段差を下りてタイムワープ!【ジオ散歩vol.1:仙台市No.1-2】
仙台市の西の段差を下りていくジオ散歩。
前回は段差の上から広瀬川を見下ろすところまで行きました(※下図赤丸)。
前回を見ていない方は、↓をドウゾ!
段差を下りて行くと??
段差沿いの坂道を下りていきましょう。
これが坂道。道路の右側が段差地形です。
つまり、この道路は盛土されてつくられています。
道路の左には大きな落差があるので、このビルの3階は右に見える黒い階段でこの道路とつながっています。面白い構造ですよね。
坂を下りたら左へ曲がり、この緩やかな坂を下りて評定河原(ひょうじょうがわら)公園方面へ向かいます。段差の崖面を見に行きましょう。もしかしたら、段丘堆積物の断面が見られるかも?
ですが、残念ながら崖面は保護されていました。
しょうがないですよね。こんな街中で上にマンションも建ってますし、崖が崩れないように法枠工(のりわくこう)が施工されています。崖面を風化・侵食から守り、崖を崩れにくくするための対策工です。
ちなみにマンション駐車場の窓から見えた木々は、この写真の右の木々でしょうね。
ところで・・さきほど崖面で段丘堆積物を見られるか?と話しましたが、この崖をつくるメイン地層は、もっと古い時代の地層でした!
地質は?
では地質図を見ましょう。
赤丸が上の写真で立っている場所で、矢印が概ねの撮影方向。
右上に広がっている黄緑色が仙台市街地が建っている約2万年前の段丘堆積物(台地)で、ピンク色が約500万年前の凝灰岩。そして私たちが今、立っている場所(薄い緑色:t4と表記)が約1万年前の段丘堆積物です。
地質図は真上から見た場合の地表の地質の分布ですので、凝灰岩は一部にしか見えませんが、断面図にしてみると、こんな感じ。
これは地質図を見て私が「だいたいこんな感じ?」と描いたので必ずしも正確な図ではありませんので、イメージとして捉えてください。
約500万年前の凝灰岩は広瀬川に侵食されつつ、約2万年前に段丘堆積物が堆積します。その後、広瀬川は約2万年前の段丘堆積物もろとも侵食を続け、崖がつくられました。そして崖の下に約1万年前の段丘堆積物が堆積します。
このような、削られた地層とその上に堆積した地層の境界面(上図点線)を不整合面(ふせいごうめん)と呼びます。
段差を下りながら、2万年前→500万年前→1万年前とタイムワープ!
などと考えると、ちょっと楽しいと思いませんか?
なお今回は残念ながら見られなかった約500万年前の凝灰岩は、次回、別の場所で見ることができます!お楽しみに♬
お読みいただき、ありがとうございました。
参考文献
北村信・石井武政・寒川旭・中川久夫(1986) 仙台地域の地質.地域地質研究報告(5万分の1地質図幅),地質調査所,134p.
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