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スタジアムを彩る波、大旗の話 大旗はニコチンであり、アルコールだった

 皆さんはサッカー日本代表の試合やJリーグの試合をTVであったり、実際にスタジアムで観戦したことはあるだろうか。

 その際に、スタジアムのゴール裏スタンドの最前列に棒状の物が10〜20本フィールド内、もしくは陸上トラック内にせり出すような形で置かれているのを見た事がある方もいるかもしれない。「見た事ない!」、「知らない!」という方は、一度意識して、見てもらえると有難い。

 こんな感じで…

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 そう、サッカー日本代表やJリーグの試合では、スタジアムの最前列には大きな旗(以下、大旗)が置かれている。この大旗が、選手が入場する時、ゴールが決まった瞬間、試合に勝った瞬間などにサポーターの大きなチャントの歌声と共に激しく、大きな波のように振られ、スタジアムの空気を彩る。その際の迫力は、初めてスタジアムに生観戦に足を運んだ方にとっては、どこか驚くものがあるだろう。

https://www.youtube.com/watch?v=67SX75mWfBE

 私も、そんな光景を少年時代に目の当たりにしていた。そして、高校進学のタイミングで、FC東京のゴール裏で大旗を振り始めた。

 あれから10年以上が経過して、そこで、自分でも振っていて、言うのも変な話かもしれないが、ゴール裏でこんな大きな旗を振る人が何を考えていて、何を感じているのか。あくまでも、私個人の意見として、綴っていこうと思う。

①大旗を振り始めたきっかけ

 まずは、大旗を始めようと思ったきっかけ。

 実はこれが

あまりよく覚えていない

 今振り返ってみても、何で「大旗を振ろう!」という気持ちになったのか、全く思い出せない。恐らくだが、中学から高校に進学したら、年間チケットを買って、本格的に応援しようと思って、アピールポイントが高くて且つ敷居が低そうなところって何だろうと、中学生だった当時の自分が考えついた答えが大旗だったのだと思う。

②大旗を振るようになってから

 大旗を振るようになってからは、当然のように毎試合スタジアムに持参して、振っていた。何か、それが1週間の生活ルーティンのように染み付いていた。

 気がついたら、ホームゲームだけでなく、アウェイの試合にも持参して振っていた。当時は高校生で、アルバイトもしていなかったので「アウェイ」と言っても近場での試合に限られていたのだが、やがて時が経ち、大学生になってアルバイトを始めてからは日本全国、行ける試合には可能な限り行くようになり、やがてACL(アジアチャンピオンズリーグ)に出場した際は、韓国でのアウェイ戦にも大旗を持参するようになった。個人的に、生まれて初めて行った海外アウェイは、中国、北京だったのだが、そこには持って行ったものの、振ることはできなかった。

https://www.youtube.com/watch?v=1nJCofW3SAU 

そんな感じで、こういう事を続けている年数が経過していくと、どうしても目立つことも多くなるので、知らない人から声を掛けられることも多くなる。時には「髪型変えた?」みたいな突拍子のない話題も!「何でオレの前の髪型知ってんだ?」と思いましたが…

 当時、お客さんを呼べるような人気選手もおらず、お世辞にも強いとは言えないFC東京の試合で高校生〜大学生の自分が毎試合のようにスタジアムに行き、重たい大旗を振っていたのか…今振り返ると、自分の中で「それが楽しかった」んだと思う。サッカーが好きで、地元のクラブを応援するのが楽しかったんだと思う。

③振っていた時、考えていたこと

 振っていた時、考えていたこと…あまり、大したこと考えていないし、大それたこと言えないが、強いていうならば、

 空気感

 これは、大切にしようかなと考えていたと思う。

 どういう意味かというと、例えば試合の中で

 •凄く良い攻撃の形を何度も作れていたけど、たまたま得点につながらない。

 •その間に何か、訳の分からないような形で失点してしまい、1点ビハインドでハーフタイムを迎える

 こういうシチュエーションって、1点ビハインドという結果だけを見て、スタンドの空気感がどことなく悪くなりやすい傾向にある。その時に、チャントを歌い続け、ロッカーに引き揚げていく選手達を鼓舞するのだが、それに合わせて、振っていた。

 得点した際でも、同点ゴールなのか、逆転ゴールなのか、リードされている状況で、1点返したゴールなのかで意味合いが変わってくる。逆転ゴールだったら、素直に「ヨッシャー!」という気持ちで、全力で振り回すが、同点ゴールであったり、1点返したゴールの時は「喜ぶのは、まだ早いよ!、早く試合再開しようよ!」という気持ちで、振らない時はあった。また、フリーキックやコーナーキックの前に「あ、これ点入りそうだな」、「点入って欲しいな」というときは盛り上げるという意味で振っていた。

 こうして振り返ってみると、なんか勝ち馬に乗っかることが快感になっていたような気がする。チームが苦しい時、ネガティブな空気になっている時、その空気感がスタンドに伝播しそうな時に、それを変える動きが出来なかったかなと感じる。

 あと、何が良いプレーで、何が悪いプレーなのか、サッカーを感じることが少し不足していたかなとも感じる。

 「ただ、適当に最前列で振ってるだけでしょ?」と、お思いの方もいらっしゃる方も多いかと思うが、振ってる当の本人達はピッチ上の様々な出来事を感じて振っている。というか、それで良いと思う。自分が、「ここは、振った方が良いよな?」って感じた時に振って、チームを鼓舞できれば良いと思う。

④13シーズンやって、今、考えること

 こんな世の中になって、1シーズン以上大旗を振らなくなって、「振れるようになったら、また振りたいか?」問われた時に

素直に“YES”とは言えないと思う

やってきた事に後悔はしていないし、大旗をやっていなかったら、もしかしたら、クラブに対する思い入れや熱量ももっと冷めた物、cheepな物になっていたと思う。ただ、今は「率直に振りたいんだ!!」という気持ちが薄いというだけだ。実際に、スタジアムに行っても、今はゆったりした気持ちで、純粋に「あのプレイはああだ、こうだ」とサッカーを楽しむことを満喫している自分がそこにはいる。

 ただ、何だかんだ言っているが、振れるようになったら、また振っている自分がそこにはいると思う。なぜなら、私にとって大旗は、酒やタバコと似たような物で、無くても困りはしないものの、無いと猛烈に「ああ、欲しい!」という気持ちが襲いかかってくる物だ。しばらくの期間、禁酒や禁煙した後、「ああ、吸いたい」、「ああ、飲みたい!!」という気持ちになるのと、似ているのかもしれない。

 今は、また振れるようになった時に、あまり深いことは考えてはいないけど、サッカーを感じれるようになろうと思っている。そのために、もう一度昔のように、サッカーの知識や見解を、インプットアウトプットしていければ良いなと…

また、あの楽しさと情熱のある日常が戻ってくることを願って…

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