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そもそも発達相談って?

もう気がつけば22年前から保健センターでの発達相談業務に携わっている。2つの機関に関わっていた経験があり、最初の2年ほどは他の先生から引き継ぎ、2箇所目は新規立ち上げ時からもう20年近く関わっている。どちらも地方自治体の保健センターで、非常勤の立場だ。

言語聴覚士なのでことばの遅れが主訴のケースを担当しているが、大学が心理学科だったこともあり発達検査や知能検査といった心理職の人が担当する分野もまとめて相談に乗っている。

保健センターと保健所の違い

大半の人は「保健センターって保健所と何が違うの?」あたりから疑問かもしれない。ざっくりだが保健所は都道府県単位(政令指定都市や中核市には設置される)で保健センターは市区町村単位というのが原則だ。

またニュースで感染症(昨今では新型コロナ)などの対策で保健所の対応がよく話題になるように、保健所は公衆衛生を中心としている。食品衛生なども保健所が管轄となる。

一方保健センターは主に健康診断(乳幼児健診、成人・老人向け健康診断)や予防接種、訪問指導といったより生活に密着したサービスを担当している。

「でも乳幼児健診ってうちは保健センターじゃなくてかかりつけ医でやったよ」という人もいるが、実はそれは自治体から医療機関へ委託という形式になっており、人口が少ない自治体では原則として保健センターで実施していることが多い。

精神保健や障害のある子どもの療育は保健所も担当することがあるため、重複している面もあるが、「保健センター=地元密着型」とイメージしておけばまず間違いない。

参考

発達相談は乳幼児健査(乳幼児健診)の延長

お子さんがいる方ならイメージしやすいが、そうでないと「乳幼児健診?そんなのあったっけ?」となるだろう。

しかし、日本では昭和40年(1965年)に母子保健法で定められており(自治体や病院によってはそれ以前から実施している)、実は55年ほどの長い歴史がある。

乳幼児は自分から不調を訴えることが少ないだけに、早期発見早期治療は重要課題だ。ことばの遅れには聴覚障害や粘膜下口蓋裂(上顎の中の表面の皮膚はくっついているが、皮膚の下の筋肉や骨が離れている状態)といった器質的な問題が隠れていることがある。

同時に保護者たちへの指導やフォローも欠かせない。「我が子に何か問題があるのかも…」「私達のせいかも…」と不安や自責の念に駆られるのは当然だし、今後安心して暮らしていくための対応も欠かせない。

主な対応は保健師が担当するが、私のような職業の場合、より専門的な評価や実践的なアドバイスをしていると考えていただければありがたい。

最後に

たまに「健診で引っかかった」という表現を見かけることがある。健診に携わっている身としては引っ掛けているつもりはないが、そう思わせていたら申し訳ないと感じることはある。

「早く分かってよかったね」となるのには、まだまだハードルが高いのも事実だ。健診が入試のような性質ではなく、快適な暮らしのための制度として機能してほしいと願ってやまない。


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