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多言語話者(ポリグロット)を目指す勉強法と、そんなん目指しとる理由

文筆業8年生です。

まきむらよ

日本語、英語、フランス語を、仕事含め、生活のために使っています。加えて、現代ギリシャ語、台湾華語、台湾語、ドイツ語、フォン語を勉強しています。詩的な比喩の多いペルシャ語や、目に見えるものたちの目に見えない共通点を捉えるマオリ語、東洋哲学やるには大事なサンスクリット語、日本手話にも興味を持っています。

神奈川生まれ神奈川育ちの日本人、日本語が第一言語です。
日本語も学び続けています。
最近覚えた新しい日本語単語の中で、かっこいいなと思ったのは、「究理」と「催青」。辞書で引いたけどもっといろんな文例を探してよく理解したいなと思うのは、「ことほぐ」「あまなふ」です。

どんなふうに/どうして勉強しているのか、という話をします。

どんなふうに多言語を勉強するか

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毎日。各言語、負担にならない範囲内で時間を決めて毎日触れる(今のわたしの場合はざっくり15分ずつです)

できる範囲で、毎日。言語に「触れる」の定義はなんでもいい。理想的には、自分の言いたいことを自分で作文し、プロに添削してもらい、プロの発音を真似てひたすら口に出し、体で覚え込むこと。でも生活の中でそこまでできない日もよくあると思うので、そういう場合は「頭の中でその言語で独り言を言う」「作業がてら、その言語の音楽やラジオを聴く」などでもよしとする。「あーあ、三日坊主になっちゃった」という感覚でテンションを下げないように。広告とかで「三日でマスター!」とか見るけど、言語は一気に覚えようとすると辛い上、一気に忘れる。単なる暗記科目になってしまう。そうじゃなくて、ちょっとずつストレッチするような、誰かと一言一言重ねてわかりあうような……素敵な感じで例えるなら、恋人にこまめな愛情表現をするような、そういうノリで行く。

根を掘る。意味は二つ。
一つは、語源まで掘ること。例えばギリシャ語。「容れ物」を表す「κουτί」(クティー)は、古代ギリシャ語の「κῠ́τος」(クトス?自分には古代語はわからないのですまん)から来ている。「κῠ́τος」には「空(くう)」「空っぽ」転じて「身体」「都市」などの意味がある。「何かを内包する可能性のあるもの」みたいなイメージが浮かぶ。こうして語源まで遡れば、「κουτί=容れ物」みたいに一対一対応で単語カード的に覚えるのではなくて、日本語を通さずに、その言語そのもののイメージに近づくことができる。また、同じ語源を持つ単語も、芋づる式に覚えられる。漢字などの表意文字による言語の場合、文字の成り立ちを調べると良い。
もう一つは、並行して勉強している言語同士の繋がりを見ること。地理/文化/歴史/経済の上で関わりが深かったり長かったりすると、言語も、音や、ものの捉え方が似てくる。ドイツ語とフランス語、ギリシャ語とラテン語と英語、など、同時並行で学ぶと効率が良いご近所言語はたくさんある。

最初はゆっくり、だんだん早く、体で覚える。
言語は「勉強」と言うより「慣れ」に近い。目を通したり耳で聞いたり、受け身で感覚するだけで覚えようとしないで、積極的に体得していく。例えば口で話す音声言語を学ぶ場合、ヘタクソでもなんでもいいから、自分の口で、自分の声で、とにかくぶつぶつ繰り返し唱える。文字で読み書きする場合、とにかく手でカリカリ繰り返し書く。うまくできなくてイライラしたり悲しくなったりするけど、無心で繰り返す。「最初はゆっくり、だんだん早く」を心がけるといい。楽器とかスポーツの習得に似ている。とにかく体を使うこと、机に向かってひたすら暗記するお勉強だというような受験英語的イメージを持たされないこと。

レッスン1からもう話者の仲間入りのつもりでいる。「こんにちはとありがとうしか言えない」じゃなくて、「こんにちはもありがとうも言える」と思うこと。そして、SNSででも、誰かにでも、誰にも見せない日記にでもいい、ガンガン使うこと。

まとめると、「毎日地道に繰り返す」「日本語を介して暗記するのではなく、その言語の根っこまで掘って直接食うように体得する」って感じです。

あくまでわたしの場合でしかないですけど。読んでくださってありがとうございました。この本にも書きましたけど、今は人類史上最高に言語を勉強しやすい時代です。金がなくても図書館なりインターネットなり色々あります。「日本語」と分類される中には、いわゆる標準語、国語にない概念や音韻を持つ言葉がたくさんある(例:しばれる、あほんだら)。また、「日本語」と分類される言語の外側にだって、知らなかった概念がたくさんある(わりと最近日本語に入ってきたものの例:ヒュッゲ、エクリュ)。世界を広げ、人生を、面白くしていきましょう。自力で。地道に。

あと、金曜にオンライン配信のトークイベントがあるのでお知らせします。

フォン語をやるきっかけになった、ゾマホンさんとの対談です。

ここから先は個人的な話なので、マガジン限定にします。

なんでそんなに言語を勉強しているの

わりとこの記事でお話ししてはいるのですが……

それぞれの言語を学んだ先になにを見ているのかと言うと、

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