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バイデン大統領は5歳児の味覚

というウェブ記事を目にした。「おやつにチョコチップクッキーとスポーツドリンクを口にすることが多く、周囲からは「大統領の味覚は5歳児」と言われている」のだそうだ。

トランプ氏も、就任当初は「ダイエットコーラばかり飲んでいる」と報道されて話題になったが、チョコチップクッキーとスポーツドリンクは、5歳児というほどのこともなく普通である。トランプほどのインパクトがないあたりがバイデンらしい。

でもかれに限らず、男性の味覚は5歳児なみというか、子供時代からあまり変わっていないことが多い。わかりやすいのは、テレ東バス旅の蛭子能収さんである。海鮮丼が売りのレストランに入って、堂々とオムライスを注文する"空気を読まない姿勢"が人気をあつめた。

他にも蛭子能収さんは、ハンバーグ、スパゲティーなど、お子様ランチに入っていそうなものしか頼まなかったが、男性にはこういう人が多い気がする。本当に好きな食べ物をたずねると、カレー、ハンバーグ、オムライスなど子供のころから好きだったものを挙げる。そして、ニンジンやしいたけが嫌いなところも子ども時代のままだ。

一方、女性で、カレー、オムライス、ハンバーグという人に会ったことがない。エスニックな領域にも貪欲だし、ノスタルジーにとらわれず、たえずおいしいもの、新しいものを求める人が多いようだ。

昨日、趣味にも入口の狭い広いがあるということを書いたけど、食べ物にも、入口がせまいというか、大人にならないとわからない領域が確実に存在する。湯豆腐、塩辛、酢の物、みょうがなど。ビールもそうだ。甘いとか辛いとか簡単に割り切れない味わいであり、ほろ苦い人生経験を積むと、そういうものを好むようになるのかもしれない。

ちなみに、さきほど妻に一番好きな食べ物を聞いてみたところ「かまどで炊いたご飯。または、すごくおいしい日本酒」と答えた。いまを生きている人の意見である。自分がおいしいと思っているものをひたすら求めており、ノスタルジーは感じられない。

と、ここまで人の好みをあれこれ言っておいて、自分について書かないとすっきりしないので、あらためて考えてみたところ一番に浮かんでくるのは「はまちのお刺身」である。

これは子どもの味でも大人の味でもなく、しいて言えば思春期の味だ。中学・高校時代に好きになった。だから酒の肴ではなく、いまでもたんざくを厚めに切って白いご飯をしっかり食べるのが好きである。

食べるたびに「生き物を食べている」という適度な生々しさを感じる。肉も好きだが、肉よりおいしいとおもう。海産物はこれから次第に減っていきそうな気配がするので、大事したい。一方で、はまちには故郷を感じる面もある。

音楽や映画やマンガなどは、思春期に味わったものが生涯の好みのベースになることが多い。ならば、味覚も思春期に味わったものがベースになってもおかしくはない。ちなみに、はまち以外に、しその天ぷらやお好み焼きもランクインしてくるが、いずれも中学高校時代によく食べた。

カレーライスも好きだけど最後の一品という感じではなく、もう十分である。オムライスやハンバーグももういい。麺類へのこだわりもとくにない。かといって大人の味でもないあたりに、ぼくの中途半端さが出ている。好きな食べ物については一度ちゃんと考えてみると、自分のことがわかっておもしろいですね~。魯山人は卵かけごはんらしいけど、そういう仙人みたいな境地もわからないな。

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