ことしの八月にさよなら。

九月になりましたね。あんなに暑かったのに、九月になった途端すこしだけ涼しくなって、月日や季節を決めた人はすごいわねえなんて思います。

ことしの八月にさよならのお話。

八月。
今年は七月が全部梅雨だったので、八月が夏独占状態でしたね。私は八月がだいすきです。祭りや花火やキャンプやら、楽しいイベントがたくさんありますからね。特にあの、夜にゆらゆら色づく感じが本当に好き。毎年楽しみにしています。

今年は大きなイベントはなかったけれど、家で冷たい素麺をすすったり、クーラーの効いた部屋でアイスクリームを食べたり、蝉が鳴き狂っていたり、緑がもの凄く濃いなあと思ったり。小さいハッピーを噛み締めて楽しく過ごすことができました。


もちろん楽しいことだけじゃなくて、暑さにウンザリしすぎて溶けそうになったこともありましたけどそれもいい思い出です。逆にそうゆうウンザリのほうが強烈に記憶に残ったりするもんで。

今年一番記憶に残っている八月の思い出は、まさにウンザリ系でした。あれは中旬、晴天の真っ昼間。私は大好きなカレーを食べに行くために、片道自転車で40分かけて大きな街道沿いを爆走していました。

日陰のない真夏の街道はとにかく暑くてしんどく、蜃気楼で世界が砂漠色にゆらゆらしています。漕ぎ始めて20分くらいのところで、喉が乾いて頭が吹っ飛びそうになったので、自動販売機を死に物狂いで探し出しスポーツドリンクを買ってごくごくと飲み始めました。(あのとき小銭がなくて仕方なくお札で購入したら、めちゃめちゃ細かい小銭がでてきてなんか悔しくて沸騰しそうになったことは忘れないです。)

とりあえず胃に入る分だけ飲み干したそのとき!面白いくらいたくさんの汗をパッサーーっとかいたのです。じっとり湿ったやつじゃなくて、もう真っ青なバケツをひっくり返したみたいにパッサーーっと滝のように汗をかいたのです。そうして私はスライムみたいになって、面白くなってきちゃったのでした。

近頃は涼しい家に籠ってぬくぬくしていた私には衝撃的でして。もう人間の体の神秘を感じました。すぐさま汗をきれいに拭いて、再び自転車をこぎだしたとき、お腹の中のスポーツドリンクにふわあーーっと花が咲いて私はまた超元気に。私のなかの水分の総入れ替え。疲れた水分は出て行って、新しい水分が活躍している…。なんだか生まれ変わった気分。若干視力が上がったんじゃないか、目の前がキラキラしているぞ。わあ今私めちゃくちゃ生きてるって感じがするなあ。いいぞいいぞ。こうして残り20分も順調にぎゅんぎゅんと漕ぎあげ、ついに大好きなカレーにありつくことができたのでした。

好きなものを食べにちょこっと遠出するはずが、なんだかすごい経験をしてしまって、(ぶっ倒れなくてよかった。もっと日ごろから運動しよう。)これがダントツ私の今年八月の思い出ナンバーワンです。

あの時はへろへろだったけれど、今思い返すといい思い出です。特別なイベントでもなく、ただただ自転車をひたすら漕いでいただけ記憶だけど、あの真夏の街道のゆらゆら感、どこまでも続くデッカい一本道に心が折れそうになって、自販機を探すクタクタ感。ごくごく飲んで生き返る爽快感。今でもくっきり思い出します。

すぐ忘れてしまいそうなことだけど、意外と人生終盤とかに思い出すものってこうゆうどうでもいいことだったりするかもしれない。そう思って書いときました。あとで思い返して、ああ懐かしいな、あの時は本当に大変だったけど、楽しかったなあ。なんて思えたらいいですよねえ。

八月って、夏って、ほかのどの時期よりも濃くて鮮明なものですよね。大きなことでも、小さなことでも、思い出の多い季節です。夏がはじまる、夏を乗り切る、夏が終わる、あの夏。なんとなく、ほかの季節よりも感情的な雰囲気が含まれている気がします。なんだかいいですね。そしていつの間にかいなくなってますから、これもまたいいですよね。あんまり長くても暑くてウンザリしちゃいますからね。

さよなら今年の八月。こんにちは九月。

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