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「あの頃のおれ最高おじさん」にはなりたくない

一年に一度、大学で話す機会をもらっています。とある大学の、編集志望の学科の1年生に編集者のしごとがどんなものなのかを紹介する内容です。明日が一年ぶり三度目の授業で、今晩はずっとその準備をしていました。ぼくよりこの授業に向いている人を、知り合いだけでも30人は知っているのでたいへん恐縮なしごとなのですが、何年にもわたってお声がけいただけることはすごいうれしいですし、何よりいい定点観測になるのでお引き受けしています。

毎回「自己紹介」としてこれまでのしごとの紹介からはじめるのですが、このスライドをつくるときに、この一年のぼくのはたらきぶりがはっきりと出てけっこう凹みます。昨年のスライドをそっくりそのまま使えるとしたら、それは何も新しいことをせずぼーっと一年過ごしてしまった証拠です。また、一部であっても同じ事例を繰り返し使っているとしたら、それは停滞に他なりません。実際、三年連続三回目の登場となる事例があって、ちょっと情けなくなりました。いつまでその話してんだよ、と。

一方、まだこうして凹むことができるだけ健全な気もしています。過去の自分に頼ることを嫌悪してしまうのは、いつも「今がいちばん」でいたいからこそ。無自覚に「あの頃のおれ最高」な話をし始めたら末期です。実際、すごい人ほど「いま何をやっているか」を嬉々として語ります。こんなおっさんに、こんなじじいになりたいなと思わせてくれる人たちはみんな「今がいちばん」であり「これから何をするのか」が明確です。

どうせ生きるならずっとかっこよくいたいものですよね。来年もお声がけがあったら、そのときはスライド全取っ替えできるといいなあ。