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「あの世」はあったほうがいいのかないほうがいいのか

アメリカでは金持ちがチャリティを行うことが多い。金持ちのステータス誇示という面もあるが、そもそもキリスト教的な価値観を持っているからだともいえる。

しかし、中でもビル・ゲイツの活動は突出している。こないだNHKスペシャルでゲイツが出てきて、自分が慈善事業に励みだしたきっかけを語っていた。「アフリカの困窮をまのあたりにして考えが変わった」のだそうである。ふーん・・いかにももっともらしいが、でもちょっとうさんくさいな。ぼくはちょっとちがうんじゃないの~と思っている。

ゲイツがトシを取ってから善行にはげみだしたのは「もしかしたらあの世があるかもしれない」と思うようになったからだろう。「あるのかないのかわからないけど、万一あった場合に若いころの悪行を裁かれたら厄介だ。それに備えて善行をつんで相殺しておこう」というかたちでリスクヘッジしているのだと思う。優秀なビジネスパーソンが考えそうなことである。

しかし、その考えがわるいとはおもわない。結果として金持ちのチャリティがふえるなら歓迎すべきである。実際、あの世が「あるのかどうか」という真偽の議論はどーでもイイのだ。帰ってきた人がいない以上だれにもわからないのだから。考えなければならないのは「ある」と考えるほうが社会のトクになるのか、それとも「ない」と考えるほうが社会がトクになるのか、どちらなのかという点だ。

そして、その観点から言えばすくなくともいえることが1つある。それは金持ちがみんなゲイツみたいに考えてくれれば世の中は今よりもうちょっとマシになる、ということである。

ほかにも「ある」と想像するほうがトクをする理由はある。たとえば犯罪の防止だ。あの世があると考えることで「どーせ死んだら終わりなんだからどんなひどいことをやってもいいや」というタイプの犯罪者への抑止力として作用する。

さらに、死への恐怖や別離の悲しみをへらす意味でも「ない」と想像するよりは「ある」と想像するほうがなぐさめになる。

このように「あの世がある」と想像しておくほうが社会にとって都合がいい理由はなにかとあるのだ。

しかしイイことばかりではない。それはアメリカのキリスト教福音派をみていればわかることだ。かれらは「ある」と強固に想像しているタイプだが、それが悪いほうに作用している。かれらのように「変な宗教に利用される」危険性をかんがえれば「あの世はない」と想像しているほうが健全だといえる。

また「今に全力投球できる」という意味でも、「ない」と想像しているほうがいい。死には締め切り効果がある。後がないと思ったほうが思い切った決断や生き方ができる。

というわけで以上をまとめると
■あると想像するほうがイイ理由
・金持ちの善行が増える
・犯罪抑止力になる
・死への恐怖をやわらげることができる

■ないと想像するほうがイイ理由:
・変な宗教に利用されずに済む
・今に全力投球できる

いま思いつく範囲でざっとこんなところである。

以上でわかったのは、結局、心の強い人は「あの世がある」と想像すれば善行に励むし、「ない」と想像すれば今に全力投球できるしそれぞれイイ作用をおよぼすが、逆に心の弱い人の場合は「ある」と想像すれば変な宗教に利用されるし「ない」と想像すれば、どんな犯罪を犯しても死んだら終わりだ、となるので結局こころの強い弱いの問題だということ。ここまで長々と書いてきたけど文字数をかせいだという以外に意味ないな、ということである。

しかし・・である。庶民はともかく、国家や大企業を操っているようなVIPの中には心の弱い人はあまりいない。そういう彼らには、なるべく「あの世がある」と思っておいてもらったほうがいいだろう。ヘンな宗教の跋扈はあるかもしれないが、金持ちには「あの世がある」と想像してもらっているほうがなにかと社会がトクをする気はするのである。

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