日の名残り

先週、朗読劇「日の名残り」兵庫公演を観てきました!

朗読劇って観るのが初めてだったので、ドキドキでした。

普通、舞台って、役者さんたちが動くから音とかけっこうしてると思うんだけど、朗読劇は物音が全然しなくて、その静かさに驚きました。客席側で音がしたら、すぐに分かってしまうくらいに静かで、私は若干緊張してしまいました。

声とちょっとした顔の表情だけで、その人物がどういう性格でどのような状況にあるのか?ということを表現するということを間近で観ることができて、とても心が踊りました。単なるいち観客でかない私が言うのもおこがましいですが、朗読劇はとても難しいジャンルで、その中で演じた4人の役者さんたちは、本当にすごいなぁって思いました。

動きがない分だけ、言葉に集中できるというのも面白くって、言葉の使い方一つで見える世界が、情景が、そこに描かれている関係性が変わるっていうのを目の前で観て感じた時に、「うわぁぁぁぁぁ、なんてことだ!」って思いました。

主役のスティーブンスは、執事という仕事にプライドを持っていて、でもプライベートでは不器用な感じのある男性。そのスティーブンスが旅の道中で、過去を思い出しながら、ストーリーは進んでいきます。女中頭のミス・ケントンとの淡い恋の話や、その当時の世界情勢の話。ミス・ケントンとの恋の話は、「なんでそうなっちゃうの〜???お互いに好きなのにぃぃぃぃ」って思っちゃいました。個人的には、スティーブンスが読んでいたおセンチな恋愛小説がどんなもんだったのか気になりました。それが恥ずかしくて、ミス・ケントンに読まれないように必死な姿はコミカルで面白かったです。旅の道中、スティーブンスはミス・ケントンに会うのだけど、そのぎこちなさがなんともいえなかったです。お互いに思っていることがある、でも聞けない、だからこそのぎこちなさがヒシヒシと伝わってきて、どーなるのかなぁってそわそわしながら見守っていました。お互いにその時どう思っていたのかなどを吐き出して、何かしらの納得を得られたところで、それまで、ミス・ケントンとしか呼んでなかったスティーブンスが、初めて「ミセス・ベン」って呼ぶんです。その呼び方が変わった時に、「あー、この二人の関係が何かしらの終焉を迎えたのだなぁ。そして、スティーブンスは過去の淡い恋を過去のものにしたのだなぁ」と思いました。人の呼び方一つで関係性の変化がみえる、そこに、面白さを感じました。また、彼は同時に衰えも感じているんですよね。昔のような良いパフォーマンスが出来ないという気持ちもあって、そこについて悩む姿は、どの時代に生きている人にも共通なのかなって思いました。

私は、劇の終盤で、「時計の針は巻き戻せない〜」というようなことをだれかがいうんだけど(だれが言っていたか忘れてしまったよ。)、この一言にハッとさせられました。

私もつい「あの時、こうしておけば〜」とか思いがちだけど、時が進んでしまったらそこにはどう頑張っても戻れない。だから、今、これからどうしていくのか?っていうことを考えよう。そのほうがよっぽどかいい。嘆いても過去は変えられないんだもん。そんなことを考えさせられました。それは、未来は今からどうとでもできるっていうふうにも思えて、ほのかに明るく気持ちを照らされました。

スティーブンスは、お屋敷に戻って、どんな感じで過ごすことにしたのかなぁ?ちょっと、その後のスティーブンスの生活っぷりを覗いてみたくなりました!




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?