自己紹介③少年院の管理栄養士になる
健診機関では、個人に対して、または集団に対して食事指導を行いました。
2年間で少なくとも個別食事指導500名以上、集団食事指導3000名以上に対して行いました。
場数を踏ましてもらえたのと、素晴らしい管理栄養士や保健師の方に出会い、一から教育していただき、とても勉強になりました。
しかし、ここも数をこなさないといけない職場で、一人ひとりと深くかかわることが難しく
「もっと一人に対して時間をかけて接したい」
と思うようになりました。
また、40歳以降の方が食習慣を見直すのは、とても難しいという現実を目の当たりにし
「子どものころから、もっと食に関しての知識があれば・・・」
と、つくづく考えさせられました。
この頃「子ども相手に食に関する教育がしたい。特に自分が間違った食習慣を送るようになった中学生に対して」
と思うようになり、ふと求人の
「少年院管理栄養士」
の欄に目が留まりました。
子どもにはかわりはないですが、少し特殊な環境のため、非常に悩みましたが、矯正施設のことを調べるうちに
「食に関する教育が一番必要なのは、ここかもしれない」
という考えが浮かび上がりました。
施設には、精神疾患の少年が多くいることを知りました。
私は、食と心は密接に関係していると考えています。
偏った食事は脳にも悪影響を与えること、非行の背景には家庭環境の問題があることから、食生活と非行には関連があると推測していました。
「一人の人間として、管理栄養士として、何かできるかもしれない」
と思い、応募しました。
少年院での仕事は、非常にハードでした。
少年院は全国に52ヶ所ありますが、管理栄養士がいる少年院は2つだけでした。
管理栄養士として、給食や衛生管理を行おうとしましたが、特殊な環境なため上手くいかず悩む日々でした。
当時の院長の理解があったため、食育にも取り組もうとするのですが、何度も高い壁にぶつかりました。
そのような環境下でも、5年間いろいろと試してみましたが、相当な時間と労力を要することに気づき
「ここで頑張り続けるよりも、場所を変えて食育に取り組んだ方が、後々少年院にも良い影響を与えられるのではないか」
と考え、辞職することにしました。
やめた理由はもう一つ
「あの子の病気は、小学生のうちに気づけたら防げたかもしれない・・・」
と思われるような身体疾患、精神疾患の子どもに出会ったからです。
食育で社会を変えようと強く決心しました。
つづく
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