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私の選ぶ10冊 児童文学編

前回の記事に書いた、友人からのお題「自分を形成した10冊」にお答えした本たちは、大体学生時代くらいまでに読んだ本だと思います。
でもセレクトしているうち「形成した、というならもっと幼い頃に影響を受けた本じゃないといけないんじゃないかな?」という疑問が沸いてきました。

幼い頃から私はいわゆる本の虫で、食事に呼ばれても「はーい」と生返事をしたまま、いつまでも読みかけの本から顔を上げず、親から呆れられていました。
図書館には日を空けず通い、推理小説が大好きだったので子供向けはほぼ読み尽くし、大人向けの棚から森村誠一胡桃沢耕史生田直親などにも手を出して、それも読み尽くしてハードボイルドとかに手を出すも、なんか違うな、と仕方なくSFに移行していったのが中学くらいから。

私には京都に住む4つか5つ年上の従姉がいて、いつも読み終わった本をダンボール箱一杯に送ってきてくれました。
私はそれが何よりの楽しみで、本が届くと待ちきれず玄関で箱を開け、その場で読み始めたものでした。

そんな頂き物の本や、親から買ってもらった本、それに両親の本棚にあった本。
その中で、小学校低学年位までに大好きだった本や、深い印象を受けた本10冊を選んでみました。

なかえよしを/上野紀子星のきかんしゃ
安野光雅天動説の絵本
松谷みよ子ふたりのイーダ
オトフリート・プロイスラー小さい魔女
江戸川乱歩死の十字路
マリー・ホール・エッツ海のおばけオーリー
にいづまあきお/ごとうきくことっかりぽっかり
あまんきみこ車のいろは空のいろ
曽根綾子田名部昭/建石修志ギリシアの神々

最初の2冊は別格です。

なかえよしをさんと上野紀子さんの夫婦ユニットは、到底子供向けとは言えない神秘的で素晴らしい絵本を数多く生み出していますが、当時はそんなことはつゆ知らず、それなのに『星のきかんしゃが大好きだったのは、きっと今に繋がる好みが当時から形成されていたのでしょう。

大好きだった従兄がいて、やはり5つくらい年上だったのですが、うちの親に懐いており、よく一人でうちに遊びに来ていました。
彼が来るたびに『星のきかんしゃを抱えてベッドに潜り込み、飽きることなく何度でも繰り返して一緒に絵本を読むのが、弟や妹にも内緒の、秘密めいた私たちの遊びでした。
彼が大学生になってからは、さすがにそう頻繁には遊びに来られなくなりましたが、文通はかなり長く続けていました。
星のきかんしゃ」は、今でも大事に持っています。

安房直子まほうをかけられた舌については、ふたつ前の記事にも書いていますので、良かったら読んでみて下さいませ。
彼女の書くお話は基本的には子供でも読みやすい、メルヘンチックなものなのですが、どことなく仄暗さを秘めているのは、やはり私がそういうものに惹かれてしまうのか・・・。
この本は、とても好きだったなあ、と思い出して、ごく最近に入手し直しました。
ついでに、安房さんの他の本も購入しては読んでいます。

安野光雅さんは父が好きで、本棚には他にも何冊か彼の本がありました。
子どもの季節などは田舎の風物詩を描いた、写実的な絵本かと思いきや、急に雷様が現れ、ユーモラスな表現になっていくのがとても面白かったのですが、やはり『天動説の絵本がヨーロッパの中世の世界を描いていて魅力的でした。
彼の絵本は、改めて入手したいような気がします。

松谷みよ子さんの『ふたりのイーダは、忘れがたい印象を残した本でした。
緑に覆われた廃屋の庭には壊れた小便小僧像があったり、まるで『秘密の花園なのですが、廃屋の中にいたのは喋る椅子。
椅子が待ち続けているのは、原爆にあって死んでしまったと思われる、小さい女の子だったのです。
椅子に妹をその女の子と思い込まれてしまった主人公は、何とか椅子の持ち主だった女の子の行方を突き止めようとするのですが・・・。
もう一度、読み返してみたい。

小さい魔女は児童文学として有名なので、読んだことがある方も多いかも知れませんね。
ブロッケン山やワルプルギスといった怪しげな名称はもちろん、栗売りとか牛の品評会とか、未知のヨーロッパの文化にワクワクしました。

江戸川乱歩死の十字路
何故この作品かというと、ポプラ社の少年探偵団シリーズはもちろん読んでいたのですが、その中に比較的大人向けの小説が混じっていて、それがこの『死の十字路や『地獄の道化師だったのです。
少年探偵団シリーズの何倍もの濃密さで漂う、不気味な雰囲気に強く惹かれました。
それで小学校4年生の時、幼稚園のバザーで春陽堂の『江戸川乱歩名作集を見つけて買い、園庭で貪り読みました。
特に衝撃的だったのは『鏡地獄柘榴地獄風景お勢登場辺りかな。

海のおばけオーリーは、従姉から頂いた本。
とっかりぽっかりとともに、アザラシが主人公なのですが、後者は、叔母が挿絵を描いた本です。
動物学者だった叔父の本の挿絵も、何冊かは叔母が描いていました。
今アザラシ好きなのは、別にこれらの本が原因ではないとはいえ、何かしら因縁めいたものがあるのかも知れません。

あまんきみこさんの『車のいろは空のいろは、子供の頃にも読んでいた筈なのですが、もう少し大きくなってから谷山浩子さんのアルバム『ねこの森には帰れないに収録されている曲たちを聞いてから、改めて好きになったような気がします。
あまんきみこさんのお話がほのぼのとしているので、谷山浩子さんの曲の中では、これらの曲はダークさが控え目になっています。

ギリシアの神々』曽根綾子さんの文章に、建石修志さんの挿絵、という豪華なコラボレーション!
一応児童文学ということで、ここに含めましたが、多分読んだのは中学生になってからだったと思います。
これも今、改めて入手したい。

本の内容は記憶を頼りに書いているので、間違っていることもあるかも知れません。
でも面白さは保証しますので、もしご興味持たれた方がいらっしゃいましたら、是非とも入手してみて下さいね。
もちろん、お子様やお知り合いのお嬢様、お坊ちゃまにプレゼントするのも素敵だと思います!

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