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めちゃくちゃ美味い店とリアル脱出ゲーム

「リアル脱出ゲーム」。2007年、人類未体験のエンタメとして京都で誕生したそれは、東京を経由して全国に拡がり、あっという間に世界中に浸透した。はじめてプレイしたときの感動は今も鮮明におぼえている。予想外のことしか起こらずゲームに没頭できる感覚は新鮮そのもので、それこそドラクエやFFの新作を楽しみにするように、「次の作品」を心待ちにして暮らしていた。

しかし、その後、初参加の興奮を超えることはなかった。回を重ねるごとに感動に慣れ、ついには「今回はこうきたか」と、批評めいた気持ちで参加するようになってしまった。

マーケッターの酒井さんが以前、「うまい店」についてこんなことを書かれていた。

僕はそういう店に行き当たった場合、やむを得ない理由でもない限りは、二度とその店に近づかないようにしている。もちろん、あの味食べたさについ足が向くこともあるけれど、大抵の場合、後悔することになる。理由は簡単で、二回目が初回の味を上回ることは、ほぼ確実にないからだ。むしろ、初回に衝撃を受ければ受けるほど、二回目に行った時は「あれ?こんなもんだったか…?」と感じてしまうのだ。
「めちゃくちゃ美味い店」には二度と行かないようにしてるんだ

このnoteを読んだとき、強く共感するとともに、リアル脱出ゲームのことを思い出した。誰かは忘れたけど、とあるシェフが「常連客がいちばん緊張する」と言っていた。リアル脱出ゲームをはじめとしたあらゆるエンタメ・イベントが常連に支えられ、常連にビビってつくられているのだと思うと、胸がくるしくなる。

そんなリアル脱出ゲームの誕生10周年を記念し、株式会社SCRAPが「リアル脱出ゲーム大パーティー」を開催した。今回、そのレポートを書かせてもらっている。

公式レポートでライターが出しゃばってもと思って感情を殺して書かかせてももらったのだけど、実際はむちゃくちゃ感動していた。ほぼ常連しか来ていないハードルの上がりきったこの状況で、SCRAPのみなさんが見事にそれを超えていったからだ。

ぼくは1万人にひとりの脱出者が決まった瞬間のどよめきを忘れないだろうし、ネタバレを聴いてその仕掛けのすごさに声を出して笑ってしまったことを忘れないだろう。

レポート、よかったらご一読ください。
リアル脱出ゲーム大パーティー公式レポート

いやーしかし、先日レポートしたリアル潜入ゲーム(もちろん自腹で行ってます)といい、SCRAPはふたたび黄金期を迎えようとしている気がします。うちもがんばろう。