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原発近くの地域を訪問しました。

ずっと気になっていた、福島県の原発近くの地域に行ってきました。NPO法人野馬土という団体の主催しているツアーです。

印象的だったことを簡単に。

①ガイドの方は私見を交えず事実だけを伝えるように努めていた

 これ、実は一番重要。目的は原発近くの現状を見たくて行くわけで。特定の思想や意見を聞きたくて行くのではない。

ガイドツアーは2013年から続いているそうで。中立の話が聞けるからこそ、長く続いているのかなと思いました。

ぜひ皆さん、一度は見に行って、思いを巡らせてほしい。この福島県で作られた電気が、今も昔も、首都圏を支え続けているのですから。

私を案内してくださった村松さんは相馬市生まれ・相馬市育ちの69歳で元JRの車掌さん。
物腰柔らかで、「私も思うところはいっぱいあるんだけどね…」とご自身の意見を口には出さずガイドされる姿が印象的でした。
「まさか自分のふるさとが、西部劇で見るようなゴーストタウンになるとは思わなかった」とも。

②もう帰れるエリアでも、除染してる所としてない所に線量の差がある

 宅地部分はまっさらにして除染しても、裏山部分は除染の対象外とのこと。

ここは除染済み。なので数値は低め(0.439マイクロシーベルト/h)

環境省の、除染実施計画を策定する地域の基準は、0.23マイクロシーベルト/h以上。引用:https://www.kankyo.metro.tokyo.lg.jp/policy_others/radiation/view/men.html

帰っていい地域なはずなのに、この基準よりは高い・・・

裏山へ

裏山に入ると比較的線量高めの1.414マイクロシーベルト(それでも帰還困難区域よりは低い)

ちなみに帰還困難区域では、車内でもこの値(3.365マイクロシーベルト)@国道6号

まだまだ除染は道半ばという風に感じました。

③除染で出た廃棄物は、仮置き場から中間貯蔵施設へ移送中

 少し前に見たような、除去土壌などが入ったフレコンバッグがずらっと並ぶ光景は、だんだん見られなくなってきている。
 除染で出た廃棄物は、燃やせるものは燃やしてかさを小さくしてから中間貯蔵施設へ。

フレコンバッグはぎっしり詰められておらず、空きが目立つ

④東電からの補償を貰うため、田畑を整える。でも、実際には耕作しない

「田畑を整える」ことで、耕作する意志があると見せる必要がある。そうしないと、補償はもらえないそう。

画面右側は茶色くなっているが、ここが「耕作意志あり」とみなされる土地。左側手前は耕作意志なしとのことだろう、とのこと。

⑤3月14日、常磐線が全線運転再開予定

 JR夜ノ森駅へ。ここはのり面につつじが植えられ、桜並木もある。JR常磐線は今年の3月14日に全線再開予定。 

桜の季節にまた来たい。3月14日に全線開通ですから、来やすくなりますね。

⑥作家の柳美里さんが書店「フルハウス」を増築中

インターネットによると、現在は増築工事中。後ろには柳美里さんのと思われる新しめの家があった。

他にも、Iターン(Uターン?)で東京から戻ったという方の新築のお家も目にした。

⑦川俣町山木屋地区は、2018年度に小学校が再開したものの、開校して一年で生徒数がゼロになった

授業を再開した初年度である2018年度は5人の6年生がいたが、卒業したため、19年度には小学校の人数がゼロとなった。視察しなかったので写真はなし。学校が出来れば人が戻ると思った…とのこと。

他にも、津波の被害を受けた浪江町の請戸地区、牛の殺処分に反対し続けている畜産農家などを見学しました。震災からまもなく10年、風化させてはいけないことを、たくさん語って・見せて頂きました。

最初にも書いたのですが、首都圏で電気を使っている者として、一度は見に行って、思いを巡らせてほしいと思います。そして、電気の作り方について、もっとみんな考えてみてほしいなと思っています。

気象予報士 千種ゆり子

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