遠くに行かないで。

部屋の隅にあった、小さく丸まった包みを開いてみると

青いペンで、矢印が書いてあったの。

矢印はそのままでは何を指しているのかわからないけど

眺めているとその意味がわかって

静かに目を閉じたら、悲しくなってきたの。

それは、

遠くへ行ってしまう前に

あなたがくれたものだった。

「あちら側に行くからね。」

こちら側にいる私は、ここから時を止めてしまった。

動かしたら、怖いから。

動かしたら、怖いから。