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【Box】稟議書に費用対効果書くときのネタ帳

yurineeです。Boxアドベントカレンダー2021に2投目です。

今回は、Box入れたいけどコストの壁の前で逡巡する方のお役に立てればと「費用対効果のネタ」を書くことにしました。
なお下記イベント発表内容の一部を加筆再構成したものです。

Boxって結構お値段しますよね

  • 高いから却下って言われそう

  • 元取れない気がする

  • 既に提案却下されましたが何か

という方々もいらっしゃるかもしれません。
ではその「高い」「安い」の感覚って何でしょう。

システムの価値って

高いか安いかは費用と効果のバランス

システムに限りませんが、効果より費用が大きければ 「高い」し、費用より効果が大きければ「安い」です。もちろん支払える絶対額の問題はありますが、ここでは高い安いの基準のお話です。

費用と効果が釣り合うとき、費用は「その効果に対して支払ってもいい上限金額」、効果は「その費用に対して最低出さなければならない効果」ということになります。
ではそれはどんな値でしょうか。算出してみましょう。

効果の最低ラインを算出します

【まず費用を設定】
今回は、社外共有ができる「Box Business Plusプラン」月額3,000円/人で考えます。月払定価なので年契約や数量割引がかかるともう少しお安くなります。

【1日あたりに必要な効果を2つの視点で算出】
金額換算:単純に日割り計算します
(ライセンス費)3000円/月 ÷(月勤日数)20日 = 150円
150円/日の削減または利益をあげればOK!

人件費換算:効果算出用の時間単価を設定し日割り計算します
〈モデルケース〉月収24万の方を想定 ※賞与なし=年収288万
1. 年収単価算出
(月収)24万 ÷(月勤日数)20日 ÷ (日勤時間)8時間 = (時間単価)1500円/時間

2. 人件費単価算出
会社が負担している分を加味し、人件費を「2倍」と考えると
(時間単価)1500円/時間 × 2=(人件費単価)3000円/時間

3. 効果最低ライン算出
今回のケースでは、Box Business Plus ライセンス1ヶ月分=人件費1時間分となりました。
→人件費60分/月÷20日=3分/日の作業時間を削減できればOK​!
収入が多ければ多いほどこの必要時間は少なくなりますね。

効果の内容を考え実行します

これで左右の釣り合いが取れる最低ラインの効果値が算出できました。
ぜひ検討中のプランや実際の人件費で計算してみてください。
あとはこの値を超えるべく動き回るだけです!

Boxはできることが多いので、どんな業界でも、部署でも、役職でも、働き方でも、個性でも、何らかの150円や3分を出しやすいというのが特徴です。
用途が限られたサービスだとここが難しいのですが、何かが必ずツボにはまるというのが大変ありがたいサービスです(力説)
毎日が難しい場合は週に15分月に1時間でもいいし、4人の部署で誰かの月イチ作業が4時間軽減でもいいわけです。トータルで効果出ればOK。

効果に書けそうなネタたち

ではその150円やら3分やらを超える効果をじゃんじゃん考えていきましょう!Boxの機能別に、導入により工数や費用を削減できる可能性があるものを書き出してみます。定量で数値をひねり出すための参考ネタになれば幸いです。
※DXや風土改革のような定性面と、事業利益を出せるネタは組織によって差が大きいため本記事では記述しません。

業務面

【容量無制限かつコンテンツ管理機能が充実している】
ペーパーレス化のハードルを下げてくれる。期待できる削減効果は以下。

  • 紙を受け渡すための歩行時間

  • 押印工数(簡易承認、電子承認)

  • 印刷、スキャン・綴じる・シュレッダー工数

  • 保管庫の占有、保管棚代、機密文書処理費

  • 用紙、印刷費、クリップ・バインダー・紐・箱代

  • FAXの配布・スキャン・印刷費(Boxへ直接受信する)

コンテンツ管理に優れているので以下削減も期待

  • メール作成などのコミュニケーション工数

  • フォルダ構成やファイル名変更時のリンク切れ対処工数
    (ファイルサーバやMS365等と異なり、Boxではコンテンツ自体に付与されたURLはフォルダ構成・保存フォルダ・ファイル名を変えても変わりません。地味だけどあらゆる手間がめっちゃ減る!)

  • 検索ツール費・工数(メタデータ・タグ付け・一部本文検索が可能)

【クラウドサービスである】
VPN経由の要否は各社のセキュリティ方針やインフラ構成に依ります。オンプレサーバに比べると選択肢が増えるという目線で。

  • 社外やモバイル端末から社内VPNに接続する工数

  • (通信速度によるが)VPN経由でファイルを開く・保存時の時間

【各種SaaSや複合機等と連携可能である】

  • 各SaaSに分散したコンテンツファイルを探す工数

  • 各SaaS間でファイルをアップロード・ダウンロードする工数

  • コミュニケーション工数(ファイルへの直接コメント・Relay・メールや他社チャットへ自動通知)

  • 印刷工数(複合機から直接Boxファイルを選択して印刷可能。※複合機側でのサービス契約が必要)

  • 複合機スキャン後の事務処理工数

【社外との共有コラボが可能かつ容易である】
業務のスピード感は間違いなく上がります。セキュリティも強化されます。

  • 添付ファイルの送付受領工数、暗号化添付・解凍工数(対PPAP)

  • ファイルの版管理・受領ファイル格納、通知・問合せ対応工数

  • 大容量ファイルなどのアナログメディア費・データ格納・ラベル作成工数

  • 取引書類やメディアの郵送費、紛失リスク

  • 紙受領書類のスキャン・ファイル名変更・格納、内容回覧工数とタイムラグ

  • メール添付ファイルによるマルウェア感染リスク・事故対応工数

  • 議事録清書・後日確認の回覧・修正・伝達・承認工数

【社内外へのファイル開示方法が多様である】

  • 広報資料の開示にかかるWEBサイト管理、ファイル更新作業工数

  • カタログ・マニュアル等の印刷費

  • 限定顧客や有償サービス用資料開示の仕組み構築費・管理工数

  • 採用関連における書類授受、紹介資料配布の費用と工数

【モバイルアプリがある、モバイル端末から容易に利用できる】

  • オフィスや据え置きPCまでの歩行無駄工数

  • 持ち歩くための紙印刷と廃棄に関する費用と工数

  • 撮影写真のPC取り込み・関係者への送付・コミュニケーション工数

  • モバイルからファイルサーバへの接続に必要な費用や工数全般

情報システム面

【ストレージ】
・ファイルストレージ費・維持費(メンテ・保守料・電気代・場所代)

【バックアップ】
・バックアップストレージ費・維持費(メンテ・以下略)
・バックアップ時間、バックアップメンテ工数、世代管理とリストア対応

【管理コスト】
・各ハードリプレース時の手間と苦労と担当者の胃薬代
・権限変更工数(依頼者・設定者共)
・バージョンアップ対応
・各種サービスとの連携管理負荷

弊社はMS365を利用していますが、フォルダ構成、権限変更、各種SaaSとの連携、ゲストアカウントの招待等における柔軟性はBoxの強みだと感じます。特に管理画面がシンプルだから「事業部門やPMに権限管理を任せられる」のが大きい!情シス部門の救世主です。Sharepointだとそうはいか

【ライセンス・サービス費】
・データ受け渡し用サービス利用費、文書管理用サービス利用費
・その他専用サービス費、ゲスト用ライセンス費(契約プランによる)

【セキュリティ】
・メールやメディア経由によるマルウェア感染リスク・対応工数
・脆弱性対策スキルと工数
・(機密漏洩対策の管理工数軽減)※方法による

【その他】
BCP面、通信負荷分散については各社の構成やポリシーが強く影響するため割愛しますが、うちのような中小にとってはメリットのほうが大きいです。

他にもまだまだあると思いますが長くなりすぎるのでここまで。

かかる費用もあるから要注意

  • Boxライセンス費だけでなく、Box管理者人件費、利用教育、社外周知・調整、社内外からの問い合わせ対応工数などが必要になります。

  • 場合により、ネットワーク冗長化・補強や、既存システムとの連携構築・システム改修、利用端末の配布や更新などが必要かもしれません。

  • 構築支援を受けるなら導入コンサル費も上乗せになります。

効果を大きく見せたい気持ちになりますが、ここは冷静かつ正直に書きましょう。

最後に

Boxに限らず、システムを導入するときは発注や稟議という処理によって「新たに払う費用」が目立ちますが、当たり前で空気のような「既に払い続けている費用」は意識しないと見えません。そして書き出してみると結構出てきます。
特に人件費は、時間と金額まで算出してみないとなかなか実感が湧かないものです。今回は計算しやすくするために月収24万=年収288万の方をモデルケースにしましたが、実際の人件費はこれより高いケースが多いと思います。きっと値が3分どころかその半分以下という方もいらっしゃるでしょう。

導入しないことでかかっている費用(垂れ流されている費用)にも目を向ければ、Boxは高いどころか安いとさえ感じるかもしれません。組織の偉い方ほど大局観を持たれていると思いますので、効果のほうが高ければきっと伝わるはずです。
とはいえ、新規システム導入は会計上の支払増であることは事実であり、各社お財布事情があるでしょう。算出した効果が机上の空論とならないためには導入後の利用推進と定着が必要です。提案する側にもそれなりの覚悟や意志がないと、稟議決済者には見透かされてしまいます。稟議決済にも信頼関係は存在します。頑張っていきましょう!

この記事が誰かのお役に立って、導入へのハードルが下がればとても嬉しいです。