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202206 雑記

「あと40年くらいしか一緒にいられないのかあ。」
寂しいね、と夫が言う。

わたしが30歳、夫が34歳のときに結婚した。
現在41歳と45歳、二人とも立派な(?)おばさんとおじさんだ。
結婚してから10年、当然だが色々あった。
じゅうぶんすぎるほどの記憶の積み重ねを思い返すと、あと40年”しか”は少々欲張りじゃないかと思いつつ、やっぱりわたしも寂しく感じる。

その日はいつかやってくる。
仕方ないことだ。
その前にどちらかが寝たきりになるかもしれない。
車椅子になるかもしれない。
呆けて罵詈雑言をはくかもしれない。
どんなことになってもお互いを助ける気持ちはある、けれど、できるならなるべく元気でいたいし、いてほしい。
とはいえ、舌の根も乾かぬうちにと思われるだろうが、そもそも”どんなことになっても”を今のわたしが想像しきれるはずない。
だから結局はよくわかんないのだ。
ただただ、ふだんは考えもしない神様の顔を思い浮かべて『なるべく元気で長生きできますように』と祈るしかできない。


映画『ぼけますから、よろしくお願いします。〜おかえりお母さん〜』を見た。
前作から見ているので、副題にある”おかえり”が意味するところはなんとなく分かっていた。
娘の直子さんが、90代の両親を見つめカメラを回すドキュメンタリー。
入院中の妻を見舞うために毎日片道1時間かけてゆっくり歩く夫。
「帰ってきて一緒にコーヒーでも飲みましょうや」と寝たきりの妻に声をかける夫。
いよいよ妻が最期を迎えるとき、「あんたが女房でよかった」と漏らす夫。

どんな最期になるのか、わたしが見送るのか見送られるのか、そもそもずっと一緒にいるのか、わからないけど。
「今日落ち込んでたから」と、仕事帰りに小さなケーキを買ってきてくれる人と過ごす日々を大事にしたい。

「あんたが女房でよかった」
もうほとんど反応のなかった妻が夫の言葉を聞いて流した一筋の涙、後悔なく生きられた人の証のように見えた。

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