見出し画像

遠征日記 原爆ドームはデザートにした方が良いですよ

 8月6日

 毎年、この日は、思い出してしまう、というより、日本人として思い出さなければいけない日なのかもしれない。

 76年前の1945年(昭和20年)の同じ日、午前8時15分に世界で初めて、原子爆弾が広島に投下された日だ。

 私の父親の実家は広島なので、祖父母のお墓や親戚の多くは広島に住んでいるので、幼少期から広島には何度も訪れていた。そして、何度も訪れる中で原爆ドームの存在や、世界で初めて原子爆弾が投下されたのが広島であるということも知った。

 大人になって、FC東京を真剣に応援するようになってからは、サンフレッチェ広島とのアウェイでの試合に行った際に墓参りや、観光をするようになったのだが、その際に初めて原爆ドームと平和資料館を訪れた。

画像1

 広島でのアウェイ戦に、まだ1度も行った事がないというFC東京を含めた全国のJリーグチームのファンの方々、また、広島カープの試合を観戦に訪れる多くのプロ野球ファンの方々、原爆ドームと平和資料館は日本人として1度は訪れた方が良いし、知っといた方が良い事実がたくさんある場所だと思う。

 そんな皆さんに、私が言えることは1つだけ。

 原爆ドームはデザートにした方がいい

①初めての訪問

 前述の通り、私の父親の実家は広島であり、幼少期から何度も訪れていたのだが、不思議なことに原爆ドームや平和資料館には1度も連れて行ってもらったことがなかった。

 そんな中、ちょうどFC東京にとって、アウェイでのサンフレッチェ広島戦がたまたま夏休み中に組まれていて、墓参りついでに応援に行くことにした。私が21歳、大学3年生の時だった。

 ナイトゲームだったので、キックオフまで少し時間に余裕があるということで、サポーター仲間の方と平和資料館を訪れることにした。

②資料館で見た物、感じたこと

 原爆ドームの横を川が流れている。

画像2

 「太田川」と呼ばれているのだが、原爆が投下された直後、川には水を求めて、多くの市民が飛び込み、また亡くなった。現在は静かな川なのだが、そのことを考えるとゾッとする。

 資料館で見た物は衝撃の連続だった。

 原爆で亡くなってしまった方の遺品や、放射能や熱で形が変わってしまった自転車、数多くの写真など、資料館には原爆の恐ろしさを伝える物が多く展示されていた。

 広島では小学校の時に、社会科見学で原爆ドームと平和資料館を訪れるのが通例であると従兄弟から聞いたが、知識がまだ乏しく、悲惨さをストレートに伝える展示物を見せるのは「反則だよな」と率直に感じた。

 幸い、私は多少色々なことを学習してから訪れたから、この平和資料館を訪問した際に感じたことは、もっと深い物があったと自負しているが、「純粋な小学生にいきなりここの展示物を見せるのはどうなんだろう?」と日本の歴史教育に小さなクエスチョンマークが浮かんだのも事実だ。

③資料館を出てから

 資料館を出て、思考回路が変になった。 

 明らかにそれが分かった。試合に行く際も「平和な世の中に感謝して勝ち点3を〜」などと言っていたのをよく覚えている。試合を純粋に楽しんだり、贔屓チームが勝てるように応援しに行くという気持ちに持っていくのが難しかった。

 FC東京ファンの仲間から、「広島アウェイ行くんだけど、スタジアムまでどうやって行ったら良い?」、「観光はどこに行ったら良いかな?」、「美味しい食べ物ある?」などと、広島遠征に関して、初めて訪れる方々から聞かれる機会も多いのだが、必ずと言って良いほど、「原爆ドームと平和資料館は、試合の後に行った方が良いよ」と答えるようにしているし、仲間と一緒に行くことになっても、試合後に行くようにしている。

 遠征の目的、メインディッシュである、試合観戦、応援を純粋な気持ちで臨むのに、試合前に原爆ドームに行くのはあまりオススメできない。当然、日本人として1度は行った方が良いが、行くなら、試合後に行った方が良いと思う。試合観戦というメインディッシュの後のデザートのような気持ちで…

④最後に

 新幹線で来た方は、広島駅から路面電車で15分くらい。飛行機で来た方は広島空港からシャトルバス経由で約1時間以上掛かる場所だが、サンフレッチェ広島のホームスタジアムであるエディオンスタジアムに向かうモノレール、アストラムラインの始発駅である本通り駅の近くで、遠征の際に訪れることは可能なので、是非1度訪れて欲しい。それは、何度も言うようだが、世界で唯一の被爆国である日本国民として知っておいた方が良い事が、たくさん詰まっているからだ。

 戦前からのサッカー処で、長沼健さんや森考慈さんなど数多くのサッカー人を輩出し、今や4度制覇しているアジアカップを初めて制覇した地でもある、広島。これを読んでいただいた、サッカーファンの方々、今は難しいけれど、是非1度訪れてみることをオススメする。

 

画像3


この記事が参加している募集

スポーツ観戦記

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?