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ダイソーの500円ハイレゾイヤホンを入手した話

ビデオ会議用に使っていたイヤホンが断線気味だったので、間に合わせのためのイヤホンを買いにダイソーに行ったら、500円(税別)でハイレゾ対応イヤホンなる商品を見つけた。
パッケージの裏面に書いてあるスペックを見ると、[ダイナミック型 10mmドライバ、100±3dB/mW、20Hz〜40,000Hz、18Ω±15%]。曲がりなりにもと言ってはダイソーさんには失礼な話だが、ワンコイン(厳密にはツーコインだが)で10mmドライバのハイレゾイヤホンが買えるんだと、ちょっと驚いた。いくらなんでも、安すぎる。ということで、お迎えしてみた。

開封の儀

早速、FIIO Q3に接続して試聴してみる。ここからは、完全に個人の感想、独り言、戯言である。
第一印象としては、「ほぉー」という感じ。ちょっと、いや、結構、スカスカしたところがあるが、やー、これで500円かぁ。うーん、と考えさせられるものがあった。
ただし、高音部はシャリシャリして痛い感じもする。解像感や音の広がりも、まあ、お値段なりかなという気もしてきた。そこで、家にあった有線イヤホンをかき集めてきて、聴き比べてみることにした。

左上:ゼンハイザー IE 100 Pro。朝起きたら猫に齧られて被覆が破けて呆然となったが、中身は奇跡的に無事であった。左:ダイソーのイヤホン。下:ソニー h.ear in 2(IER-H500A)。右:qdc SUPERIOR Vermilion Red。メインで使っている。

vs. JVC HA-FX6

JVC HA-FX6。上で撮り忘れたので追加。白いテープを巻いているのは、一目(または手探りでも)Rを判別できるようにするためで、特に深い意味はない。

軽くて着け心地が良く、1,000円以下で買えるイヤホン。公式オンラインストアで990円。近所の家電量販店ではもう少し安く売っていた。これが家にあった中では一番安価なイヤホンだった。
スペックは[ダイナミック型 9.2mmドライバ、99dB/mW、20Hz~20,000Hz、16Ω]。
聴き比べてみた感じでは、瞬間的にはダイソーの500円イヤホンのほうがエネルギッシュで元気が良い印象があるのだが、やはり高音域がシャリシャリしていて耳障りなところもある。スネアドラムもちょっと刺さってくる感じ。JVCのほうが音の粒が揃っていて、丸みを感じられる柔らかさがあり、ていねいな描写に感じる。高音部がシャリシャリということも全くない。
1,000円以下の製品とはいえ、さすがにメーカー品のクオリティだ。もうちょっと善戦するかなと予想していたが、ここですでにイヤホンとしての勝負はあったというのが結論だ。

イヤーピース交換

ここで終わらせても良かったのだが、なんとなく悔しかった(?)という思いもあり、イヤーピースを変えたらどうなるか試してみることにした。手元にある予備のイヤーピースを物色していたところ、以前の記事でも紹介したAnker Soundcore Liberty Air 2に付属していたイヤーピースが合うことに気づき、物は試しということで、これで聴いてみた。

そうしたら、驚くほどに音が化けたのである。

嫌なシャリシャリ感がいい感じに減衰し、芯が太くなった上、重低音が響いてパワフルさが前面に出てきた。正直、これにはとても驚いた。やや籠った感じもあり、決してJVCの音を上回ったとは言えないのだが、ユーロビートとかは疾走感が感じられて、こちらのほうが合うかもと思えるほどに変化したのだ。イヤーピース効果、恐るべし。
ということで、下駄を履かせたまま他のイヤホンとの比較を続けてみよう。

vs. ソニー h.ear in 2(IER-H500A)

2017年発売の新h.earシリーズで、ハイレゾ対応となったイヤホン。当時の販売価格は8,000円前後だと記憶している。スペックは[ダイナミック型 9mmドライバ、103dB/mW、5Hz〜40,000Hz、16Ω]。
音質としては、上で取り上げたJVC HA-FX6の解像度をぐっと上げたような感じ。やや高音域が前に出てきている感じを受けるが、シャリシャリ感は少なく、バランスは良い。
個人的にはこれより前に使っていたMDR-EX650というイヤホンのほうがニュートラルな感じで好みの音だったのだが、断線して買いに行ったときにはすでに販売終了品となっていて、こちらに買い替えたという次第。
さて、それでダイソー(with Ankerイヤーピース)と比べると、やはり解像感については圧倒的にh.ear in 2に軍配が上がる。しかしながら、重低音のパワフルさという部分では、ダイソー(with Ankerイヤーチップ)が凌駕している印象だ。場合によっては、こちらのほうが好みという人もいるかもしれない。
ちなみにh.ear in 2のほうがスペック上は高い出力音圧レベルで、低インピーダンスなのだが、出てくる音量は明らかにダイソーの方が大きい。いや、大きすぎる感じすらする。出力が高いと耳にダメージを与えるほどの破壊的な音量が出てしまうので、十分に注意が必要だ。

vs. ゼンハイザー IE 100 Pro

モニターイヤホンとして定番のIE 100 Pro。スペックは[ダイナミック型10mmドライバ、115dB/Vrms(98dB/mW)、20Hz〜18kHz、20Ω]。
かなりフラットな音で、解像度はかなり高く、音の広がりもとても感じられる。重低音や高音域を強調するイヤホンに慣れていると、ややスッキリしすぎて物足りないという第一印象を抱く人もいるかもしれない。逆に言えば長時間聴いていても疲れず、良い音に包まれている感じがするあたりはハマると手放せなくなる。
上で取り上げたソニーのh.ear in 2よりもフラットな音(スッキリと雑味がない音)が出てくるので、当然、重低音という意味ではダイソー(with Ankerイヤーピース)の方が強い印象なのは変わらない。
もっとも、IE 100 Proのほうが女性ボーカルの高音の伸びなどはとても艶やかで綺麗だし、全体的な情報量も多い。音楽プレイヤーのイコライザーなどで音をいじっても破綻しづらく、好みの音に持って行きやすいと思う。
またIE 100 Proはリケーブルが可能で、それによる音の違いも楽しめる。お値段も実売1万2,000円前後で、コストパフォーマンスは高い。有線イヤホンの醍醐味を味わえる製品だと思う。

vs. qdc SUPERIOR Vermilion Red

qdcは中国・深圳に本社を構える音響メーカーで、ミリタリー向けで培った高い技術力をベースに、プロ向けのイヤホンも手掛けている。主力のカスタムIEMは20万円以上するので、なかなか手が届くわけではないが、このSUPERIORは1万4,000円前後で手に入るエントリーモデルで、価格帯としてはIE 100 Proと悩む人も多いだろう。
スペックは[ダイナミック型10mmドライバ、100 dB/mW、10Hz〜40,000Hz、16Ω]。
IE 100 Proとの違いでいえば、より重低音が響く印象だ。この点ではダイソー(with Ankerイヤーピース)に近いものを感じる。ただし、その鳴りは比べ物にならず、SUPERIORの音には丸みがあって、情報量が圧倒的に豊かだ。フラットな感じかといえば、やや味付けがあるように感じられるが、嫌な味付けではない。聴く曲のジャンルによって好みは分かれると思う。

結論

  • 500円なりの製品ではある。個体差はあるかもしれないが、購入したものは高音部がシャリシャリしていて、耳障りな印象を受けた。

  • イヤーピースが手元に余っていれば交換を試してみる価値はある。ただ、ハイレゾ対応でなくても、メーカー品の安いイヤホンを買った方が音は良いように思う。わざわざ買うイヤホンかといわれれば、どうかなといったのが正直なところ。

  • ビデオ会議など他の用途でも使ってみたが、まあ、普通によく聞こえる(ちなみにリモコンマイクもついているので、ヘッドセットほどではないが、普通にビデオ会議では使えた)。出先でイヤホンが必要になったとき(たとえばビデオ会議をするとか、ICレコーダーの聞き取りをする程度の用途)で急場を凌ぐのなら、安価に買えるということで、選択肢としては十分にありではないか。(さすがに片耳モノラルイヤホンとかよりは音は良いので)

おまけ AVIOT TE-D01t

AVIOT TE-D01t

いまワイヤレスイヤホンで使っているのは、AVIOT TE-D01t。以前はソニーのWF-1000XM3を使っていたのだが、突然、通電しなくなって、2年くらいで買い替えを余儀なくされた。
で、どうせ外で使うならそんなに高くなくてもいいかということで、一時期はAnker Soundcore Liberty Air 2を使っていたこともあった。その後、もう少し良い音をと物色しはじめたところで、量販店の決算セールで7,000円くらいまで値下がりしていたのを見かけて、こちらをお迎えした次第。結果的にはかなり気に入っている。
都心の混雑駅とかだと、たまに音が飛ぶこともあるのだが、まあ、ご愛嬌ということで。ノイキャン機能は大したものだと思う。音質だけ考えると有線イヤホンには敵わないものの、電車の中でも音量を抑えても没入感を維持できるため、良い買い物だったと思っている。

現場からは以上である。


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