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自由の槍で国境を超える_トーキョー奮闘自営生活

前回「名刺を鼻で笑われる」というちょっとネガティブな記事を書いたので、今回はフリーランスという生き方の利点をお伝えしたいと思います。ちなみに最近(今更ながら)「アルスラーン戦記」にどハマりしてまして、タイトルも内容も完全にファンタジーな事をご承知おきください。

フリーランスの語源は中世ヨーロッパ

ご存知の方も多いと思いますが、フリーランスの語源は中世ヨーロッパの傭兵に由来します。各王国には国王に忠誠を誓った騎士が存在しましたが、大きな戦争の時などは騎士だけでは兵力が足りず、どことも契約していない(free)槍騎兵(lancer)を傭兵として活用していました。さらに、戦争が激化した場合や新しい国を攻める場合は、国民から選ばれる騎士の数は急に増やすことはできないため、傭兵の需要は高まりました。

この構造はそのまま現代(資本主義)における戦争(ビジネス)にも当てはまります。各王国(会社)の国王(社長)に忠誠を誓った騎士(社員)に対して、大きな戦争(新規事業 or 特別プロジェクト)の時には騎士(社員)が足りず、どことも契約していない(正社員ではない)傭兵(フリーランサー)が必要とされています。さらに、ビジネス環境の不確実性が高い場合でも、国民から選ばれる騎士(社員)は教育に時間がかかり急に増やすことはできないため、傭兵(フリーランサー)の需要は高まっているのです。

ファンタジーを読んだことがある方なら言わずもがなですが、傭兵は自分の腕一本で生きていく職業です。それは一見孤独で厳しい生き方のように見えますが、逆に言うと必要とされている場で、自分の腕一本で成果を上げ、人に感謝され褒賞をもらう、それが傭兵の生き方です。孤独な様でも、一定期間はどこかの国の軍に所属するので、そこでは友情も生まれるし、ずっと付き合っていきたい仲間にも出会えるかもしれません。さらに、(国が消滅したなど)本人に問題があって傭兵になったのでなければ、心から忠誠を誓いたいと思った国王に改めて忠誠を誓い、騎士になるという選択肢も選ぶことができます。

一方で、国に帰属している騎士は一見生活は安定しているように見えるかもしれませんが、決してその国王や国から離れることはできません。騎士同士の出世競争もあるでしょうし、競争がない平和な世ではその存在意義も問われてしまうかもしれません。ある意味、ストレスの多い中での安定だと言えると思います。

例え話が長くなってしまいましたが、ここからは具体的に私がフリーランスの利点だと思うことをまとめてみたいと思います。

フリーランスは必要とされてる感がすごい

フリーランスが必要でわざわざ依頼する、契約する企業は、短期的ではあるにしろ喉から手が出るほどその職能を必要としている状態です。なので、フリーランスとして仕事をするとクライアント企業からとても必要にされる、大切にされることが多いと感じています。もちろんアウトプットが求められる分厳しいのは言わずもがなですが、求められているアウトプットさえ出し、さらにそれを上回ることができていれば、居るだけでとても感謝されます。
この感覚は、社員だった頃には感じられなかった感覚で、私個人としてはとても仕事のやりがい、ひいては生きがいに繋がっています。

フリーランスは業種も業界も国籍も超えられる

フリーランスは自分の腕一本で勝負しているため、必要としてくれる場所ならどこでも活躍することができます。そして私の場合、このメリットが一番フリーランスになって良かった事です。
具体的には、現在ある外資系テック企業の業務をお手伝いしているのですが、13年間ドメドメ日本の小売企業で働いてた私が普通にこの企業の正社員面接で採用されることはまずありません。書類で落とされるレベル。てか英語しゃべれんし。だけど、特定の職種において現在必要、ということで依頼があり、お手伝いさせていただいています。普通は到底到達することができない業種、業界、国籍の企業の仕事に携われる事は、単純な報酬以上にめちゃくちゃ勉強になり、自分の知見も能力の幅もグイグイ広がっている実感があり、とても有り難く感じています。
普通の正社員という働き方や、正社員としての転職では到底届かない業種、業界、国籍の企業にも、フリーランスなら到達することができます。

フリーランスは経験できる幅が広い

前項と似ていますが、フリーランスになると自分が想定している以上に幅広いクライアントと関わることになります。私の例で言うと、50年続く鉄筋鉄骨企業からオーナー社長のペット会社まで。前述の外資テック企業から、東北の老舗食品製造業者まで。腕一本で仕事をしているからこそ、クライアントは多岐にわたり、その度にその業界のことを知ることができるので経験できる幅が広く知見が溜まりまくります。そしてその経験は、確実に次の仕事に活きてきます。
13年間企業に正社員として所属し、他の社員に比べてもかなり多様な仕事を任せていただき多様な業種の方に出会ってきたという認識はありましたが、その時の5年分くらいは軽くこの半年で経験している、そんな感じです。1件1件のお仕事は真剣に取り組むからこそ、広く深く様々な業界を知ることができるのは、フリーランスならではの利点だと思います。

フリーランスは素敵な出会いに満ちている生き方

企業に所属していないと孤独なのではないか、と思う方もいらっしゃると思いますが、プロジェクト中はメンバーとかなり頻繁にやりとりしますし、複数のプロジェクトが同時並行で進行していくので、全く孤独ではありません。
中には、これからもずっと仕事をしていきたいと思う仲間や、いずれは忠誠を誓って国家所属の騎士になってもいいと思えるような素敵な国王に出会えるかもしれません。フリーランスは素敵な出会いに満ちている生き方です。

以上、完全に頭の中は「アルスラーン戦記」なので記事も中世と現代を行ったり来たりていますが、中世の傭兵とフリーランスには多くの共通点を感じます。労働形態が流動化し、ビジネスの不確実性が高まる昨今ますますもてはやされている印象もありますが、フリーランスという生き方自体はとても伝統的で、世の中に必要とされ続けた生き方の一つなのです。企業もフリーランサーも、もっと自由にお互いが必要としているときに有機的に結びつくことができれば、それは社会全体にとってとても良いあり方なのだと思います。

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