7月29日

 ストレスの多い1日だった。仕事を終えて、家で一昨日の豚バラとズッキーニのピリ辛味噌炒めの残りを食べてから、カクテルバーレッドドアへ。

 文字通り赤いドアを開けると店内には誰もいなかった。入った直後はテレビかラジオの音声のようなものが流れていたが、奥に入っていくとその音声は止まり、代わりに洋楽のムーディな音楽が流れ出した。

 十和田では1番いいバーだと思うが、2階にあって外から中を覗えるような窓もないので、入りづらく、最近はあまり来ていなかった。1ヶ月以上前に同僚と来たのが最後だ。1人で入ったのはもう半年以上ぶりになるかもしれない。

 1杯目頼んだのはソルティドッグ。軽いな、というのが最初に飲んだ印象。同じカクテルでも飲む店によって全然印象が違うことがある。スッキリとして軽い印象のソルティドッグだった。まあでも1杯目飲むのにはちょうど良かった。

 2杯目はサイドカー。これがメチャクチャ美味しかった。黄色がかった見た目も美しい。いいカクテルバーのショートカクテルは本当に美味しい。この違いは何なのだろう。単純に大分冷えているように思うし、アルコールっぽさがなくなるほど飲みやすくなっている気がする。まずい店だとアルコール特有のどろっとした感じがして飲みにくく感じることがある。このバーの場合、アルコール度数の高いカクテルを頼んでもどこかスッキリとした味わいがある。

 3杯目はブラックルシアン。本を読んでいたのでちょっと目を覚ましたかったし、スッキリとしていない甘さが欲しかったせいもある。シナモンスティックをお好みでというので途中何回かかき混ぜたりしてみた。こういう、カクテルについてくるちょっとした小道具みたいなのもバーで飲む楽しみの一つ。例えばコロナビールにライムを沈めてみたり。家では面倒くさいからそこまでやったりはしない。贅沢な時間だな、と思う。

 4杯目はブルームーン。ショートカクテル。これがまた最高に良かった。うっすらと紫がかったカクテル。表面に花びらのようなものが浮いている。香りがまた良かった。花の香り? 品のいい香りで、飲みながら五感に訴えてくるこの感じに思わず笑みが零れる。

 読んでいた本は村上春樹の新作短編集、『一人称単数』同じような味わいの小説が多くて、あまり心には響かないが、酒を読みながら読むのにはちょうどいい味わいがある。バーで読むにはうってつけの小説な気がした。

 4杯も飲んだのでそこでお会計。全部で4600円。大体1杯1000円くらい? 味も都内の有名なバーに引けを取らないので、この辺の基準からすると安くはないものの、高いとも感じない。値段相応の満足感がある。

 それにしても入ってから2時間弱、他に客は1人も来なかった。おかげで読書に集中できたけど、店の経営を考えると大変そうだ。こういうメニューのないバーってお客さんの要望に応えられるよう色々準備しておくべきものも多そうだし、大変そうだな、と思う。客がいないのはやっぱりコロナの影響もあるんだろう。まあ元々平日そんなに人が入っていた記憶もないけども。せめてもうちょっと足を運ぶ回数を増やそう。こういった店がなくなってしまったら、今いる場所がどんどんつまらなくなってしまうのだから。

 この後家に帰ってから、ポテチをつまみながらハイボールを作って飲んだ。少し飲み過ぎてしまった。意識しないと酒の量なんてどんどん増えてしまう。人生のストレスなんてどんどん増えていくばかりだから。お酒が好きだからこそ、お酒とはうまく付き合っていきたい。

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