見出し画像

ドアを開けると彼は牛乳パックとコップを持って立っていた

 これは遠い記憶の学生時代の出来事です。
 もう、何が原因で怒っていたのかさっぱり忘れてしまっていますが、その当時付き合っていた彼と喧嘩してから数時間後に起きたシーンのひとコマでした。

 人は時として理不尽なことで怒りを爆発することがあります。きっと私もそうだったのでしょう。
 そうなると、怒っていることが事実でその感情はもう誰にも止められない。暴走し始めた株の乱高下みたいなもんです。私も時々そんな発作にも似たことをやらかしていました。

 後になって冷静に考えてみると、直接の原因は殆ど大したこともないきっかけに過ぎず、実は無意識の中に潜んでいる寂しさや不安が私の根底にあるんですね。

 アルコール依存症なども、お酒を断ちさえすれば問題が解決するのではなく、そこを止めることが出来てもその根本の寂しさなどが癒されない限り、他の依存症に移っていくそうです。それに近い状況なのかもしれません。

 その頃の私の不安は、それこそ1+1=2と答えを出せばハイ、解決❗️と言った単純なものではなく、結果、時間をかけて自分で向き合うしかなかったのですが、とにかく彼は、火の粉を被ってしまったわけです。

その時の彼の行動が秀逸でした。
冒頭の、予想だにもしない行動に出たわけです。

 虚を突かれた私は、一瞬差し出されたコップをまじまじと見てしまいました。そして温められたコップ(マグカップ)のミルクの湯気がなんとも美味しそうでつい飲み干してしまいました。

 少しお砂糖が入っていた甘いホットミルクに私の怒りの感情も何処へやら。そして、意識は何故彼がそんな行動をしたのかという興味にまんまと移り変わっていたのでした。

 なんでも彼の院の研究によると、人はカルシウム不足になると怒りやすくなるから、カルシウムを補給すると良いのだそうです。(これも彼の専門は工学系だったのででっち上げなのですがすんなり信じる権威に弱い私💦)

 その突飛な説明と、それが真実かどうかの前に、これまたすっかり穏やかになった私という事実がここにあるわけで、結果、すんなり仲直りできたのでした。

 まるでしゃっくりが止まらない時にさまざまやってみる根拠なきおまじないによって、見事に止まってしまう感覚に似たような感情。

 人は、そんな風にいつもいつも問題に真正面から向き合うだけでなく、自分を騙しながらやり過ごすことも大事だなと思った出来事でした。
 向き合う時は今じゃない、それまで自分を追い詰めず、逃がす手立てを知っていたから何とか私もこうして生きながらえていけた。
ふと気がつけばその抱えていた問題もいつのまにか解消していた、そんなことも多々ありました。
 おかげで甘いホットミルクは、30年以上経った今でも大事なおまじないになったのでした。

 例えば、女性から悩みを持ちかけられたとしましょう。問題解決型の男性だと、あれこれ有効な手立てを提示しないとと躍起になるのですが、案外「そうか、そうか」と話を聴いて欲しかっただけ、が多いのも女性。
 そんな時、私であればこのおまじないのエピソードを話しながら、ホットミルクを差し出されれば、もう大満足で何も解決出来なくても「やっぱり貴方に相談して良かった」と目をウルウルさせながら感謝すること間違いなしなのです。

 案外多くの女性でも有効な手立てかもしれません(≧∇≦)

 いざ、そんなシチュエーションが起こった時一気に解決しようとせず、ホットミルクを差し出す。一度試してみては如何でしょう。
きっと貴方の評価は、株価高値を更新して、うなぎのぼりに高まるはず⁉︎(๑˃̵ᴗ˂̵)❤️

※よろしければフォローしていただけると大変励みになります。\(//∇//)\


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?