【ぴくっ14 アルバイトをする。ぺるっ!死なないで!】

ぼくは次の進路として、
ギターか作曲の専門学校への進学を考えていました。
各学校のパンフレットを大量に請求しました。
そのほとんどの専門学校の入学資格が、
中卒でよかったのです。
学費は到底母が出してくれそうにありませんでした。
奨学金制度というのがあり、
専門学校の寮に入り、
新聞の朝刊と夕刊を配達するのが義務のようでした。

これまで総てを挫折してきた男が、
毎日新聞配達するなんてまるでつとまらんなぁと解っているのに、
専門学校で作曲の技術を習っている光景ばかり夢想していました。
そして妄想の休日を延々と過ごしていると、
「いい加減なにかアルバイト探しなさい!」と母が怒り、
渡された求人募集のたくさん載っている広告を見て、
近所の泡嶋商店街にあるお好み焼き屋に決めました。

ぼくは元来言葉遣いだけはハキハキと丁寧でしたので、
面接ですぐに採用され翌日から出勤となりました。

アルバイトが始まりました。
そのお好み焼き屋は店員が焼くのではなく、
お客自身でひっくり返して焼く仕組みで、
店側ではお客に渡すための金属製の容器に
具材を詰めておくわけですが、
何度教わっても、
エビ玉、イカ玉、豚玉、モダン焼などの各々の具材の区別がつかないばかりか、
ときおり「ブッ、ブッ」と唾を吹くチックをするのですから、
店側としては大変な人材を入れてしまった、
となるわけです。

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