頼りにされることも、ココロにしてあげられることも何も無くなっちゃうんだって思ったらツラくて…
慰謝料のこととか、財産分与のこととか、自分が損しないように調べたけど、調べる内にどんどんココロが困ってる姿を想像して、可哀想で、そんな想いはさせたくないって思って…」


そんな経験をしたからだろうか。
以前は私が払っていた分の生活費も、今では夫が大部分を負担してくれるようになった。
外食時に私が払うと言っても「いいよ」と言って払ってくれる。
私が稼いだお金は私の好きなことに使えば良いというスタンスでいてくれる。
私が働いても働かなくても大丈夫な環境にしてくれている。

夫は私の人生に起こりうるリスクを背負う覚悟をしたのだと思う。
そんな夫だから、ゲーム中毒で今後の仕事への不安がある今の状態でも「この人は私を金銭的に困らせることはしないだろう」と思っている自分がいる。

結婚は相手のリスクを背負うためのもの

病める時も健やかなる時も…結婚式の誓いの言葉だ。
「誓います」と口では言っているものの、実際にそのリスクをちゃんと考えて結婚している人はどれだけいるだろうか。

私は夫に裏切られてから、結婚のリスクを背負い続けることが怖くなった。

結婚は、ずっと一緒にいたいからとか、今幸せだからとか、相手を独り占めにしたいからとか、そんなハッピーな気持ちだけでするものではないんだと思う。
相手の人生に責任を持って、覚悟を持ってするものなのだと、離婚を考えることによって学んだ。


結婚したら家族になるわけじゃない。結婚してから徐々に家族になっていく

婚姻制度を選ばない人に対して「相手の人生に責任を負う覚悟が無いんでしょ」という冷たい声が投げられる。
でも、先ほども書いたが、今結婚してる人も結婚した時点でそこまでの覚悟をしていたとは限らない。
結婚が“普通”だからした。
相手に自分の人生のリスクを負ってもらうことしか考えておらず、自分がリスクを負うことまでは考えていなかったということも多いと思う。

そして長い年月をかけて夫婦としてやって行く中で、家族としての絆が生まれ、相手の人生を背負う覚悟をしていくんだと思う。

勿論、最初からその覚悟で結婚する人もいるだろうけど。

若者に婚姻制度は響かなくて当然

婚姻制度は相手のリスクを背負うこと。
そこを深く考えずに、結婚=幸せという考えで結婚してきたのは《結婚が当たり前という価値観》があったからこそだと思う。

結婚は判断力の欠如」なんて言葉もあるくらいだ。
《結婚はリスクである》ということ、《わざわざリスクを取る必要があるのか》という疑問を抱かせないくらい《結婚が当たり前》だったんだと思う。

その価値観が無くなった今、そこに疑問を抱くのは自然なことだと思うし、リスクや責任を考えずに結婚するよりは健全なんじゃないかと思う。


結婚しなくても幸せになれるこの時代に、結婚したいと思える幸せ

結婚のメリットとか考えちゃうと、多分答えは出ない。
全部「同棲で良いじゃん」になっちゃうと思う。

結婚はリスクを負うもの。
だからこそ、リスクをしっかり覚悟した上で結婚したいと思える相手がいることは幸せだし、結婚したいと思ってもらえることは幸せ。

noteで若い人の記事を読んでいると、しっかり相手を支える覚悟をして結婚生活を送っている人が多いように思う。

「結婚しなくても幸せになれるこの時代に、私は、あなたと結婚したいのです」

ゼクシィのCM

まさにこういうことなんだなぁと思う。



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