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ウズベキスタンdiary6 「寝台列車」

寝台列車という響きだけで、もう「旅」っぽくてワクワクする。

2019年10月7日、19:30ウルゲンチ発の寝台列車でサマルカンドまで。

この、ウズベキスタンの鉄道会社「Uzbekistan Railways」。ホームページから直接チケットの手配が出来るようになっているのだけど、これがなかなかの曲者だった。まず、基本がウズベク語(ロシア語?)のキリル文字で、Englishを押しても、行き先のところが英語表記になるだけ。

そして国際列車なので、ロシアから乗り入れてきたりするものだから、行き先が全く知らない地名だったりして、あれ?違う路線か?とかいちいち調べないといけなかったりしてややこしい。

でもそこはこの便利な時代!誰かしらがネット上に買い方を詳しく書いてくれていて、見よう見まねでなんとか購入。

今回この鉄道には2回乗ることがあったんだけど、結局このウルゲンチ→サマルカンドしか予約出来ず、サマルカンド→タシケントは何回やってもフリーズしてしまい結局窓口で買うしかなかった。(窓口で全然問題無く買えましたが、時期によっては1時間以上並んだり、満席で買えないこともあると聞いていたので出来れば予約したいところ)

まぁネットで予約が出来る可能性があるだけでもありがたい、よね。数年前までは現地で買うか、代理店に頼むしか無かったんだし。

2段ベットが向かいあっているコンパートメントの2等車に乗り込む。

向かいには4人家族。まだ産まれたばかりのような小さな子(多分3ヶ月くらい)と、恐らく3歳くらいの女の子とご両親。英語も通じず、人見知りそうなお母さんに変わり、お父さんの方と少しだけジェスチャーでコミュニケーションをとり、お互いなんとなく距離感を保つ。

お母さんは古風なウズベク人という感じで、頭に赤い小花柄のスカーフを巻いて、赤紫色のドレスを着ている。胸元に刺繍されたビーズがキラキラして綺麗。

3歳くらいの女の子は、2段ベットの上から私達をチラチラ見ている。目があった時にこちらが笑い掛けても笑ったりはしない。こういう感じがロシアっぽい(行ったことないけど)ロシアでは無闇にニコニコするような習慣は無いと聞いた事がある。


ウズベキスタンはとにかく子供が可愛い。14歳以下の子供が全人口の4分の1もいるらしい。
ウルゲンチ駅に入る前、外に出て夕陽の写真を撮っていたら、女の子が追いかけて来て「一緒に写真を撮って!」とセルフィーで携帯を向けて来た。もちろんニヤニヤしながら一緒に映らせてもらった。可愛すぎる。

見ず知らずの人にいきなり「一緒に写真を撮って!」と言われるのは、この旅の間何回かあった。数年前まで鎖国状態だったウズベキスタンでは、まだまだ東アジア人が珍しいらしい。それと、この国の人達の人懐っこさと、好奇心もあるだろうな。

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写真中央の女の子が、セルフィーの子。たまたま写っていた。夕焼けが夢のように美しかった。


列車に乗って1時間程経つと、隣の家族が荷物をゴソゴソとやり始めた。そしてなんと!大きなティーポットとカップが登場。レトロな花柄に金彩の大きなポットと、ウズベキスタンでは散々見かけた青地に白の唐草模様のようなカップ。凄い荷物だなぁと思っていたけど、そんな物まで入っていたとは……。

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内心めちゃくちゃトキメキながらも、平静を装いつつ本を読みながらチラ見。でも2段ベットの上からシーツをカーテンのように垂らしていて、家族の様子は見えないようになっている。

ポットは通路の真ん中の窓際にある、折りたたみ式テーブルの上に置かれていた。私達も家族に習いシーツをカーテンのように垂らす。カーテン無いのかぁ〜と思っていたので、これは有り難い工夫。

シーツをかけると、かなり個室のようになった。
窓際のランプをつけて暫く読書タイム。
今回は本を二冊持ってきた。その内の一冊、川上未映子の発光地帯をなんとなく流し読み。

21時頃食堂車に行ってみる。乗車してすぐに探検に行ったけど、混み合っていたので後にしようという事になった。

食堂車は空いていて、向かい合ったテーブル席に着く。給仕の女性が注文を取りに来るが、言葉が分からない。「ショルパ?」と聞かれる。何だろう。夫がとりあえずそのショルパと呼ばれるものと、ブラックティーを頼んだ。

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他の席では鉄道員が会計の作業をしていたり、瓶に入ったウォッカを取り出して飲んだりしていた。
「I love Tokyo!」と斜め向かいの男性に声を掛けられる。

暫くするとショルパとナンが来た。
ショルパはトマト煮込みのチキンスープで、ディルが効いている。とっても美味しい。(しかしこの後、夫はこのスープの油にやられて珍しく体調を崩した)
ブラックティーは骨董品のようなポットに入って出てきた。いつもの青地に白の唐草模様。でもこれは、、、かなり年季が入っている。もしかして旧ソ連時代からのものかも。

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外を見ても何も見えない。電波も圏外。そりゃそうか、砂漠を走っているんだから。

半月の月だけが明るく見える。
月は何処に行っても、何歳になっても同じように見えて安心する。

食堂車を満喫した後、部屋に戻る。
廊下は照明が落とされて、オリエント急行殺人事件とか、起きそうな雰囲気。木目調の車体や薄暗さがいかにも。

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部屋に戻ると、オリエンタルな音楽が小さく流れていた。この家族は空間作りを大切にしているようだ。バイオリンのような音楽と時々歌声。情緒あって良いよ。ありがとうウズベク家族。

22時頃横になる。夫が上段で、私は下段。
隣からは家族の小さな話声と音楽が流れている。

いつの間にかウトウトしていると時々、何も言わずに電車はガタンっと止まる。この電車には、車内放送というものが無いみたい。降りるときは気をつけないと。

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そして朝日が昇る中、最後の目的地、サマルカンドに着いた。

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