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日記:11/17-23 ニューヨーク、ノースハンプトン、東京

11月17日 

 日曜日だというのに、朝から予定がびっちり詰まっているのは、お別れ会がふたつ入っているからだった。ひとつめは、昔はよく遊んでいたけれど、近年になってすっかり遠くなってしまったコリンとデヤの夫妻のお別れ会。早めに行って1時間くらいはいようと思っていたのだが、午前中の仕事の流れでギリギリになってしまい、20分ほどしかいられなかった。こういうとき自分は最低だと思う。
 デヤは、バージニアに行って、森林保全の仕事をする。水辺の木を伐採したことが汚染を悪化させているということが判明したから、再び植林するというのだ。彼女はニューヨークでも公園局に勤めながら大学院に行っていた。そして今、自分の夢のような、違いをもたらすことのできる仕事に就こうとしている。自分の夢の仕事をするために、何年もの時間を費やしてきた人だ。すごいなあ。
 そのあと、今年の冬は、ウィリアムズバーグのビルの中で行われているブルックリン・フリーで東京からきたマイクに会った。顔にバンドエイドを貼っている。ローワーイーストサイドでいきなりメンタルの男に殴られたのだという。ニューヨークにいるとごくごくたまにこういうことが起きる。
 マイクがスモーガスバーグの主催者の一人を紹介してくれた。彼と話していたら、ニューヨークの商業スペースのレントが高くなりすぎて、空きスペースが増えすぎている件について、自分が知らなかったことを教えてくれた。大家にとっては相場以下で貸すよりは、空にしておいた方が赤字決済できるというのが通説なのだが、実はそれだけではなく、長期ローンを組むときにインフレで上がり続けることが織り込まれており、それに反すると銀行からローンを取り上げられる可能性があるというのだ。銀行以外、誰も得しないルール、さもありなん。

 ところで「Empty Storefronts」と呼ばれるニューヨークのシャッター街問題、いろいろクリエイティブな対策が取られるようになっている。


 そのあと、アップステートに引っ越すピーターとメーガンの家に。ピーターは、もう20年以上住んだから、と新しい生活を楽しみにしている。メーガンはちょっと心配そうだ。人生を変える大きなムーブ。自分にはまだまだできそうもない。
 これから盛り上がりそうなパーティーを早めに失礼して、今度はディトマスパークへ。ポートランドのマリファナマガジン、Brocoli Magazine のポッドキャストに出ることになっていて音声さんの自宅スタジオへ。音の仕事をするのが大好きというデビーと自己紹介をして、すぐに収録へ。日本のマリファナをめぐるタブーについて説明する。
 そのまま、ローワーイーストサイドの22ludlowへ。マリファナのパネルディスカッションをやるために、スペースに本のインスタレーションをすることになっていた。デビッドとガールフレンドのエイドリアンが手伝ってくれてサクサク片付いた。
 終わる頃に、友達でネオンやご飯を作る仕事をしている友達のマリコからテキスト。これからディナーをするからおいで、と誘ってくれた。いっぱいいっぱいで夕食のことは考えていなかったのでラッキーと思いながら、隣のブロックにあるマリコの家へ。ピンポンしても応答がないので、テキストをもう一度確認すると「entranceで」と書いてある。Entranceは、友人のルイが運営するギャラリーだ。そっちに行って、「なんでいるってわかった?」というと、インスタレーション中の私をルイが外から見て、誘ってくれたのだという。マリコが焼いたパンにあれこれつけて食べるパーティ。なんて幸せなんだろう。くたくたの1日を終えてぐったりした体に、美味しいパンの味が染み渡る。途中、仕事のメールがきて、焦って帰宅。またもや夜なべする羽目に。明日から一泊で出張で、そのまま日本である。パッキングを済ませて置こうと思ったけどやっぱり無理だった。
 

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