「ピクサー展はあとでいいから!」ものづくりにかかわる人は、三連休に祖父江慎展へGO
金曜日の18時、護国寺にある会社を抜けだし、
有楽町線に乗って(本当にこの線はいつも空いている)
『祖父江慎+コズフィッシュ展:ブックデザイ』
に行ってきました。会場は、日比谷公園内にあります。
日比谷図書文化館です。
祖父江(そぶえ)さんは、
ブックデザイン界の超大御所で、
その祖父江さん率いるデザインチームが
コズフィッシュです。
祖父江さんデザインの夏目漱石『心』(岩波書店)
普遍的で所有欲を刺激しまくるデザインは、
いつも驚きとわくわくに満ちていて、
つい「ジャケ買い」してしまう磁力のようなものを発します。
星海社新書のアートディレクションを
してくださっている吉岡秀典さんがコズフィッシュ出身だったり、
星海社のフォントディレクターである紺野慎一さんが
しょっちゅう祖父江さんと仕事をしていて
いろいろお話をうかがっている縁もあり、
何か得るものがあればとほぼ思いつきで立ち寄りました。
ところがどっこい、とても気軽に
行ってはいけない内容だったのです。
30分もあれば十分かなと思っていたのですが、
結局80分ぐらい居てしまいました。
そして、むちゃくちゃつかれました。
祖父江さん自身によって貼られた付箋のような
作品解説はたのしいし、
名作「楳図かずおPERFECTION!」シリーズの色校
なんかも見応えがあります。これもすごい。
ただ、それ以上に圧巻なのが、壁にでかでかと貼られた、
吉田戦車『伝染るんです』の設計ボツ案と、
恩田陸『ユージニア』および夏目房之介『本デアル』の
組版指定紙(印刷会社向けにフォントを指定するための紙)。
祖父江さんてこういうの見てても、
祖父江さん「裏話とかいらないの?」
ほぼ日スガノさん「ほしいです」
祖父江さん「……忘れちゃった!」
とかっておっしゃっていて
どっちかというとこう、天才というか、
それなりにのんびりした方で、
けっこう感覚でやられているのかなと思っていたのですが、
展示された設計図や指定紙のこまかいことこまかいこと!
・「っ」「ゅ」「ょ」は、級数97パーセントで
・読点、もう少し倒して
・右ページ、2度だけ傾けて
※意訳です
みたいな指定(もっとこまかい)が、30行ぐらい続くのです。
しばらく立ち尽くして見ていたのですが、
じぶんの仕事ぶりを反省したり、
このこまかい指定をやりとげた人たちのことを
想像したりして、泣きそうになりました。
すごみにあてられて、帰りはしばらく
日比谷公園のベンチに座ってボーッとしてしまった……。
三連休、会場は混むでしょうし、
なんなら仕事をしている人も多いかもしれませんが、
1時間でいいので空けて、足を運ばれることをおすすめします。
これで300円は安すぎる。
※会期は3/23(水)20時までです。
※3/21(月)はお休みです。
※展示されている本の一部は、同じ建物の2Fで見本が読めます。
※会場の写真撮影は一切禁止みたいなのでお気を付けて。
「祖父江慎+コズフィッシュ展:ブックデザイ」
会期:2016年1月23日(土)~3月23日(水)
※休館日:2月15日(月)、3月21日(月・祝)
前期「cozf編」:1月23日(土)~2月14日(日)
後期「ish編」:2月16日(火)~3月23日(水)
会場:千代田区立日比谷図書文化館 1階 特別展示室(千代田区日比谷公園1-4)
開室時間:平日 10:00~20:00/土 10:00~19:00/日・祝 10:00~17:00
観覧料:一般300円
[「祖父江慎+コズフィッシュ展:ブックデザイ」常識を覆す2,000冊以上のブックデザインが展示 | ほんのひきだし]
(http://hon-hikidashi.jp/enjoy/8471/)