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出産という未知の体験②

【アラサーOLの出産体験②】

 出産予定日夜の破水騒ぎは結局空振りに終わり、予定日翌日の朝になった。
 この日は40週の妊婦健診の予定を入れていた。

 夜中のうちに始まった謎の腰痛がどんどん辛くなってくる。実母に腰痛がする旨を伝えると、「私の時は腰は痛くなかった」と言われ、陣痛じゃないんじゃない?という判断だった。

 でも明らかに今までと違う痛み。耐えれない訳ではないが、陣痛だったらどうしようという不安が大きくなってきてた。痛みの間隔も測ってみたが、15分を切るくらい?といったペースでやはりよく分からなかった。

 とりあえず、健診の時に聞こうと思い、痛みに耐えつつ産院へ。早速内診をしてもらうと。

「ありゃ?破水だなこりゃ」

 とお医者様から一言。

やっぱり???

 腰痛のようなものがあると伝えたところ即入院となった。
 入院の荷物を実母に届けてもらい、夫も仕事を中断して駆けつけてもらう事になった。

 お昼前に入院した為、お昼ご飯は病院での入院食となった。この時はまだ少し余裕があり、陣痛がおさまれば食べられた。完食し、食器を取りにきた助産師さんに驚かれ、そして褒められた。

(え?もしかして普通は食べられないくらい痛いの??)

 この歳になって完食したことを他人に褒められるなんて、なんだか大食いの人になったみたいでちょっと不思議な気持ちになった。

 陣痛ってこれくらいなのかな?それだったら全然大丈夫かな…でもきっと違うよなぁ…これから耐えられなくなるくらい痛くなるのかなぁ??

 そんな事をぼーっと考えてるうちに夫が産院に到着。

 夫の顔を見た瞬間…

 あれ??なんか今になってすごく…痛くない??

 急に痛みがが増してきたのだ。お腹の子は父親(夫)の到着を待っていたのだろうか?
 痛みが来るごとに、事前に調べておいた呼吸法などを試してみるがかなりしんどい。痛みが来るとうまく喋れない。

 陣痛を耐える辛さを例えるのがすごく難しいが…
お腹がものすごく痛い時、人はエビのように背中を丸めて痛みに耐えようとするが、陣痛はお腹が痛くても丸まれない感じ。お腹が大きくて丸まれないのと、丸まろうとするといきんでしまいそうになるので、ひたすら仰向けや横になって耐えてるしかない感じである。

 陣痛と陣痛の間で意識が遠くなる感じがした。この痛みはいつ終わるのだろうか?と不安も大きくなってきた。
 助産師さんが様子を見に来たとき、私があまりにも様子が変わっていたので陣痛室(分娩室の隣の部屋)に移された。

 陣痛室に入ったのは、16時前くらいだったが、そこからが地獄だった。
 痛みが増してきたからなのか、我慢のできないほどの吐き気に見舞われた。

 助産師さんが桶のような物を慌てて持ってきてくれたが間に合わず、自分の顔、髪、体に盛大に嘔吐。30歳にもなって恥ずかしい。

 吐くほど痛いのにまだ産まれてこないのか。私が事前に調べた他人のお産の様子では吐いてなかった気がするのだが…。

 痛みと吐き気のダブルパンチで身動きが取れないため、髪についた吐瀉物はひたすら夫がタオルで拭いていてくれた。

 20時前になりとうとう「本日中のお産は難しいだろう」との判断が下った。

 なんてこった…。

つづく

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