ザ・食

今日も、必殺の一文字タイトルにしようかと思ったんだけど、「ザ・」シリーズも捨てがたいっス。

・・・というわけで、学生時代のハナシ。まだハタチそこそこだった頃のこと。

その日は、午前のややこしい演習が終わって、食堂に向かってぶらぶら歩いていた。

同級生の女の子とならんで歩いており、ボクはその子に向かって日ごろ思っていることをなにげなく口にしたのである。

「もしこの世に、一錠のめば一日中まんぷく感が得られてかつ必要な栄養素も得られるカプセルがあったら、ボクは一生それでもいいなあ・・・」と。

ほんと~になにげなく思ったことを言ったまでである。

しかしその子は急に真顔になり

「あなたは人生の大きなたのしみを失っている」

と憐れむように言ったのだった。

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かように、食のもんだいはムズカシイ。

食いものの恨みはオトロシイとも言われる。

めったなことは言えない。

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海原雄山のような人生を否定する気はさらさらない。

じっさいのところ、ボクはパチンコ台をさわったことがないのにパチブログを愛読しているタイプの人間である。

一生カプセルでもいいけど、食のウンチクを聞くのは大好きだ。

アマゾンプライムで「孤独のグルメ8」がアップされたときも、さっそく全エピソードをイッキ観した。

とうぜんコミックも持っている。「荒野のグルメ」も「極道めし」も「花のズボラ飯」も「深夜食堂」も持っている。

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親から聞いた話。

幼児のころ、近所のおばちゃんたちがよくお菓子をくれたそうだ。

ほかの子はもらったらすぐに食べてしまうのだけど、ボクは「お食べ」と言って相手に返していたのそうだ’(笑)。

ヘンな子どもだったと言っていた。

三つ子の魂百までといわれる。

もともとがカプセル仕様に生まれついていたのだろう。

いまさら治らない。

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ちなみに「孤独のシーズン8」でいちばん気に入ったのは、群馬県藤岡の「ひとり焼肉」の店だ。

まっ昼間から、オヤジどもがそれぞれ小さなコンロに向かって、ひとりでホルモンを焼いて食っている。ほぼ全員がサワーかビールを飲んでいた。

ホルモンを焼き、サワーを飲み、ホルモンを食い、サワーを飲み、ホルモンを焼き、サワーを飲み・・・と永久運動がつづく。

あの店が近所にあったら毎日通ってしまいそうでコワい。

毎日、目が覚めたらひとり焼肉屋にいって、サワーを飲み、ホルモンを焼き、サワーを飲み、ホルモンを食い・・

カプセルでもいいけど、こういうろくでもない人生もいいなあ・・と思う。

でも2週間で飽きるだろうけど。

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