ひとりで食べる完璧なブランチ
家でタオルケットを洗うのが面倒なので、コインランドリーにきた。コインランドリーついでに、前に一度だけ来たことがあったカフェで、ブランチを食べている。このブランチは、私が思う東京で食べられる完璧なブランチのなかのひとつだ。安くはないけれど素敵な雰囲気の中で美味しく食べられるから許してしまう。
今日が仕事始めの人も多いのだろう。6人、8人くらいの会社の同僚と思しき女性グループもいる。新年1日目だから、みんなでお昼にいこうということなのかもしれない。
8人組の20代後半から、40代くらいまでの同じグループの女性陣は、すごく盛り上がっているわけでもなく、誰かが喋るのを様子をうかがっている感じ。一番若そうな人は端っこに座ってたまにスマホを見てはすぐにしまっている。
最初に入った会社で、同じ部署の女性社員全員で週に一回ランチに行くという習慣があったことを思い出した。
先輩が嫌いだったわけではないけれど、正直億劫だった。パスタやさんで全員で違う種類のパスタを選んで、少しずつシェアして食べた。それがめちゃくちゃ面倒くさかった。自分の好きなパスタ(1種類でいい)を気兼ねなく食べたい、と思いながら、先輩に気を遣いながら、いろんな種類のパスタを少しずつ食べた。
お店に入るにも人数が多いので、1年目のときは同期の子と早めに行って、人数分の席をとったりしていた。定期的に、6人以上のグループで行動する機会があったのは、あのときが最後かもしれない。
今の会社はみんなでランチに行く習慣がない。ひとりで食べる食事は美味しくて自由で最高だ。つるまるうどんを15分で食べてもいいし、時間をたっぷり使って1200円のパスタセットを食べてもいいし、パン食べ放題のランチでパンを死ぬほど食べるのもいい。
前に読んだ何かの本に、ランチにひとりで行けない人は転職に向いてないと書いてあった。転職に向いてる向いてない以前に、ランチにひとりで行けない人なんて存在するのかと驚愕したけれど、そういう感覚の人もいるのかもしれない。
以前、エッセイストの下重暁子先生とお仕事をさせていただく機会があった。下重暁子先生は、いつお会いしても凛とされていた。大人が集団でぞろぞろいるのをみっともないと仰っていて、個としての一人の立ち姿が素敵だった。わたしもそんな人になりたいし、個として立てる人と仲良くしたいと思う。
考えてみれば学生時代までは集団が当たり前だった。集団行動が全く好きじゃないし向いていないのを自覚したのは社会人になり特に編集の仕事についてからなので、それまではずっと苦手な生活スタイルだったのだから恐ろしい。
ひとりで優雅なブランチを食べながら、大人になってよかったなと思った。
※ちなみにわたしが東京で食べられる完璧なブランチのひとつと思うメニューは、ここのお店です。
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