4.僕とサマーウェイ族の話

段々と、蒸し暑くなってきた今日この頃。皆さんはいかがお過ごしでしょうか。僕は、今シーズン初の素麺を食べたり、冷房をこの時期から点けてしまったら本格的な夏を乗り切れないのではないかと葛藤しつつもスイッチをポチッとしてしまったりする日々を送っている。

気付けばもう6月な訳で、夏ももう目の前まで来ている。憂鬱だ。何せ、夏という季節が僕は一番嫌いなのだ。何をしても汗はかくし、暑いせいで集中して作業は出来ないし、外にいても家にいてもとにかく暑い。

僕は常に夏という季節は気が立っている。まるで盛りの猫の様に。仕事や通学の際に、最寄りの駅までに行く道を歩いているだけですでに汗をビッショリとかいてしまう。家を出てわずか15分。この段階で、一度家に帰ってシャワーを浴びたくなるし、最早仕事にも学校にもこんな大変な思いをしてまで行かなくていいのではないかと思う。まあただ、「夏だから休みました」という理由は何処に出しても通用することはないので、我慢して我慢して足を進ませる。断腸の思いだ。

そうして道を進むと、まず1つ目のイライラするポイントが待っている。それが「虫」だ。蝉やら蚊やら得体の知れない羽虫やら。虫が大嫌いな僕からしたら、何かの罰を受けているのではないかと錯覚する。何故に彼らは僕が「絶対に近づくなオーラ」を出しているのに、呼んでもいない宗教勧誘の様に湧いてくるのか。馬鹿なのか?蝉は約7年程を土で過ごし、残りの数ヶ月を地上で全うするというが、僕からしたら「あと数ヶ月、せめて土の中で頑張ってくれよ」と思う。大人しく木で鳴いているだけなら文句は言わない。ただ、君たちは僕が進もうとする道のど真ん中でジッとこちらを睨みつけて来たり、最後の力を振り絞って我が家のベランダに侵入して来たりする。うちの家族内で揉めるのだから、誰があの死にかけのセミを片付けるかで。

そして、「蚊」。君達も夏の風物詩、いや夏の魔物だ。そもそも人間の血を栄養として生きるという存在自体が化け物じみているし、羽音が不愉快。もし万が一にも蚊が腕や脚に停まっているのを発見しても、自分の血液が吸われている光景を指を咥えて見ている。叩けない。虫にも命があるから殺生できないとかの理由ではなく、ただ単に「虫」が触れない。触るくらいだったら血を吸われた方がマシである。そうして、蚊との勝負に負けた僕は泣く泣くムヒを塗る。あのスースーした匂いは蚊すら殺せない己の無力さ・虚しさを増やす。

少し話は変わるが、ときたま「夏という季節がとにかく大好き」という風変わりな方がいらっしゃる。僕は心の中でこの様な人種の方を「サマーウェイ族」と呼ばせてもらっている。夏という季節になると、虫と共に出没する。それすなわちサマーウェイ族だ。このサマーウェイ族こそが僕を夏にイライラさせる第2のポイントだ。いや最大のポイントだ。はっきり言わせてもらうと僕はこのサマーウェイ族とは馬が合うとは思えないし、わかり合うことは絶対に不可能である。ここからは僕の偏見なのでご了承願いたい。

サマーウェイ族の特徴として、先ほど「夏という季節が好き」というものを挙げたがこれ以外にも属する条件がある。まず1つ目は夏という暑い季節に積極的に炎天下の下で「BBQ」なるイベントを開催していること。彼らは口を揃えて「外で焼いた肉は美味いな」と言う。絶対に嘘だと思う。冷房の効いた室内で焼いた肉の方が絶対に美味しい。そもそも暑い外で熱い火のそばで肉を焼く行為が食欲を半減させるし、風が吹こうものなら肉に炭やら埃が被る。また、サマーウェイ族は僕の統計上あまり肉を焼かない。彼らは、集団の中で騒ぐことでやっている雰囲気を出しているだけであまり肉を焼かない。企画して、後の面倒なことは他人に丸投げする、これがサマーウェイ族だ。

そして次にサマーウェイ族の特徴として、花火に群がる。ここで大切なのは花火が好きな人はサマーウェイ族ではなく、花火というイベントが好きな人がサマーウェイ族だ。サマーウェイ族は、「花火」という単語を聞きつけると何処からともなく集団で現れる。まるで真夏の電柱の光に集まる羽虫の様に。そして彼らは花火を特に見ることもなく、浴衣を着ている自分の写真を加工アプリで撮影し、酒を浴びるように呑んで打ち上がる。正直羨ましい。心底羨ましい。僕は、花火を見るイベントには基本誘われないし、浴衣の写真をSNSにあげても虚しくなるだけだ。一度でいいから、花火を見ない花火大会に参加して見たいものだ。

サマーウェイ族の生息地としてあげられるのは、BBQを行う河川敷・花火大会のイベント会場、そして主に海だろう。海といっても、気仙沼とか函館のような漁港がある場所ではなく茅ヶ崎や九十九里浜といった場所だ。彼らは海でもBBQや花火といったイベントをするほかに、ナンパをするらしい。何故、らしいという推測かというと僕が実際に見た訳ではないからだ。ナンパをしているという情報は、ニュースでしか聞いた事がないので本当にしているのかどうかは定かではないがどうせしているだろう。海とナンパ(難破)は確かに言葉の意味的にセットかもしれない。ただ、海にわざわざ出向いてまでナンパを試みる気持ちは理解しがたい。高い交通費を支払い、遠出して海に行っても成功するとは限らない。別にナンパをすることも、暑いから海で涼みに行く気持ちもわかるのだが、海すなわちナンパになるのは?である。効率的にナンパをしたいのなら地元のイオンモールとかでした方が楽ではないかと思う。まあただ、海に行くとサマーウェイ族というのはついつい本能的にしてしまうのだろうか。

と、まあずらずらとサマーウェイ族について話してきたが正直まだ語り足りない。サマーウェイ族はどうして暑い夏こそ暑いラーメンでしょ!と汗をかきながら食べるのかも理解できないし、日焼けしてるのにサングラスをかける意味もよくわからない。しかし、これ以上話すとサマーウェイ族に砂浜に埋められるもしくはBBQでひたすら肉を焼かされる気もするのでここまでにしたい。とにかく、今年の夏は猛暑になるな。それでは御免ください。また明日。(665)

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