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【東京工業大学2021年度前期入試数学総評】

東工大の入試を取り上げて、第5問を終えてから間が空いてしまいましたが、総評を行いたいと思います。

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東京工業大学 本館
2011年5月19日、03撮影、Wikipediaより

今年の特徴はとにかく

数学 III の範囲の問題がなかったこと

の一言に尽きると思います。これは明らかにコロナ禍を考慮しての出題だと思います。

そのことも踏まえての感想としては、前提的に難問は見受けられないのですが、実際に入試を行ってみると点数が取りにくいのかなと感じております。

数学ができる受験生であれば200点台後半を取れると思います。昨年度よりも高得点を取りやすいです。

ですが、昨年よりも地味に面倒な問題が多い気もします。多少計算が面倒な問題もあるとはいえ、それほど面倒という訳でもないのですが、意外と時間を要する可能性がありそうです。

もしかすると、このくらいの問題で数学の実力がきれいに正規分布になりそうな気がしないでもないです。何となく、ですが。

各問の難易度ですが、東工大の数学の試験時間が2012年度以降は3時間(300点満点)になっています(それまでは2時間半、250点満点)。大問は5問なので、1問平均だと36分になります。

この解答時間(小問の場合は36分を均等配分)を基準として
A = 30分以内で完答可能(時間内に余裕で解ける)
B = 36分前後で完答可能(ちょうどくらいの時間で解ける)
C = 42~50分で完答可能(時間が少しかかるけど解ける)
D = 完答可能だが手を出すのは得策ではない(大幅に時間をオーバー)
E = そもそも完答するのが難しい
という形で難易度を表現すると、私の主観では以下の通りです。

第1問. 全体 A、(1) A, (2) A
第2問. 全体 A~B、(1) A, (2) A~B, (3) B
第3問. 全体 A~C、(1) A, (2) A~B, (3) A~C
第4問. 全体 A~B、(1) A, (2) A~B, (3) A~B
第5問. 全体 A~C、(1) A, (2) A~C, (3) A~C

正直なところ、幅がある評価をしています。主観ではほぼ A なのですが、案外と時間がかかるのかな…と予想出来たりもします。それで幅を持たせています。

特に、第3問 (3) は解けない人も多いかもしれません。証明慣れしているかがカギを握ります。第4問 (2) や第5問 (3) も、難しくはないものの、処理に手間取ったりいろいろとありそうです。第2問 (3) も、誘導をきちんと使うことができるか、疑問が残ります。

そんなこんなで、取れそうで取れない、本番で落ち込む、という展開まで考えられます。

今回のセットでどう合格点を取るかというと、必要条件としては、(条件1) 第1問は絶対に完答すること、(条件2) 各大問の (1) を絶対に取ること、だと思います。

見ての通り、こららは全て迷うことなく難易度 A としています。これを取れなかったら合格しないはずです。無理です。

その上で、(条件3) 第1問以外で2問完答する、ができれば上出来です。数学で後れを取ることはないでしょう。あとは他の科目次第。部分点をかき集めれば、(条件3') 第1問+もう1問の完答と他の問題で部分点を稼ぎまくる、でもいいかもしれません。

とにかく、今年は数学 III が出ませんでしたが、あくまで特殊な状況だと思って下さい。難易度についても例年に戻ると思って対策を立てた方がいいでしょう。これは東工大に限らず他の大学でも言える話ですが。

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